食のトレンドは「見栄え」「食材へのこだわり」「ノンアルコール」
大規模なのは駐車場だけではない。店舗数は「屋台村」という概念をはるかに超えた約70(8割が飲食店で2割が雑貨店)。
移民国家オーストラリアらしく、世界各国出身の料理人たちによる本格的な各国料理が楽しめる。
数人で食事に行く際、「何料理にするか」で意見がわかれることもあるが、ここでなら各自好きなものを注文して、いっしょのテーブルで楽しむことが可能だ。
お値段はものにもよるが一人前の食事が13~20豪ドル(約1190~1830円)。フードコートでの食事よりはもちろん少し値が張るが、市中心部のレストランと比べると半額以下といったお手頃価格。
「ここから成功を収めよう」と夢を持つ料理人たちがしのぎを削っているので、味はもちろんそこらのフードコートよりも上の店が多い。
たとえば「PPピザパスタ」で提供する「ブッラータピザのトリュフ掛け」(18豪ドル=約1600円)。ブッラータとはモッツァレラと同様の製法で作られるチーズだ。
私はてっきりアツアツのチーズが出てくるのかと思ったのだが、ブッラータはプチトマトやバジルとともに冷え冷え。アツアツのピザとの温度差がもたらす摩訶不思議なハーモニーが絶品だ。
「ブッラータピザのトリュフ掛け」。ピザ職人の腕が如実に表れるマルゲリータを上品にアレンジした感じ
オーストラリアらしい料理の一つが「パスタインアコッド」。直径12センチほどの硬くて丸いパンの中身をくりぬき、その中にソースを入れたものだ。
「シーフードチャウダー」(18豪ドル=約1650円)はホワイトソースの中にエビ、イカ、ムール貝、ネギ、ニンジンなどを加えたの。まろやかなソースとシーフードのうまみ、そしてパンの食感が見事に絡み合う。ちなみにこれにパスタは入っていない。
「カルボナーラ」(16豪ドル=約1470円)はパルメジャンとモッツァレラの2つのチーズを加えたより濃厚なクリームソースとベーコンのしっかりとしてうまみをパンががっちり受け止めた逸品だ。
ステイトン氏によると最近のトレンドとして「見栄えのいいスイーツ」が挙げられるという。いわゆる「インスタ映え」を求める人がオーストラリアでも増えているのだ。
そんな人たちを魅了しているのが「フラッフィージャパンケークス」のパンケーキだ。
イタリア人のエンゾ・ミラチ氏と日本人の佐山瑠璃氏の二人で共同オーナーを務める。取材時は「出店してまだ3週間目なんです」(佐山氏)とのことだったが、早くも人気店の仲間入りをしている。
「フラッフィージャパンケークス」の共同オーナー2人とステイトン氏(右)
同店の3大人気メニューの一つが「フィラデルフィアベリーズチーズケーキ」(16豪ドル=約1470円)。スフレのふわふわ、クリームのとろとろ、トッピングのビスケットのサクサクが絶妙。イチゴとストロベリーソースの甘みとブルーベリーのすっぱさも素晴らしくマッチしている。
「フィラデルフィアベリーズチーズケーキ」。他の人気メニューは「クリームブリュレ」(14豪ドル=約1280円)と「京都宇治抹茶」(15豪ドル=約1370円)。抹茶人気は世界的なものだ
ステイトン氏によると他にも最近のトレンドがあるという。「たとえばグルテンフリーとかベジタリアンのように食材を限定する人が増えてきましたね。それとノンアルコールも人気が高まっています。ウチでもノンアルコールのバーを設置しました」
いわゆる「ライブキッチン」的に調理が見えるのも「屋台村」の魅力の一つだ