シニア犬と暑さ対策
暑さも本格的になってきましたが、全身が毛に覆われている犬にとっては厳しい季節。どの子でも暑さ対策は欠かせませんが、今回はとくにシニア犬を中心に情報をまとめました。
犬と人との汗のかき方の違いとは?
私たち人間は暑いときは汗を全身から出して体温調節を行いますが、犬は同じではありません。犬の特徴を押さえ、適切に暑さ対策をしていきましょう。
犬はパンティングで体温を調節
人を含め動物には2種類の汗腺があります。
「エックリン汗腺」… 皮膚に見られ、汗を出して体温調節を行う。
「アポクリン汗腺」 … 個体特有の臭いをを含む分泌物を出す。人では脇の下、犬では肛門嚢につながる。
ですが犬の皮膚には「エックリン汗腺」がみられず、肉球にあるぐらいです。このため舌を出しハアハアと呼吸して、唾液を蒸発させる(=パンティング)ことで体温を下げています。
暑がっているときの様子は?
犬が暑がっているときの様子にはこのようなものがあります。
・呼吸が早い、荒い
・落ち着きがない
・よだれが多い
またこのような状態は特に注意が必要です。
・あまり動かない、立ち上がってもフラフラしている
・目が充血している、口や耳の粘膜が赤い
すみやかに体を冷やし、状態が落ち着かなければ動物病院を受診してください。
シニア犬では加齢による身体機能の低下により体温機能調節が弱まりやすくなります。昨夏は大丈夫だったから…と過信せず、日々のコンディションと合わせて観察してください。一方で暑さ対策に注力しすぎて「冷やし過ぎ」とならないように注意しましょう。
水分補給のススメ
では、適切に汗をかいて体温を下げるには、どのぐらいの水分が必要になるのでしょうか? 犬は暑いときには自発的に水を飲みますが、動きが弱くなっているシニア犬は特に水分をきちんと取れているかを気にかけてあげましょう。
このように算出すると、犬の1日に必要な水分量は右表になります。摂取量を把握するには、1日に必要な量を先に計量カップで計ったものを与えて、残った量を見ることで簡単に確認できます。
ウエットフードも使ってみよう!
ウエットフードは約80%が水分でできています。なので食事として与えるだけで水分を積極的に取ることができます。
シュプレモ™ カロリーケア シニア犬用(参考画像)
水分の保証成分値は82%以下成犬体重5kgの1日の給与量は3トレイ(ウエットのみの場合)です。この3トレイ分の水分量は250mlほど。体重5kgの1日に必要な水分量の目安は320mlなので、ウエットフードの食事だけで1日に必要な水分量の80%近くも摂取でき、効率よく水分補給ができることが分かります。
その他の暑さ対策
水分補給の他にも、暑さ対策としてペット用の冷感グッズなど、さまざまな物が用意されていますね。ここでは生活環境で気をつけるべきことを確認しましょう。
室内
エアコンの風が直接当たらない、室温が安定している場所で過ごさせてあげましょう。自分で選べるように涼しめの場所、温かめの場所を作ってあげられるとベストです。
窓側などでの日光浴は、足腰が弱まっていたり寝たきりで動けない状態では、予想以上の熱を受けている恐れがあります。夏場は長時間の日光浴は避け、小まめにチェックしてあげましょう。
室外
普段靴を履いている私たちは気づきにくいのですが、炎天下ではアスファルトなどもかなり熱くなっている場所があり、犬の肉球を痛めたり、地表の熱を強く感じている可能性があります。お散歩は日中を避けて、涼しい時間帯を選びましょう。
またバギーを使った散歩でも、バギー内に熱がこもり過ぎていないか、確認を小まめにしてあげましょう。
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文/黒井犬太