大手企業が続々と導入するxenodata lab.(ゼノデータ社)の「xenoBrain」(ゼノ・ブレイン)というサービスをご存知だろうか。「そんなことできるの?」と思わせる次世代のAIが、経営企画や営業、調達部門のビジネスを変革しようとしている。代表の関洋二郎氏に詳しく話を聞いた。
プロレベルの経済予測が誰の手にも
例えば、あなたが工作機械メーカーの経営企画部門のエース社員だとする。上司からこんな仕事を振られたら、なんと言うだろう?
「わが社もデータと予測に基づいて、経営の先手を打ちたい。1年後のわが社と競合他社の売上、今後5年で有望な顧客の業界を予測してくれ。できれば、新規事業が成功しやすい分野も知りたい。来週の会議までにお願いね♪」
「それは無理です」が、これまでの常識的な回答だ。
業界や市場の予測は、専門的なアナリストが何日もかけて行う作業だ。しかも、工作機械はあらゆる素材、部品の加工に利用されるので、自動車、建設、機械と、対象の業界は実に幅広く、すべてに精通するのは難しい。
しかし、これからはAIを活用することで、複雑な経済の未来予測ができるようになる可能性がある。
ゼノ・ブレインは、さまざまな経済状況を分析&予測できるプラットフォームだ。
大きな軸は次の3つ。
1.「企業」の業績(国内50万社)
2.「業界」の動向(国内2万業界)
3.「市場」の需給(3万品目)
ミクロからマクロまで、ほぼオールジャンルで、少し先の経済状況がみえるわけだ。
現在、上場企業を中心に100社以上が導入し、「精度に対する満足度は高い(代表・関洋二郎氏)」。経営企画部門、営業部門、調達部門が主なターゲットで、予算の策定や事業開発、営業のターゲティングや提案のアイデア、購買業務の効率化などに活用されている。
独自の大規模言語モデルを搭載するAI
未来予測を可能にしているのは、ぼう大な過去のデータと独自開発の生成&予測AIだ。AIは、過去10年分、2000万本の経済ニュースを、大規模言語モデルとディープラーニングによって学習する。
過去に何があって、数年後にどうなったか。ストーリーがわかるから未来を予測できる。
難しいのが、テキストデータを数値での予測が可能なデータに変換することだが、ディープラーニングとさまざまなモデルの組み合わせが、それを実現した。「知る限り、国内に競合はいない(関氏)」。
経済予測は、実現すれば誰もが素晴らしいと考えるソリューション。ゼノデータの事業には、ニッチなニーズの発見や、巧妙な売る仕掛けがあるわけではない。あえて言うなら、AIが未熟な時代からテクノロジーの進化を信じ、誰も挑戦もしなかった領域に振り切ったのが、このビジネスの妙だ。
今後の課題を聞くと、「マーケットのニーズは明らか。中長期的にテクノロジーの開発をしっかりやっていけばいい」と、関氏は自信たっぷりに答えてくれた。
取材・文/ソルバ!
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