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デジタル証券を活用した資産運用サービス「ALTERNA」で金融領域に挑む三井物産の勝算

2023.06.04

デジタル証券の提供に特化した日本初の資産運用サービス「ALTERNA」

ALTERNAサービスを提供するMDMは2020年に設立。デジタル技術を活用し、不動産・インフラ等への実物資産への投資を行う資産運用会社であり、ファンドへの投資機会を提供する証券会社でもある。現在は不動産を中心に約2300億円の資産を運用している。

「三井物産は商社ですが、実は20年以上、金融領域での事業を行っています。アナログに満ちた金融領域をデジタル化したいという思いがあり、金融領域でイノベーションを起こしたいと、ソフトウェア技術の強みがあるスタートアップのLayerXと相互補完することで、できた事業です。業界の常識にとらわれない第三者的な視点で事業に参入できるのも強みだと思っています。

エンジニア比率が約3割と金融機関として異色の人的基盤を構築。スタートアップのアジリティ(機敏さ)と大手企業のガバナンス(内部統制)をバランス良く両立させ、お互いの良いところを活かした企業文化を作っています」(三井物産デジタル・アセットマネジメント 代表取締役社長 上野貴司氏)

従来、投資商品には仲介会社、運用会社、証券会社と多くの会社が介在しており、業務の非効率性や中間マージンの発生といった課題があった。間に入っていたものをなくし、オンラインでできる投資サービスがALTERNAで、DXにより効率化し、証券販売を垂直統合することでコスト削減も実現している。

「LayerXの技術を生かし、人がやっていた作業をデジタルに置き換えるソフトウェア技術で、金融業務を徹底的にデジタル化することで生産性を上げていきます。生産性を改善することで、現在は0.2%の弊社の運用報酬を今後は0.05%を目指していきます。他社の上場REITの運用報酬は、年0.3〜0.6%程度なので、約10分の1までコストダウンしていきたいと考えています。

生産性を上げて運用報酬が下がると投資収益は上がり、効率化・デジタル化が進むと、素早く正確な情報にアクセスできるので、顧客のメリットにつながります。

運用報酬低減は、市場成長の起爆剤となり、インデックスファンド・ETFの成長主要因になりうると考えられます。また、デジタル化でリアルタイムに情報にアクセスできることで、より手触り感のある投資になり、最終的には投資リテラシーの向上にも寄与するのではないかと思っています」(上野氏)

ALTERNAはキャッシュフローの裏付けがある大型不動産やインフラなどが投資対象。これらは、従前より運用を委託された機関投資家が投資を行っていたが、ALTERNAのリリースにより、個人投資家もアクセスできることになった。個人投資家が10万円から小口で投資可能になり、スマートフォンさえあれば、口座開設から投資まで全ての手続きを全てペーパーレスで完結できる。

ALTERNAで募集を行う初号案件は「ステージグランデ日本橋人形町」。築1年の築浅マンション(2023年4月末時点)で、徒歩5分以内の地下鉄駅に3路線が乗り入れ、大手町や渋谷など、オフィス街やショッピング街へ容易にアクセスでき利便性も高い。2023年3月末日時点で稼働率100%(面積ベース)の稼働実績がある。

【AJの読み】シンプルでわかりやすい「オルタナティブ投資」は日本人のニーズに合致?

日本では、個人が保有するとされる金融資産2000兆円のうち、貯蓄と保険が約8割を占め、投資に回されているのは1割ほどしかない。日本の家計の投資性資産の割合は先進国でも最低水準で個人の資産形成が課題となっている。

2003年に開始した証券税制の優遇措置のもと打ち出された「貯蓄から投資へ」のスローガンから20年が経過したが、日本人は「投資利益」よりも貯蓄と同じく「損をしない」ことに敏感な国民性で、リスクの高い投資商品はニーズに合致せず、普及は限定的という状況が20年間続いている。

「日本人は投資に対してポジティブな印象がなく『損失』『怖い』というイメージを抱く人が大半で、リスク回避的な心情が強いことが伺えます。

また、『投資をするのは難しい』というイメージも根強くあります。預金のようにいつでも引き出せる換金性を重視する傾向がある中で、投資の市場リスクを様々に加工し複雑化していることが、わかりにくさの原因となっていると考えます。

不動産やインフラなど利回り商品は、株よりも価格の面で安定した収益性を生み出せるし、収益を産む構造である『家賃』や、リスクの所在である『退居』が比較的シンプルで、わかりやすい。こうしたことから『オルタナティブ投資』は、日本人ニーズに合致しているのではと考えています。

ALTERNAはスマホから手軽に投資ができ、10万円と小口化したわかりやすい投資サービス。オルタナティブ投資は根本的需要があると考えたことから商品化に至りました」(上野氏)

「オルタナティブ投資」とは、伝統的資産と呼ばれる上場株式や債券以外の新しい投資対象や投資手法のこと。伝統的資産と価格動向などが連動しない資産に対する投資で、対象は農産物、鉱産物などの現物・先物取引、不動産やファンドへの投資、先物、オプション、スワップなど金融派生商品取引などが挙げられる。

ALTERNAは不動産に投資する商品だが、上野氏のコメントにあったように株に比べ価格面で安定した収益が見込まれ、構造自体がシンプルなため個人投資家がアクセスしやすくなっている。

MDMは、政府か掲げる「貯蓄から投資へ」を後押しするべく、個人投資家向けの「資産運用事業」へ総合商社として異業種参入したわけだが、LayerXといったスタートアップ、SMBC日興証券、三井住友信託といった伝統的金融機関をパートナーに迎え、ALTERNAリリースに合わせ2023年5月には30億円の増資も行った。

小口投資で運用コストも最低限にした商品で個人投資家を喚起し、個人が保有するとされる金融資産2000兆円の受け皿となるサービス開発に挑む。

文/阿部純子

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