不動産情報サービスのアットホームは、同社不動産情報ネットワークにおいて消費者向けに登録・公開された、2022年度(2022年4月~2023年3月)の定期借家物件の募集家賃動向について、アットホームラボに調査・分析を委託。先日、その結果が公表されたので、本稿では首都圏における概要をお伝えしていく。
なお本調査では、入居者が1カ月に支払う「賃料+管理費・共益費等」を「家賃」としている。またコメントでは、30平方m以下を「シングル向き」、30~50平方m以下を「カップル向き」、50~70平方m以下を「ファミリー向き」、70平方m超を「大型ファミリー向き」としている。
首都圏の定期借家マンション・アパートにおける平均募集家賃の推移
マンション概況(首都圏)
<図表1 平均募集家賃の推移(面積帯別)>
2022 年度(2022 年4月~2023年3月)の首都圏における定期借家マンションの平均募集家賃は、概ね前年度比上昇となった(図表 1)。
面積帯別に見ると、シングル向きの上昇率が全体的に低く神奈川県・千葉県の2エリアが下落となった一方で、ファミリー向きは全5エリア で上昇しており、中でも埼玉県では+12.2%と2桁台の上昇率となるなど面積帯による違いが見られた。
また普通借家との比較でも面積帯による違いが見られた。シングル向きでは東京23区を除 いて定期借家の家賃が普通借家よりも低いのに対し、ファミリー向き・大型ファミリー向きでは 全エリアで定期借家の家賃のほうが高い(図表2)。
<図表2 賃貸マンションにおける定期借家と普通借家の平均募集家賃と前年上昇率および差額>
物件数を見ると、賃貸マンション全体に占める定期借家物件の割合は、各エリアとも 6.0%以 下と前年度とあまり変わらなかった。東京23 区では定期借家物件の占める割合が前年度に続 いて増加傾向なのに対し、埼玉県では2019年度以降減少傾向が続いている(図表3)。
面積帯別では、広めの物件になるほど定期借家物件の割合が高くなる傾向は変わらず、東京23区の大型ファミリー向きは 27.8%と 2 年連続で増加。全エリア・面積帯の中で最も割合が高 い状況が継続している。
アパート概況(首都圏)
2022 年度の首都圏における定期借家アパートの平均募集家賃は、マンション同様、概ね前年度 比上昇となった(図表4)。面積帯別ではファミリー向きが全エリアで上昇しており、中でも千葉県は10.6%と2 桁台の上昇率となっている。
また普通借家との比較では、東京 23 区・東京都下は面積が広くなるほど定期借家の家賃が普 通借家よりも高くなる傾向にある一方、千葉県では逆転しており、エリアによる違いが見られた。
賃貸アパートに占める定期借家物件の割合は、シングル向きが最も高い状況が続く。前年度比 は各エリアとも概ね上昇となる中で、埼玉県は全面積帯で低下となった。
※ アパートの 70平方m超は募集物件数が少ないため調査対象外。
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構成/清水眞希