プラグインハイブリッドモデルの「330e Mスポーツ」をチェック!
今回の試乗車は7代目になり、途中からラインアップに加わったプラグインハイブリッドモデルの「330e Mスポーツ」だ。先代モデルにもラインアップしていたが、今回はリチウムイオンバッテリーの容量を約80%も拡大し、より高性能化している。組み合わされるガソリンエンジンは直列4気筒2.0ℓターボ。エンジンの出力は292PS、トルクは420Nm。これに、10.3kWhのリチウムイオンバッテリーと最高出力113PS、最大トルク265Nmのモーターが加わる。
動力性能だが、モーターのみでの走行距離は59kmとされているが、試乗車は100%充電状態で30km走行可能と表示されていた。電気モーターだけでの最高速は120km/h。この種のプラグインハイブリッド車の使われ方は、自宅で充電し(普通充電の200Vしか充電できない。急速充電は不可)、朝、オフィスに出かける。家からはEVで走り出し、オフィスに着くと200Vの充電を行なう。日本でも自宅から職場まで30km以上走る人は少ないので、この性能でも十分にEV生活は送ることができる。こういう使い方だと、平日の通勤にはガソリンを使わずに済む計算になるわけだ。
ドライビングモードも、スポーツ/ハイブリッド/エレクトリックの3モードしか選択できない。内装も7代目に入り、大きく変わった。メーター系は12.3インチのパネル。これに14.9インチのコントロールディスプレイが一体化され、運転席の前方にカーブした画面が採用された。
さらに運転席と助手席との間のコントロール系では、ミッションのシフトレバーを廃止した。シフトレバーの代わりに小さなツマミがセンターコンソールに置かれた。それを指先でつまむようにして、シフトする。ポジションはR/N/D・S・Pはその下に置かれている。シフトレバーがないので、パドルレバーはマストアイテムになった。
指先でシフトつまみをD・Sに動かし、走り出す。ドライブモードは「ハイブリッド」スタートはモーターで。このままEVとして走り出す。電気は100%で、可能走行距離は30kmと表示されている。
「スポーツ」モードに切り替える。目の前のメーターの表示が変わる。右側の電力量のメーターがエンジン回転計に。6500~7500回転がレッドゾーンだ。スポーツモードの走りは、エンジンが2000回転をオーバーするとトルクが太くなり活発に走り出す。と言っても、「330e」の名誉のために、言うと、トルクが太くなる前でも十分に速いのも事実。0→100km/hの加速だって6秒台前半をたたき出すほどだ。
室内は7代目になりホイールベースは40mm長くなり、トレッドも前43mm、後21mm広くなったことで、フロント、リアシートともに、余裕が感じられる。リアのトランクスペースも、充電用ケーブルが納まるくぼみが設けられているので、スッキリしている。
日本車の4ドアセダンが次々と消えていく中で、しっかりとしたセダンを提供してくれるBMW「3シリーズ」は、希少な存在。しかもプラグインハイブリッドまで用意されていた。
■関連情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/3-series/sedan/2022/bmw-3-series-sedan-highlights.html#tab-0
文/石川真禧照(自動車生活探険家) 撮影/萩原文博