サーフィンといえば海……という時代は終わっていた。今、人工波でサーフィンを楽しめる施設が世界に続々とオープンしている。日本にもここ数年で4施設がオープン。その1つ、茨城県境町のcitywave Tokyo Sakaimachiの島崎敦さんに、人工波のサーフィンの魅力を聞いた。
世界で人気上昇中の新アクティビティ
人工的に波をつくって、年中いつでもサーフィンできる。人工ウェーブプールと呼ばれる施設が現在、世界に100か所ほどで生まれているという。アメリカやヨーロッパをはじめ、UAEのドバイの砂漠のど真ん中にもある。
日本には現在、4か所。兵庫県のコウベレイーズ(神戸市)、静岡県の静波サーフスタジアム(牧之原市)、神奈川県のラ・レイエス湘南(足柄上郡)、そして今年、茨城県境町にオープンしたcitywave Tokyo Sakaimachiだ。
citywave Tokyoは2018年から2021年まで東京の大井町で営業されていた。それが今年、場所を茨城の内陸部に移して再オープンした形だ。
茨城県境町のcitywave Tokyo Sakaimachi。4月にグランドオープン。インストラクターがついての初級者・中級者・上級者コースは、それぞれ1万780円、キッズコースは8, 910円。仲間と自由に使える貸切りもあり。営業時間は季節により異なるのでHPで確認を!
citywave Tokyo Sakaimachiの人工ウェーブプールは「リバーサーフィン」と呼ばれる設備を採用している。“川サーフィン”とは聞き慣れないが、ドイツ生まれの川で行う波乗りである。
海のサーフィンは沖合から浜に向かって波に乗るのに対し、リバーサーフィンは下流から上流に向かって流れを遡るかっこうで波に乗る。1950年代にドイツ・ミュンヘンを流れる川で生まれた遊び方らしい。
リバーサーフィンの特徴は、施設がコンパクトであること。citywave Tokyo Sakaimachiのプールは長さ20メートル、幅9メートル。総面積2000㎡。海に近い波を造りだす装置を採用している人工サーフィン場なら、この10倍の面積を要するだろう。
リバータイプの人工ウェーブプールでは、プールの川上から流れが次々と繰り出され、プレーヤーはこれに逆行する形でプールの向こう岸をめざす。向こう岸に着いたらターンして、すぐまた向こう岸へ。幅9メートルのプールをヨコに行ったり来たりする波乗りだ。
サーフィンのように沖合に向かってパドリングする必要はない。また、ボードに立った状態からスタートするので、テイクオフといってボードに立つ動きも必要ない。サーフィンではテイクオフがうまくできずに挫折してしまう初心者も多いが、ここではそういう心配はない。
つまり、人工ウェーブプールはまったくの初心者がサーフィンを始めるのに最適な施設なのだ。citywave Tokyo Sakaimachiでは初級から上級までコースが設定され、初心者も3回目くらいで波に乗れるようになるという。
初級コースはバーを使って。まったくの初心者でも3回程度受講すれば波に乗れるようになるという。
それにしても、波の方向が海とは逆のリバーサーフィンができるようになっても、海では乗れないんじゃないの? という素朴な疑問が沸く。その点、「大丈夫です」と島崎さん。「海でも初めに一度、講習を受けることをおすすめしますが、リバーサーフィンで身につけたスキルは海の波にも十分使えます」とのこと。
島崎さん自身はサーフィン歴15年のサーファーだ。citywave Tokyoでのリバーサーフィンは、「フォームの確認や目線の使い方など勉強になりますね。サーフィン上級者のブラッシュアップに有効です」と、サーファーにとっても乗りごたえのある波のようだ。