2022年8月、B’zがアルバム『Highway X』の初回限定盤に収録曲の別バージョンを録音するカセットテープを付けて、大きな話題になった。直近でも、スピッツやメタルバンド・Metallicaが、CDや配信とともにカセットテープで新譜をリリースしている。
なぜ今、カセットテープの新譜販売が増えているのか。その背景にあるZ世代の評価について、大手CDショップチェーン・タワーレコード渋谷店で専用売り場を担当する田之上 剛さんは解説する。
「2007年に海外のインディーズレーベル『バーガーレコード』がメイン扱いでリリースしたカセットテープの作品に、当時の若者世代が飛び付き、人気に火が付いたんです。そこから世界的に再評価の流れができました」
タワーレコードの店舗でもカセットテープを求める人が増えており、その大半は若年層だという。
「小さなカセットテープで音源を聞けることが新鮮に感じるようです。配信やCDのアートワークとは異なる縦長のジャケットにも惹かれてコレクション用に購入する若い人たちも少なくありません」
再生に欠かせないプレーヤーも人気だ。今年2月にリリースしたタワーレコード発のプレーヤーは、2年前に3型で販売した旧モデルの売り上げをすでに超えたという。
「ラジカセの独特なデザインを評価する声も多いです。最近では単体のスピーカーとしても使える便利なBluetooth対応モデルが増えていて、レトロなデザインだけでなく実用性が伴っている点も若者層に支持されている理由でしょう」
新譜も再生機も充実してきたカセットテープ。再評価の流れは、しばらく続きそうだ。
タワーレコード発のシンプルなプレーヤー
タワーレコード『TOWER RECORDS カセットプレーヤー』
6050円
再生/停止/早送り/巻き戻し/音量調整というシンプルな機能を、無駄のないデザインに凝縮。ノーマル、ハイバイアス、メタルの各テープをステレオ音声で再生可能。単3形乾電池2本のほか、USB給電でも使える。
● REC POINT!
PCを使わなくても、カセットテープに記録された音源を、USBメモリーにデジタル形式で録音できる。かつて聞いていた青春の1曲を手軽にデータ化できるのはうれしい。