ChatGPTに比べて最新情報に強いという結果が出たマイクロソフト「Bing」のAIチャット。その特徴をフルに活用して使いこなす方法を知るべく、開発担当者の山岸真人さんに取材した。その仕組みや特徴、おすすめの活用例について解説していこう。
マイクロソフト ディベロップメント
「Bing」開発統括部
プロダクト マネージャー
山岸真人さん
日本人の利用率が高いというBingの担当者。これまでにはWord、Excel、PowerPointといったOffice関連の仕事なども担当してきた。
目指しているのが〝副操縦士〟。あえて曖昧な回答も生成する
Bingに追加されたAIチャットのコンセプトが「AIを利用したWeb向けcopilot(コパイロット)」。コパイロットとは、飛行機の副操縦士の意味でAIは意思決定を行なう人間(操縦士)を補佐する役目に徹するという意味が込められている。それを象徴しているのが回答の出典元を明記する「詳細情報」だ。
「従来の検索エンジンは情報の精度や量を得るのに適しているのに対し、AIは曖昧な問いの回答も得られるため、ブレーンストーミングのような使い方にも適しています」(山岸さん)
そのため、BingのAIチャットには会話のスタイルで創造的な回答の生成をサポートするモードも搭載している。このような対話式のインターフェイスは、同社が独自に開発したもの。さらに、ChatGPTと大きく異なるのが、もとになる情報の鮮度だ。
「Bingは検索サービスにより、リアルタイムで最新の情報を更新しています」(山岸さん)
情報の更新速度は圧倒的で、時に数分前のニュースですら反映しているとか。情報や常識が日々更新される現代において、情報の鮮度が高いBingを活用しない手はないだろう。
最新情報を反映できるBingの回答生成フロー
Bingは自然言語を処理する「大規模言語モデル(LLM)」にOpenAIのGPT-4を使用。ユーザーと対話する「インターフェイス」と、回答の生成に用いる「知識データベース」は、マイクロソフトが独自に開発したものだ。
最新情報をカバーしているBing検索の便利ワザ
新しい投資制度の詳細を調べたい時
Web検索の結果もリアルタイムに反映してくれるため、例えば最新の投資制度に関する質問にも、専門メディアなどに公開されている記事を参考にしながら回答してくれる。条件として設定したメリットとデメリットに関してもしっかりと挙げてくれるので把握しやすい。
今後必要な税制対策を知りたい時
これから施行される税制関連についてチェックしたい時にもBingは役立つ。左は回答の一部で、割愛した後半部分には、インボイス制度に関して会社員の業務に与える可能性がある懸念点を端的に示してくれている。詳しくは欄外のQRコードをチェックしてほしい。
株価の見通しを把握したい時
日々刻々と状況が変化し、先行きが不透明な株価に関しても、専門家の発言などをBingでチェックすることができる。ChatGPTと同様に、質問するたびに異なる回答を生成するので、日々チェックして株価に関する自身の最新情報をアップデートするといいだろう。