DIME MAGAZINE
生成系AIの活用が加速している。中でもアメリカのOpenAIが開発した「ChatGPT」の勢いはすさまじい。日本でもChatGPTを使って開発したアプリが次々誕生している。話題のアプリ開発者にその魅力を聞いた。
【CASE 1】リリースから1か月で登録者数130万人突破！「AIチャットくん」
開発者はこの人
picon
COO／エンジニア
渋谷幸人さん
東京大学文学部在学中の2016年CEO山口翔誠さんと2人でpiconをスタートアップ。エンジニアとしてソフトウェア開発、Webサイト制作などを行なっている。
ChatGPTを組み合わせれば次々に革新が生まれてくる
「開発期間は約半日。一番に出そうと、ChatGPT向けAPI（アプリケーション用インターフェイス）の公開当日にリリースしました」と語るのは、リリース1か月でユーザー数が130万人を突破した「AIチャットくん」の開発会社piconのCOO、渋谷幸人さんだ。
「音声入力ができるので、話し相手に使う方が多いようです。ユーザーの年代も幅広く50代以上が全体の14.5%を占めています。365日24時間稼働のオンライン秘書感覚で使うユーザーも増えています」（渋谷さん）。活用シーンはプラベートにとどまらない。「どんなマーケティングの選択肢があるか」など、ビジネスの課題にも応えてくれるので、移動中のわずかな時間でも仕事ができる。この反響に応えるため、猛スピードで機能強化や新作の開発を進めている。
「LINEのグループチャット対応でさらに使いやすくなりました。現在、日本の情報が薄いといわれるChatGPTの弱点をカバーするため大手のグルメ系、ホテル系などのサイトと連携し、より正確な情報に応えられる検証も行なっています。絵師レベルの画をLINEで瞬時に作れる『AIイラストくん』もローンチ予定です」（渋谷さん）
エンジニアにとってChatGPTは脅威だが、渋谷さんは、無限に広がるアイデアが何より楽しいと明かす。
「ChatGPTに何かを組み合わせるだけでクリエイティブなものが生まれます。世の中を便利にする余地が様々な分野で開かれているので、やりがいを感じています」（渋谷さん）
このプロンプトが「AIチャットくん」開発の第一歩に
GPT3.5turboの書くコードにはエラー（赤枠の箇所）も多い。「バグは自分で修正すれば問題のないレベル。総じてクオリティーは高いと思います」（渋谷さん）
「AIチャットくん」で何ができる？
LINE上で「ChatGPT」が使える
認証不要、LINEの友達に追加するだけでAIと会話ができるサービス。仕事や趣味、子育てから人生の相談までAIが答えてくれる。毎日5通まで無料。無制限利用できる月額980円プランもある。
「AIチャットくん」の仕組みは？
LINEが受け取ったユーザーのメッセージを、「AIチャットくん」に送り、「AIチャットくん」からOpenAIの「ChatGPT」にリクエストすると、回答が返ってくるという、シンプルな仕組みだ。
「AIチャットくん」の開発者は生成系AIの魅力をこう説く
目前のGPT4時代になれば誰もがプログラムできる日が来る！
APIにGPT3.5turboを使っていますが、GPT4になると、返しの精度がより向上し、トータルのクオリティーも高くなります。誰もがアプリを作れるのが最大の魅力で、一番期待している点でもあります。
【CASE 2】ローンチから1週間で70万アクセス突破！「GPTApp」
開発者はこの人
ミリオンダウト
代表取締役
福田考行さん
ドワンゴ、エレクトロニック・アーツなどを経て、2014年にミリオンダウト社を設立。ソフトウェアエンジニアとして、様々なアプリの開発を行なっている。
ChatGPTの躍進によってゲーム開発は劇的に変わる
作ってほしいアプリを書くと、ChatGPTが30秒で仕上げ即公開してくれる、夢のサービス「GPTApp」がバズっている。開発者の福田考行さんは人気の理由を、「まだ不完全で、単純なものしか作れません。意味不明のアプリができることもありますが、奇想天外でユーザーに楽しんでもらっています」こう分析する。「GPTApp」は、ChatGPT3.5をベースに、福田さんがお遊び感覚で開発したアプリだ。「コードをChatGPTに書いてもらい、動かないところは直すという流れで作っていきました。コードを書く能力は人より高いですね」（福田さん）
ユーザー数は推定15万人に達し、ゲーム中心に約5万個のアプリが生成された。開発現場ではChatGPTの活用も急加速中だという。
「現状はプログラムスキルがないとChatGPTでアプリを使った開発は難しいので、エンジニアは今が最後の稼ぎ時かもしれません（笑）。ただゲームはまだまだいろんな可能性があると思います。個人的には、従来の作業の効率化より、今までできなかったことに夢を託したいですね」（福田さん）
「GPTApp」で何ができる？
好きなアプリを最短30秒で公開できる
「こんなゲームがあったらいいな」という文章を入力するだけで、ChatGPTが爆速でWebアプリを生成。公開されたアプリの中では、「絵文字を使ったブロック崩しゲーム」や「じゃんけんアプリ」、「ゴミをよけるゲーム」が人気だ。
「GPTApp」の開発者は生成系AIの魅力をこう説く
マンパワーと時間をかけずに大作ゲームが生まれる可能性
生成AIは想像以上にクリエイティビティーが高いです。ダンジョンがランダム生成されるゲームと相性がよく、開発の自動化が進めば、ユーザーの行動で無限にストーリーが変わるような作品も実現しそうです。
【CASE 3】たった数回ツイートしただけで登録者1500人超！「Nobunaga AI」
開発者はこの人
リンクウェイ
開発者兼代表取締役
今道来輝さん
人材研修や組織開発の営業、目標管理などのマネジメントに従事。サービス開発やリリースの経験を積み、2022年にAIサービスを提供するリンクウェイを設立。
スキル不要で専門的な文章を自動で生成できる
ビジネスマンやライターの間で話題になっているのが、Web上のデータを活用し、テーマに合った文書を自動で作成する「Nobunaga AI」だ。大きな特徴が、ブログ、プレスリリース、販売メール作成など、目的に合わせた約50種類のテンプレート。例えばプレスリリースを選択して「会社名・製品名」を入力すると、数十秒で、文章を生成。文章の長尺化やブラッシュアップ、校正といった編集作業もワンクリックで行なえる。本家「ChatGPT」にはない文書の修正にも対応している。
「あらゆる業種の文書作成やアイデア出しをサポートします」と語る、開発者の今道来輝さんは、リンクウェイ社設立時に他事業を行なっていたが「ChatGPT」に衝撃を受け、「このままでは、将来が危ない」と事業をスイッチ。3か月かけて「Nobunaga AI」をローンチした。
「文書に無縁の友人が数日でブロガーのようなドキュメントを書けるようになりました」という今道さん。経験の有無を問わず、誰でもプロ並みの文書が書ける時代がそこまで来ている。
「Nobunaga AI」で何ができる？
ワンクリックで専門性の高い文章を生成
文章の自動作成・編集機能をはじめ、顧客データや売上報告書などからの課題の分析や、新商品のアイデア出し、Web情報の収集などができるドキュメント作成サービス。50以上のAIテンプレートがあり、知識がなくても専門的な文章を書ける。
「Nobunaga AI」の開発者は生成系AIの魅力をこう説く
生成AIの社会進出が人手不足を解消し時間の効率化を実現する
企画のアイデア出し、企業の課題分析などもできるので、ChatGPTは労働力や時間の効率化にも貢献します。「Nobunaga AI」も最終的に、時間をかけずに画像まで生成できるシステムを目指しています。
取材・文／安藤政弘
DIME7月号の特集は「ChatGPTの超活用術」
企画書の作成から調査分析、営業ツール、Exel関数、資産運用、ビジネス英会話、リスキリング、アプリ開発まで、これを読めば、ChatGPTの超便利な活用法がまるわかり！あなたの欲しい回答を導き出すベストプロンプトを詳しく解説。まさに超保存版です!!
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取材・文／DIME編集部
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