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ASUSのジョニー・シー会長に聞く、徹底して実践している「デザイン思考」のモノづくり

2023.06.01

PC春夏モデル発表会の冒頭、ASUSのジョニー・シー会長は、約12年前に販売を開始し、今や同社のノートPCの看板ブランドとなっている『Zenbook』について振り返った。日本の「禅」から名前をとった『Zenbook』は「平和とバランスをもたらす、禅の精神を体現した製品」を目指して開発されたもの。当初は水の波紋や禅庭の砂利の模様からイメージしたという、同心円状のデザインがシンボルとなっていたが、最新モデルではASUSのロゴ「Aモノグラム」をデザインに取り入れ、有機ELディスプレイを搭載しつつ薄さと軽さを極めた、よりスタイリッシュかつパワフルなノートPCへと進化を遂げている。

最新の『Zenbook』シリーズを手にするジョニー・シー会長。

同心円状の天板デザインで人気を集めていた初期の『Zenbook』シリーズ。

徹底したデザイン思考の実践と実行が先進的な製品を生む

デザイン思考を大切にし、常に人々のニーズから製品開発に取り組んでいると話す、ジョニー・シー会長。台湾本社で行われたグループインタビューで、ASUSのモノづくりへのこだわりやAIへの取り組みを聞いた。

──ASUSは2画面のPCなど、これまで先進的な製品を発表し、市場に投入してきました。なぜ挑戦を続けるのですか?

シー会長:私たちはデザイン思考を大切にしています。デザイン思考は、私たちの製品開発の武器であり、物事を考えるときの方法でもあります。デザインは常に人から始まっています。新しいテクノロジーがどんどん出てきますが、どんなに優れたテクノロジーも、人から出発しないとだめです。まず消費者が何を欲しいと思っているのか、困っている点は何か。ニーズを理解しなければなりません。

デザイン思考とは、そうした「顧客のニーズ」と「ビジネスの可能性」、「技術的な実現可能性」の3つの要素からなるベン図の、スイートスポットを見つけ出すことです。

様々な「顧客のニーズ」がある中で、美しい上に薄型で、長持ちするバッテリーを同時に実現するにはどうしたらいいか。我々のR&Dチームは常に、様々な「技術的な実現可能性」にチャレンジしながら、なるべくたくさんの顧客のペインポイントを満たそう、解決しようとしています。例えば美しい金属の筐体は、あらゆる信号を通しにくい。ではどうすればいいのか。

競争相手でもできるような開発には価値がありません。我々はいつもいばらの道、他社が選択しないような難しい道を選んでいます。デザイン思考は我々のDNAの中に入っていて、他社との差別化につながっている。一方で「ビジネスの可能性」では、コストも重要です。いくら美しく優れたPCを開発したとしても、やはり売れなければ、あるいは赤字になってはだめだからです。

デザイン思考では、感情的な要素と実現可能性という2つの要素を、常に考えておかなければなりません。理性的なパラメータと感情的なパラメータの絶妙なバランスを見つけることは、簡単なようで実はとても難しいことですが、この方法論を15年近く実践してきた結果、ASUSの多くの社員は、デザイン思考の実践と実行に熟達しています。

──ユーザーニーズをどのように捉え、どう他社と差別化しているのでしょうか?

シー会長:今、消費者が使っているデバイスは、PCからスマートフォンへと移っています。ほとんどのタスクを、スマートフォンで処理できるようになってきています。ではPCはどういう用途で使われるかと言うと、生産などよりパワフルなツールとして利用されています。最近ChatGPTが脚光を浴びていますが、あのようなスマートコンピューティングも、我々が考えるPCの能力の一つです。

ASUSの大きな財産であり、また他社との差別化の要因の1つは、非常に強固な技術的基盤を提供する、エンジニアリングDNAだと考えます。34年前に数名のエンジニアたちと起業したのですが、今では組織の中に5000人以上のエンジニアがいて、今、そのうち1000人以上がデジタルツイン、サイバーフィジカルシステムなどの開発に取り組んでいます。

もうひとつの原動力はNPS(ネット・プロモーター・スコア)です。NPSで問う質問は「この製品や会社を友人や同僚に薦めたいですか?」など極めてシンプルなものです。私たちは、0~10の11段階評価のうち、9や10と回答した人たちの体験を再現・複製することに重点を置いています。とてもシンプルな質問のように感じるかもしれませんが、シームレスで楽しいデジタル体験を、お客様に提供するために改善できることは実はたくさんあるのです。

デザイン思考の徹底、当社のエンジニアリングDNA、そして最高のNPSを達成するための絶え間ない努力の積み重ねが、ASUSを他社と差別化し、新しいデジタル時代において秀でたポジションに位置することができていると言えます。

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