新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本の企業文化にリモートワークが定着して久しい。コロナ禍がひと段落した最近では、リモートワークによる作業効率低下を理由にオフィスへの出社を再開する会社も増えているが、実際のところ、リモートワーカーたちの作業効率は落ちているのだろうか?
また、経営者・役員は、出社とリモートワーク、どちらのほうが経営的立場から好ましいと考えているのだろうか。
識学はこのほど、会社員200名、経営者・役員100名を対象に「働き方の変化に関する調査」を実施し、その結果を発表した。
今の働き方、「出社とリモートワークのハイブリッド型」が60.0%
Q1. 【会社員】あなたがお勤めの会社での働き方について、近いものをお答えください。
(単数回答、n=200)
現状の実施状況に関わらずリモートワークが可能な会社員に、現状の働き方を聞くと、「出社とリモートワークのハイブリッド型」が60.0%、「フル出社型」が25.0%、「フルリモート型(全く出社することはない)」が15.0%という結果となった。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で定着したと言っていいリモートワークだが、新型コロナウイルス感染症のピークが過ぎた現在でもその働き方は一部残り、主流は「ハイブリッド型」になっているようだ。
Q2. 【出社とリモートワークのハイブリッド型の会社員】あなたがお勤めの会社におけるリモートワークの頻度をお答えください。
(単数回答、n=120)
Q1で「出社とリモートワークのハイブリッド型」と回答した人に「リモートワークの頻度」を聞くと、最も多かったのは「週に1日程度」で31.7%。次に「週に2日程度」(28.3%)、「週に3日程度」(23.3%)ととなった。リモートワークを実施しているとは言っても、その実施日は少ないようだ。
“コロナ禍”を経ての生活の変化…「睡眠時間が増えた」がトップ
Q3. 【会社員】新型コロナウイルス感染症の流行時から(2020年1月以降)現在まで、あなたご自身に生活の変化はありましたか。
(複数回答、n=200)
では、リモートワークでの働き方も増えてきた新型コロナウイルス感染症の流行時から現在で、生活の変化は起きたのだろうか。
その内訳を聞いてみると、「睡眠時間が増えた」が37.0%と最も多く、以下「趣味に時間をかけられるようになった」(32.5%)、「家族で過ごす時間が増えた」(32.0%)、「健康的な生活を送れるようになった」(30.0%)と続いた。
また「現在リモートワーク(ハイブリッド型含む)」の人、「現在フル出社」の人、それぞれの立場で見ると、「現在リモートワーク(ハイブリッド型含む)」の78.7%の人が、何かしら生活の変化があったと回答したのに対し、「現在フル出社」の58.0%の人が「特に変化はない」と回答した。やはり働き方の変化が生活にも大きく影響しているようだ。
中でも顕著だったのが「睡眠時間」で、「現在リモートワーク」の人は「睡眠時間が増えた」46.7%とトップだったのに対し、「現在フル出社」は8.0%と38.7ポイントも差があった。
Q4. 【会社員】新型コロナウイルス感染症の流行時(2020年1月以降)と現在を比較し、働き方の変化によって起きた出来事・エピソードがあればお答えください。
(自由回答、n=200)
【リモートワークへの肯定的な意見】
・他社との打ち合わせは、全てオンラインで行うようになった。(48歳男性、研究・開発)
・会社でしやすい作業とリモートワークで良い作業を分けながら仕事を進められる。(50歳女性、財務・会計・経理)
・最低出社日数が定められ、それさえ満たせばリモートワークでよくなったので、時間に余裕がもてるようになった。出勤のストレスもなくなり、以前よりかなり快適になった。(41歳女性、財務・会計・経理)
・リモートワークで通勤がなくなったので、隙間時間で副業や運動を始めた。(56歳女性、クリエイター・デザイナー)
【リモートワークへの否定的な意見】
・自室で仕事ができるという開放感がなくなりストレスを感じるようになった。(42歳男性、営業)
・リモートワークの導入で、出社したときにできた簡単な意思疎通がしにくくなった。(49歳女性、人事・労務)