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サッカー選手からクラブ経営のトップに!44歳で湘南ベルマーレのGMに就任した坂本紘司氏が描く未来

2023.05.28

自身の転機となった2019年の曺貴裁監督のパワハラ問題

 その後、2013年にクラブフロント入り。指導の道には進まず、営業担当として社会人の新たな一歩を踏み出した。精力的に地元企業を回ってスポンサー獲得に走り回る日々は新鮮で面白かった。営業成績も上々で2年目には営業本部長に就任。管理職として2年半、その仕事に全力を注いだ。

 そして2016年には強化のトップであるスポーツダイレクター(SD)に抜擢される。

「営業本部長の時もそうでしたけど、いきなり『強化を手伝ってくれ』と言われて面食らいましたね(笑)。経験ゼロの自分は選手の代理人や他クラブの強化担当に名刺を配るところからスタートしました。ただ、SDといっても毎日契約交渉をするわけではなく、監督や選手と意思疎通、現場へのフィードバックなど、細々した仕事をこなす日々が大半。それを少しずつ覚え、慣れていきました」

 そんな坂本GMにとって、大きな挫折となったのが、2019年の曺貴裁監督(現京都)のパワハラ問題だ。指揮官は辞任に追い込まれ、自身はSDに残ったものの、減給処分を受けた。

「曺さんは僕が現役時代の最後の監督ですごい指導者。リスペクトが強すぎて、どこかに遠慮があったと思います。でも強化責任者である以上、主張できなければダメ。自分は力不足だったし、甘かったと痛感しました」と彼は改めて苦渋の表情を浮かべていた。

 失敗を機に仕事への向き合い方を変え、3年半が経過。湘南の2018~2023年までの6シーズン連続J1残留を実現させた。そしてコロナが明けたこのタイミングで経営のトップに就任。2022年の株主総会で湘南は「2030年に営業収益(売上高)35億円を目指す」という宣言をしており、その大目標達成を託されたのである。

フロント入りして10年間の奮闘の日々を述懐する坂本GM(筆者撮影)

社員全員とのワン・オン・ワン・ミーティングで一体感を醸成

「年明けの1月6日から代表取締役副社長GMとしての日々が始まりましたが、最初は『さあ、どうしよう』という感じでした(笑)。十分な準備をしていたわけでもないですし、ホントに手探りの出発でしたね。外部の人から『代表が代わって湘南は大丈夫かな』と見られるかもしれないとも思いました。

 でも、僕は1人で旗を振るタイプじゃない。みんなの目線合わせをしっかりして、一丸となって働ける環境を作ることが最優先だと考えたんです。

 自分には会社経営の経験がないから、眞壁さんや水谷さんのようにすぐに社長のような仕事ができるわけではない。周りに助けてもらいながら学び、進んでいくことが大事だなと思いました。SD時代にも信を持てずに失敗しているので、『堂々と自分の思いを伝えていくべきだ』と自ら言い聞かせて、新たな仕事にのぞんだんです」

 坂本GMがまず着手したのは、社員全員とのワン・オン・ワン・ミーティング。湘南のフロントは25人規模とJ1では小規模な体制になっているが、その分、1人1人に最大限の力を発揮してもらわないといけない。そのために、それぞれが何を考え、業務に携わっているかを知る必要があったからだ。

「僕は会社の全てを把握しているわけではなかったので、各部署の仕事を細部まで知る必要がありました。個々と時間をかけて話す中で、みんながどれだけクラブ・会社のことをよく考えているかが分かったし、意見を集約して方向性を示していくことが重要だと痛感しましたね。

 ただ、そこで自分が出過ぎないことも肝心。各部長を信頼して任せていくことも、組織を円滑に動かすためには重要なんです。それは監督を務めている山口智からも学んでいること。智は自分で決める部分とコーチングスタッフに任せる部分を明確に分けている。選手に対しても絶対にやらなければいけない決めごとは徹底しつつ、一方でアイディアを尊重する。そういったメリハリは上に立つ者には必要。そう考えて、僕もみんなが活き活きと仕事ができるマネージメントを心がけています」

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