カタカナで表記される外国の国名や都市名には、漢字表記があるものも少なくありません。その一つである『倫敦』は、何と読むのでしょうか?正しい読み方を由来と併せて紹介します。倫敦がある国の基本情報や食文化、観光地などについても確認しましょう。
倫敦の読み方とは
『倫敦』がヨーロッパの都市名だと聞いても、予測がつかないという人もいるのではないでしょうか?正しい読み方を知り、漢字表記の都市名の知識を増やしましょう。
正しい読みは「ロンドン」
倫敦の正しい読み方は、イギリスの首都である『ロンドン』です。イギリスは『英国』と書かれることが多いですが、『英吉利』と表記します。どちらも難読なのは、漢字表記が音の響きに近い漢字に当てはめた当て字であるためです。
漢字表記は中国語の国名や都市名が基になっていますが、中国語とは発音が異なるため、日本語の発音に近い漢字に変更されているものも少なくありません。ロンドンもその一つで、中国語では『伦敦』です。
なぜ倫敦と書かれるようになった?
ロンドンという都市名は、どのようにして付けられたのでしょうか?倫敦になった由来を紹介します。また、イギリスの国名の由来についても見ていきましょう。
倫敦の由来はさまざまな説がある
ロンドンの由来は諸説あり、その一つが『Llyn-din(リンディン)』を語源とするものです。先住民のケルト族が、テムズ川付近の地域を『川のあるところ』という意味の『Llyn-din(リンディン)』と呼んでいたことに由来します。
もう一つの説は、ケルト語で『荒れた』を意味する『londo(ロンド)』に由来するというものです。古代ローマでは『Londinium(ロンディニウム)』または『Londinion(ロンディニオン)』と呼ばれ、のちにロンドンと呼ばれるようになったといわれています。
「イギリス」の由来はポルトガル語
イギリスの由来は、ポルトガル語でイギリスを指す言葉『Inglez(イングレス)』が由来とされています。『アングル人の国』という意味があります。江戸時代にイングルスという言葉が日本に伝わり、イギリスと呼ばれるようになったといわれています。
イギリスは日本独自の呼び方で、正式名称は『United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)』です。
なお、新聞や雑誌などで『英国』や『英』と漢字表記されるのは、明治・大正時代に『英吉利』と漢字表記が使われていたことの名残です。
倫敦のことを知ろう
ロンドンはイギリスの首都であるとともに、イギリスの4つの構成国の一つであるイングランドの首都でもあります。どのような場所なのか、基本情報や食文化、観光名所などを紹介します。
多国籍の人が暮らす都市
ロンドンは長い歴史を持ち、数多くの歴史的建造物が残っている都市です。面積は約1,572平方キロメートルで、人口は約902万人です。
イギリスの国土面積は日本の約2/3で、約6,708万人が暮らしていています。主な宗教は『英国国教会』などです。
主な言語は英語ですが、地域によってはウェールズ語やゲール語も使われています。さまざまな民族が暮らす多民族国家で、中でもロンドンは世界中から人が集まっているため、300もの異なる言語が話されているといわれています。
参考:英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)基礎データ|外務省
倫敦の気になる食文化
イギリスは日本と同じく海に囲まれているため、魚介類が豊富です。揚げた白身魚にフライドポテトが付いた『フィッシュ&チップス』は、イギリスの伝統料理として広く知られています。モルトビネガーと呼ばれる酢を振りかけて食べるのがイギリス流です。
国土は牧場や牧草地も多く、肉類や乳製品も豊富です。『ローストビーフ』も伝統料理で、日曜日にローストビーフを食べる家庭も少なくありません。マッシュポテトやローストした野菜などと一緒に、グレイビーソースをかけて食べるのが一般的です。
また、紅茶の国として知られ、頻繁に紅茶を飲む習慣があります。3段のケーキスタンドにサンドイッチやケーキなどが並べられ、紅茶とともに楽しむ『アフタヌーンティー』は、日本でもよく知られているでしょう。
倫敦はいつでも天気が悪い?
ロンドンでは、年間を通して雨がよく降ります。1日中、大雨が続くというよりも、小雨が降ったりやんだりするため、傘を差している人の姿を見ることは、ほとんどないでしょう。
ロンドンは、日本同様に四季があります。北海道よりも緯度が高い位置にありますが、温暖で過ごしやすいのが特徴です。暖流や偏西風の影響を受け、真冬でも気温がそれほど下がらず、めったに雪も降りません。
最も気温が上がるとされる7月でも平均最高気温は28℃です。湿度も低く、夜9時ごろまで明るいため、ベストシーズンといわれています。
参考:気象庁|地点別データ・グラフ (世界の天候データツール(ClimatView 月統計値)
訪れたい観光名所や世界遺産
ロンドンには、数多くの世界遺産や名所があります。代表的なのが、『ビッグベン』の名で親しまれている有名な時計台に隣接している『ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)』です。
イギリス王室の王宮である『バッキンガム宮殿』も多くの観光客が足を運んでいます。黒い帽子と赤い制服を着た近衛兵の交代式は、見どころの一つです。そのほかにも『ウェストミンスター寺院』『タワーブリッジ』『ロンドン塔』などの歴史的建造物の名所があります。
ロンドンは美術館や博物館も多く、『大英博物館』は広大な敷地に約800万点もの貴重な美術品などが収蔵され、このうち約15万点が常設展示されています。
構成/編集部