AF機構を組み込んで厚さ23.5mm!話題のパンケーキレンズ「Nikkor Z 26mm f/2.8」で昭和レトロを撮る
2023.05.30交通戦争から生まれた歩道橋
日本に歩道橋が初めて掛けられたのは昭和34年、愛知県西枇杷島町の国道22号線であるという。マイカーブームで盛り上がる高度成長期の日本では交通事故による死者が年々、増加して大阪万博の開催された昭和45年には交通事故による死亡者が1万6765人に達した。世はまさに交通戦争。このための対策として歩道橋は注目され、現在まで全国で1万2000橋も掛けられた。当時、小学生だった私でも、歩道橋より横断歩道が好きだった。歩道橋は景色を眺めるために登ったが道路を横断する手段としては考えていなかった。交通事故死の減少、高齢化社会の到来によって、現在、歩道橋の数は減少している。今でも歩道橋があるとつい登って、そこからの景色を撮りたくなるのは昭和世代の習性なのだろうか。
首都高の上下の間をすり抜ける迷路のような歩道橋
1/100sec、F5.6、ISO100
高速道路の高架下は昼でも薄暗い
1/80sec、F5.6-0.33、ISO100
ルノアールでモーニングを
昭和45年ぐらいから学生の間で喫茶店がブームになり、ガロの「学生街の喫茶店」、あべ静江の「コーヒーショップで」などの名曲も発表された。そんな個性的な喫茶店に混じって、サラリーマンのために生まれたのが「喫茶室ルノアール」だ。日本橋1号店は昭和39年開店とかなり歴史がある。駅チカでありながら、ゆったりした店内、12時までオーダーできるモーニングセット、オリジナルブレンドに夏は水出しアイスコーヒー。喫煙可の店舗が多く私は苦手だったが、最近は分煙化され、貸し切りルームでの打ち合わせなど利用する機会が増えてきた。天井が高く木材とレンガ作りで意外にうるさいコメダ珈琲店より、ルノアールの方が落ち着くと思う今日此の頃である。
駅チカの一等地にあり見つけやすい喫茶室ルノアール
1/320sec、F2.8、ISO100
名画座で二本立てを見る
新作映画を単館ロードショーする映画館に対して、名画座は過去の名作を独自にチョイスして2本立てや3本立てで上映されていた。昭和43年に生まれた岩波ホールを筆頭に、ミニシアターと名画座は増えていったが、昭和55年を過ぎるとレンタルビデオ店の登場によって、徐々に衰退していった。私が行ったことがあるのは、高田馬場パール座、早稲田松竹、東急名画座、新宿昭和館、そして牛込文化劇場である。現在も上映を続けている「ラピュタ阿佐ヶ谷」のお膝元に住んでいる。
ラピュタ阿佐ヶ谷で上映中の映画のポスター
1/30sec、F2.8、ISO100
写真・文/ゴン川野