慢性的な人材不足に陥っているとされる建築業界。2024年4月に時間外労働の上限規制が復旧・復興の事業を除いてすべての建設事業に適用される「2024年問題」を目の前に、就業環境の改善に向けた業務のデジタル化や人員補充などを積極的に進めている。
それに伴い、他業界と同様に、高い技術と専門性を持ち合わせた人材の採用意欲は高まる一方だ。
そんな中、転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリアが運営する100万件の転職統計データを活用した求人要支援サービス「HR forecaster」はこのほど、職種×スキルの平均年収がわかるデータ「保存版ハンドブック スキル年収マップ」の第5弾として、「技術・専門職(建設・建築・不動産)編」を公開した。
平均年収が最も高い職種は、「不動産開発」で667万円
平均年収が最も高い職種は、土地を買い取り、分譲して戸建・マンションを建築・販売する「不動産開発」で、667万円だった。
2位は、施設や工場の機器、環境を管理する「工場ファシリティ・ユーティリティ・労働安全衛生」で597万円、3位は石油・化学など、工業活動に必要な素材や資源を作り出すための生産設備を建設・管理する「プラント」で550万円となった。
<職種別平均年収>
※技術・専門職(建設・建築・不動産)全体の平均年収(以下、職種平均):475万円
1位:不動産開発……667万円(職種平均 +192万円)
2位:工場ファシリティ・ユーティリティ・労働安全衛生……597万円(職種平均 +122万円)
3位:プラント……550万円(職種平均 +75万円)
平均年収が最も高い職種とスキルのかけ合わせは、「不動産運用・管理」×「介護施設」で866万円
平均年収が高い職種とスキルのかけ合わせ1位は、「不動産運用・管理」×「介護施設」で866万円だった。「不動産運用・管理」は、取得した土地にオフィスビルや商業施設、分譲・賃貸マンション、一戸建て住宅などを開発または建設して、販売・賃貸し、運用・管理する職種だ。
「介護施設」のスキルとは、介護業界での勤務経験や介護施設の運営経験を指す。高齢者人口の増加に伴って、有料老人ホームの施設数が増えていることを背景に、介護施設の運営や施設管理のニーズが高まっているため、最も平均年収が高くなったと予想される。
2位は「不動産開発」×「ホテル」で836万円、3位は「プラント」×「所長」で741万円。いずれもスキルの保有割合が低く、希少性の高いかけ合わせがランクインした。
<職種×スキル別平均年収>
※職種平均:475万円
1位:「不動産運用・管理」×「介護施設」……866万円(職種平均 +391万円)
2位:「不動産開発」×「ホテル」……836万円(職種平均 +361万円)
3位:「プラント」×「所長」……741万円(職種平均 +266万円)
平均年収が最も高い資格は、「技術士(建築部門)」で750万円
企業が技術・専門職(建設・建築・不動産)に求める資格のうち、保有者の平均年収が最も高いのは、「技術士(建設部門)」で750万円だった。
「技術士(建設部門)」は、建設・土木分野で最難関と言われる国家資格であるため希少性が高く、さらに本資格を有していると予算規模が大きいプロジェクトや政府系案件に関わる機会が増えるためと推測される。
また、2位は電気設備の保安監督を行う「電気主任技術者第1種」で748万円、3位は空調設備や給排水設備などの配管工事の施工管理を行う「管工事施工管理技士1級」で670万円となった。
「電気主任技術者第1種」、「管工事施工管理技士1級」の平均年収が高い傾向にあるのは、近年の大規模なビルや商業施設の建設増加によるものと考えられる。
<取得資格別平均年収>
※職種平均:475万円
1位:技術士(建設部門)……750万円(職種平均 +275万円)
2位:電気主任技術者第1種……748万円(職種平均 +273万円)
3位:管工事施工管理技士1級……670万円(職種平均 +195万円)
出典元:転職サービス「doda」
構成/こじへい