マーケティングリサーチ事業を展開するクロス・マーケティングは、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女1,200人を対象に「消費動向に関する定点調査(2023年5月)」を実施した。
この調査は、現在の消費者の暮らしの状況を、所得・消費・行動の観点で過去と比較、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的として年2回(5月・10月)行なわれている。
今回は、新型コロナウイルス5類感染症移行前、連休中の5月1日~8日に調査がなされ、生活実態や消費動向の推移、景況感、自分自身の消費予測に着目して分析。本稿では、その概要絵を紹介していく。
東京・原宿 竹下通り(2023年5月2日)
生活実態DI値の推移
幾度となく続く食品の値上げが響き「食費」は前年同期より12ptの上昇。「自宅で過ごす時間」は、2020年の緊急事態宣言下をピークに減少傾向は継続しており、前年同期より12ptの低下。「給与所得」と「労働時間」は、緩やかな増加傾向が見て取れる<図1>。
消費動向DI値の推移
全国旅行支援の延長や水際対策の緩和などもあり、前年同期から「国内旅行の回数」24pt、「海外旅行の回数」23pt、「スポーツ観戦」20pt上昇し、コロナ以前の水準に戻る。他に上昇したものは「飲酒目的の外食頻度」「高速道路の利用頻度」「映画館」「食事目的の外食頻度」など多岐にわたり、人が集まるところへの外出行動が活発となっている。
一方、中食の「食事の持ち帰り・テイクアウトの利用回数」は低下が目立つ<図2>。
今後の景気の見通し
今後1年間の景気の見通しについて「変わらない」と回答した人は49%と半数を占め、次いで「悪くなる」が38%。2022年5月や10月と比べると、「悪くなる」割合は減ってはいるものの、依然として世界情勢への不安や生活を維持するための光熱費や食品などの値上げが続いており、 先行きも不透明なことから景況感は悪いといえる<図3>。
消費予測
今後1年間の自分自身の消費予測は、「変わらない」が59%、「増える」が23%、「減る」が18%である。女性は「増える」と「減る」の割合が男性よりも多い<図4>。
”増える”とした人の理由は、生活必需品の値上げ、固定費の高騰、旅行やお買い物など外出機会の増加などの意見が聞かれた。かたや”減る”と回答した人は、物価は上がるが賃金が上がる見通しがない、光熱費の高騰や増税、値上げによる買い控え、教育費の負担などの声があり、双方ともに、値上げに起因する理由が多く見られた<図5>。
調査概要
調査手法/インターネットリサーチ
調査地域/全国47都道府県
調査対象/20~69歳の男女
調査期間/2023年5月1日~8日
有効回答数/ 本調査1200サンプル(人口構成比に基づいて割付)
関連情報
https://www.cross-m.co.jp/report/exp/20230525exp/
構成/清水眞希