DX化やAIの進歩など、急激に進む企業・労働を取り巻く環境。その変化と同時に生まれる新しい職業や仕事に対応する新たなスキルを習得する“リスキリング”に、政府は今後5年間で1兆円を投資する方針を発表している。
また、企業主導の従業員へのリスキリングだけでなく、個々人においても働きながら学び、新たなスキルを習得することが推奨される兆しが現れている。
こうした中、ヒューマンホールディングスはこのほど、リスキリング(学び直し)に取り組む意向がある20~39歳の男女1032名を対象に意識調査を実施し、その結果を発表した。
リスキリングで習得したいスキル1位は「英会話」
リスキリングに取り組んだことのある、またはこれから取り組みたいと思っている分野について質問したところ、1位は「英会話(25.4%)」、2位「会計・経理・財務(15.0%)」、3位「FP[ファイナンシャル・プランニング](14.7%)」という結果になった。
20・30代においては、業務のグローバル化などに対応し、語学スキルを身に付けることで業務範囲を広げる意識や今の職務においてより高度なスキルを身に付ける“アップスキリング”の意識が強い傾向にあるかもしれない。
リスキリングに取り組む(取り組もうと思う)目的は?
リスキリングに取り組む目的としては、「自分の価値を高めるため(24.4%)」「仕事の幅を広げるため(19.7%)」「スキルや能力を可視化するため(15.5%)」が続いた。
「今の仕事に不安を感じているから(6.8%)」「環境の変化に対応するため(3.7%)」「リストラや不況など、もしもの時のため(3.6%)」など外的要因による不安解消やリスクヘッジのために取り組む傾向は低く、自身のキャリア構築のためにリスキリングを捉えていることが推測される。
リスキリングに取り組んだことによる(または期待する)効果は、自身のメンタル面への効果が多数
リスキリングに取り組んだことでどのような効果があったか(これから取り組む人に対しては期待する効果)について質問したところ、「視野が広がった(32.1%)」「自分に自信がついた(31.8%)」「仕事へのモチベーションが上がった(20.7%)」「アイデアの引き出しが増えた(20.0%)」など、自身のメンタル面でプラス効果が多く、一方で昇給や希望するポジションへの異動(転職含む)に対する影響は低い結果となった。また、効果を実感できていない人も20.3%と多い傾向にある。
リスキリングに取り組むうえでの悩み
リスキリングに取り組む上で悩みに感じていることを質問したところ、「モチベーションを維持できない(35.6%)」「取り組むためのお金がない(35.4%)」「取り組むための時間がない(35.2%)」「何を学ぶべきかわからない(32.3%)」が上位の結果となった。リスキリングの目的が明確になっていない様子と、金銭面や時間といった物理的に取り組むことが難しい状況が浮き彫りになった。
「将来に対して不安を感じている」人は73.2%の反面、「自身のキャリアプランを描けている」人は30.1%
将来の展望やキャリアの意向について質問したところ「将来に対して不安を感じている(73.2%)」、「環境の変化に置いていかれないようにしたい(71.5%)」(いずれも「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値)など、将来や現状への不安を抱いている人が多い一方、具体的なキャリアプランを描けていると回答したのは30.1%(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値)という結果になった。
将来への不安を抱きながらも、その不安解消やリスクヘッジのための具体的なキャリアプランや目標などは明確に設定できていない状況にあることがわかった。
<調査概要>
[期間]2023年4月14日~4月18日
[対象]首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)中部(愛知県)、関西(滋賀県、京都府、大阪府、
兵庫県、 奈良県、和歌山県)に在住で就労中の20~39歳男女
[回答数]1032名(男性516名:女性:516名)
[方法]インターネット調査
※調査結果の構成比は小数点以下を四捨五入して算出しているため、合計値は必ずしも100%とはならない。
出典元:ヒューマン
構成/こじへい