AF機構を組み込んで厚さ23.5mm!話題のパンケーキレンズ「Nikkor Z 26mm f/2.8」で昭和レトロを撮る
2023.05.30連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
厚みは2.3cm、パンケーキのように薄いレンズ
交換レンズには、広角、標準、望遠、マクロなどの種類があるが、焦点距離にかかわらず、薄いレンズのことをパンケーキレンズと呼ぶ。高性能レンズは大きくて重いが、それの逆をいく薄くて軽いレンズなのだ。銀塩用のニッコールレンズであれば「45mmF2.8 GN」が有名である。厚みは3.1cmしかない。1969年発売のオールドレンズだがパンケーキという理由から人気があり、状態が良ければ中古価格2万円超えになることもある。
「Nikkor Z 26mm f/2.8」はAF機構を組み込んで厚さ23.5mmと前述のオールドレンズよりも薄い。技術の進歩に脱帽である。私が知る限り、最も薄いレンズはOLYMPUSのボディキャップレンズ「15mmF8.0」(生産完了)の厚さ9mmであるが、これは固定焦点なので、ちょっとズルい。調べてみると現行製品でライカMマウント用MFで厚さ8mmのFUNLEADER「CAPLENS 18mm f/8」というレンズがあった。どちらも超広角のボディキャップレンズなのでジャンルは少し違うが、薄いレンズは現代でも人気があるようだ。今回はフルサイズボディの「Z5」にパンケーキを付けて、写真家、小平尚典氏と東京で昭和レトロを探した。
モノレールターミナル
昭和の元祖高層ビルと言えば、昭和38年にオープンした地上36階の霞が関ビルディングだが、わずか2年で地上40階、地下3階の世界貿易センタービルディングに高さ日本一の地位を奪われてしまう。当時、港区三田三丁目に住んでいた私は近所の歩道橋に登って、東京タワーの隣で伸びていく霞が関ビルを眺めていた。それほど周囲に高い建物がなかったのだ。
世界貿易センタービルはモノレール浜松町駅を包み込むように建てられていた。羽田空港へ行くための東京モノレールが乗り入れたのは昭和39年で、新幹線よりも近未来的なモノレールに乗って、羽田空港から飛行機に乗ってハワイ旅行に行くのが子供たちの夢だった。そのモノレールターミナルが世界貿易センタービルの建て替えによって、周囲に建物がなくなり、全貌を明らかにしている。もちろん、この建物もリニューアル予定なので、そのうち見えなくなってしまう。6月から足場が組まれる予定なので今がラストチャンス。まさに令和の世に忽然と現れた昭和のビルなのだ。
奥のカマボコ型の屋根が昭和の駅舎で、その先は増築された建物
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