もうすぐ本格的な夏がやってくる。今夏は例年と比べ、どれほどの暑さになるのだろうか?
ウェザーニューズはこのほど、6〜8月の長期予報をもとに夏の商品トレンドを予想した「夏の小売需要傾向2023」を発表した。
今回の発表によると、今夏の気温は平年並〜高い予想で、全国の広い範囲で暑い夏になりそうだ。特に8月の気温は全国的に平年より高く、暑さのピークは8月前半になる見込みだ。詳細は以下の通り。
なぜ暑くなる?今夏の海洋や大気の特徴
日本の夏の天候に影響を与える熱帯域の現象として、エルニーニョ現象と「正のインド洋ダイポールモード現象」があげられる。
エルニーニョ現象が発生すると、日本付近の夏の気温が平年より低くなる傾向があり、インド洋熱帯域の海面水温が南東部で平年より低く、西部で平年より高くなる正のインド洋ダイポールモード現象発生時は、平年より高くなる傾向がある。
今夏は、エルニーニョ現象と正のインド洋ダイポールモード現象の両方とも発生すると予想されるが、正のインド洋ダイポールモード現象の影響をより強く受けやすい見込み。
①正のインド洋ダイポールモード現象が発生することで、②高気圧性循環が卓越してフィリピン方向に風が吹きやすくなり、③フィリピン周辺の対流活動が活発化し、④上昇した大気が日本の南東で下降することで、太平洋高気圧の張り出しが強まる見込みとなる。
これにより、今夏の気温は平年より高いところが多くなる見込みだ。また、⑤チベット高気圧は平年より南東側への張り出しが強い傾向があるが、北東側に張り出す時期もある予想で、チベット高気圧と太平洋高気圧が重なるタイミングで猛暑になりそうだ。
気温傾向
6〜8月までの夏の気温は平年並〜高い予想。北日本は平年より高い、東日本、西日本、沖縄・奄美は平年並〜高い予想だ。暑さのピークは8月前半だが、その前後も熱中症に注意が必要だ。
・北日本:6月から8月にかけて平年より高い見込み
・東日本:6月は平年並〜高い、7月は平年よりやや高い〜高い、8月は平年より高い傾向
・西日本:6月は平年並〜やや高い、7月は平年よりやや高い〜高い、8月は平年より高い予想
・沖縄・奄美:6月は平年並、7〜8月は平年より高い見込み
夏の降水傾向2023
6〜8月の降水量は、北日本〜西日本で平年並〜やや多い、沖縄・奄美で平年並の見込みだ。梅雨期間の
総雨量は平年並になる見込みだが、6月下旬〜7月中旬は大雨に注意が必要。
梅雨入りは、東海から九州にかけては平年より早い所が多くなっており、関東甲信も平年より早く梅雨入りする可能性がある。北陸から東北は平年より遅い見込み。梅雨明けは全国的に平年並の予想だ。
8月は晴れる日が多いものの、エルニーニョ現象の影響で偏西風が平年よりも南を流れやすくなる見込みで、上空に寒気が入りやすい時期もありそう。これにより、大気の状態が不安定になるため、雷雨の発生に注意が必要だ。
夏の小売需要傾向
ウェザーニューズ流通気象チームの気象データアナリストは、2022年の5〜8月のGoogle検索数の傾向と気象データの関係を分析し、今夏の気温傾向をもとに季節商品が注目される時期を予想した。
昨年の気温と夏物商材に関連するGoogle検索数を見てみると、関東以西の各地で梅雨の中休みとなった6月下旬〜7月初めの猛暑のタイミングで様々な夏物商品の注目度がアップしたことがわかる。
例えば、「冷やし中華」や「かき氷」などの夏の風物詩といえる食べ物から、「クールインナー」や「接触冷感」、「扇風機」などの暑さ対策に関する商品、「経口補水液」や「スポーツドリンク」などの熱中症対策商品などの検索数が大きく伸びた。
今年の梅雨明けのタイミングはおおむね平年並で、東北・北陸では7月下旬、それ以外は7月中旬の梅雨明けが予想されている。
このため、夏物商品の注目が高まりはじめる時期は昨年より遅く、7月中旬以降になる可能性がある。しかし、梅雨明け後は全国の広い範囲で平年よりも暑い夏になると予想されることから、商品需要の伸びはいつもの年よりも期待できそうだ。
出典元:株式会社ウェザーニューズ
構成/こじへい