車を運転する人でも意外と知らない「運転経歴証明書」。普通の「運転免許証」とは何が違うのか、持っていると何か良いことがあるのか、といった疑問を持つ人も多いだろう。ドライバーが運転免許を自主返納した後に取得できる運転経歴証明書は、本人確認書類としての活用や店舗での割引特典などさまざまなメリットがある。運転する場合は発行の申請を検討しよう。
そこで本記事では、運転経歴証明書の概要とメリット、発行方法、有効期限や取得時の費用について解説する。
運転経歴証明書とは?
運転経歴証明書とは、運転免許を更新せずに失効した場合や自主返納した場合に、執行日または返納日から過去5年間の運転経歴を証明するもの。運転免許証と同じサイズのカード型の証明書で、運転免許証に代わり、本人確認書類として利用できる。
運転経歴証明書は何のためにある?
運転経歴証明書は、ドライバーが運転免許を返納した際の身分証の代わりになるものとして平成13年の道路交通法改正によって導入された。平成24年には銀行等の本人確認書類として利用可能になり、令和元年には運転免許の失効者も取得対象に含めるなど、運転免許がなくても困らないための仕組みとして機能している。
運転経歴証明書のメリットはある?割引や特典をチェック
運転経歴証明書は、都道府県が運営する「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」の加盟店でカードを提示することで、バスやタクシー等の交通機関での割引や、車買取サービスの査定額アップ、飲食店や物販店での料金割引といった特典を受けられる。
割引や特典の内容、対象のサービスや店舗はそれぞれの都道府県の「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」で確認可能だ。
なお、運転経歴証明書とマイナンバーカードをどちらも所持している場合は、「運転経歴証明書交付済みシール」を申請することでマイナンバーカードのケース裏面にシールを貼り、運転経歴証明書の代わりとできるため、身分証を2枚持ち歩きたくない場合は利用を検討したい。
運転経歴証明書はどこで入手できる?発行方法と取得費用
運転経歴証明書は、住まいの都道府県の「運転免許試験場」「運転免許センター」等で発行を申請する。申請書は警察署・交番・駐在所等でも入手が可能。申請する際は以下のものを用意しよう。
・運転免許取消・一部取消申請書(運転免許センター等もしくは警察署等で入手)
・運転経歴証明書交付申請書(運転免許センター等もしくは警察署等で入手)
・運転免許証
・申請用写真1枚(タテ3.0cm×ヨコ2.4cm)
・交付手数料1,100円(税込)
運転経歴証明書の有効期限は?
運転経歴証明書には有効期限は設けられてない。運転免許証とは異なり、更新の手間が不要で失効する心配もなくなるため、日常生活で車を運転する機会がない場合は、免許証を返納して運転経歴証明書に切り替えたほうが利便性は高いと言える。
運転経歴証明書が本人確認に使えないケースはある?
運転免許証に代わる身分証となることを目的として導入された運転経歴証明書だが、以下のケースでは本人確認に使用できないため注意しよう。
・平成24年4月1日以前に発行された運転経歴証明書
・本人確認書類の条件が「有効な運転免許証」である場合
・住所や氏名が変わった後に変更手続きをしていない場合
運転経歴証明書が本人確認書類として正式に定められたのは、平成24年の道路交通法改正以降のため、それ以前に発行された運転経歴証明書には本人確認書類の効力がない。
また、本人確認書類の条件が「有効な運転免許証」となっているケース(乗り物を操縦するアクティビティに参加する場合など)では、運転資格を証明できない運転経歴証明書が本人確認書類として使えない場合があるため注意したい。
さらに、住所変更や氏名変更の手続きをしていない場合も、証明書として扱われない。運転経歴証明書の記名事項に変更があった場合はすみやかに手続きしよう。
運転経歴証明書の住所変更や氏名変更の手続き
運転経歴証明書の変更手続きをする場合は、各都道府県の「運転免許試験場」「運転免許センター」もしくは警察署で申請できる。用意するものは以下の通り。
・運転経歴証明書記載事項変更届(運転免許センター等もしくは警察署等で入手)
・現在の運転経歴証明書
・新住所を確認できる書類:住民票の写し、健康保険証、マイナンバーカード(住所変更の場合)
・本籍(外国籍の方は国籍等)が記載された住民票の写し(氏名・生年月日変更の場合)
なお、運転経歴証明書の住所変更・氏名変更に手数料はかからない。
※データは2023年5月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/編集部