担当編集が泣く泣く削った「人生がクソゲーだと思ったら読む本」の〝幻の原稿〟を特別公開！

2023.06.16

ライフスタイル

VTuber・犯罪学教室のかなえ先生の新刊『人生がクソゲーだと思ったら読む本』が発売前重版するなど話題を読んでいる。

今回は、その中で担当編集がページ数の都合で泣く泣く削ったトピックを＠DIMEの読者に限定公開！

自分は友達だと思っていても、向こうは友達だと思ってくれているのだろうか。

【お悩み】

大学生です。相手が私のことを本当に友達だと思っているかどうか確認する方法が欲しいです。

小学生の頃に同性（女）からいじめを受けていて、それから同性に対する人間不信が強まりました。高校生の頃、私のことを友達だと言ってくれた人がいて、怖くなってつい傷つけてしまいました。人との距離感がわかりません。

周囲からは「メンヘラ」だと言われるのですが、自分には自覚がありません。どうすればいいでしょうか？

【回答】　友達かどうかなんて確認する必要なし。困っているならカウンセリングを受けましょう。

非常に重い悩みですね。

先に無礼を承知で提案させていただくのは、精神科への通院です。過去のいじめが原因で対人関係の構築が難しい状態になっているならば、個人で考え方を変えるトレーニングをする領域を超えています。

なぜ精神科なのか説明すると、精神科は心理的な要因で体に症状が現れる「心身症」を主な対象とする心療内科と違って、心の症状や病気を専門に扱っています。一般に統合失調症やうつ病、不安症、依存症などの病気を、症状としては落ち込みやイライラなどの気分症状や、不眠や過眠などの睡眠障害、幻覚幻聴などの精神症状、ＰＴＳＤ（心的外傷後ストレス障害）などの心の病気の診療を行っています。

勇気を持って相談を寄せてくれたアナタには非常に申し訳ないですが、過去のいじめが原因で健全な対人関係の構築が難しい場合には専門医と二人三脚で治さなければなりません。そのため、ここから先の私のアドバイスは気休め程度に捉えてください。

まず、いじめによってつけられた心の傷に無理やり蓋をして見て見ぬフリをしながら生活しても、いつかカサブタが破れて傷が痛み出してしまいます。

彼が／彼女が友人かどうかなんて、確かめることはできません。なぜなら、友人かどうかは、自身で判断して認定しなければならないからです。自分が友人だと思ったとしても、相手からは「ただの知り合い」ということは実際にあります。

しかし、それで傷つく必要もないです。これは、裏切られることや傷つけられることを恐れるなということではありません。ただ、最初は良い人だと思っても、付き合いが長くなるにつれて小さな価値観等の差異が積み重なっていき、その人との距離が離れてしまうということは人生の中で多少発生します。

今、アナタの人との距離感がわからないというのは、情緒的な混乱を持続させながら被害的な自分基準で他人との距離感を測ってしまっているからではないかと思いました。そのせいで、ちょっとのことで不安に襲われてパニックになってしまったり、相手を試そうとして相手を傷つけてしまったりするのではないでしょうか。　最近のＳＮＳの普及などの影響で簡単に人と繋がれるようになった一方、人との縁を切ることが容易にできる世の中になりました。

嫌われるのが怖い。

縁を切られた、ムカつく。

しかし、相手は自分とは違う他人。全部が自分の思い通りになるわけではありません。

そもそも、友人として他者を信じようとするとき、私たちはその人の内面をどこまで理解して「信じる」のか疑問に思ったことありませんか？

実は私たちが自身に対して抱く評価が、周囲の他者から下される評価と食い違うことがあります（もちろん一致することもあります）。これは逆も然りで、私たちが相手に対して抱く評価と、相手が自身に対して下している評価にすれ違いが発生することがあります。

私たちはこれまでの経験から、相手の言動や振る舞いなどから「〇〇な人だろう」とだいたいのあたりをつけて理解を深めていこうと思います。つまり、私たちは相手の全てではなく、一面だけを見て作り上げた自身の理想とする相手の人物像に評価を下してしまうのです。そして、親しくなればなるほど、現実の相手と自分が作り上げた相手像の距離が縮まっていき、両者の評価も一致していくようになります。

そこで友人から「裏切られる」ということが起こった場合、多くの人は友人を非難することでしょう。しかし、一方で「裏切り」というのは「自身の作り上げた相手の自己像が間違っていた」もしくは「今まで見ていなかった相手の一面が見えた」ということでもあります。はっきり言えば、自分の見る目がなかったということ。この視点を持つことで、裏切られたと思ったときにすぐに相手を非難するのではなく、実際に発生した結果を冷静に受け止める力を身につけると、人間関係で一喜一憂することは少なくなります。

相手に期待するなと言いたいわけではありません。まずは、自分自身のことを受け止めて信じられるようにしましょう。自分を信じられるようになると、仮に人の見る目がなかったと思っても成長のチャンスとして受け止められるようになります。

相手に裏切られた、友人ではないとわかったとしても「相手の新しい一面が見えてきた」と相手を受け止められるようになることで、自然と人間関係で悩むことも少なくなると思います。特にアナタのような誰が味方で、誰が敵かわからず不安に陥りやすい人の場合にこそ、まずは自分自身を自分の最大の味方であると受け止めてあげてください。

ただし、冒頭にもコメントした通り、ひとりで解決することは非常に難しい問題です。

ぜひ私のアドバイスも参考に専門医などの診療を受けて見てください。

心やすらかな日々が送れるようになることを心から祈っています。