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ゲーマーの未来を変える?プロゲーマーが体感したNTTの次世代通信技術「IOWN」のヤバすぎる力

2023.05.24

NTTグループが提唱する『IOWN』とは、光技術を中心とした高速大容量通信や膨大な計算リソースを提供可能な情報処理基盤のことを指す。その一つであるAPN(All-Photonics Network)は、ネットワークから端末まで全てに光通信技術を導入することで、超低遅延かつ大容量の通信を可能とする技術分野だ。この技術によって恩恵を受ける分野の一つにeスポーツが挙げられる。超低遅延環境でのオンライン対戦が実現すれば、0.1秒未満の世界で戦うプロゲーマーにとって、より公正な環境で最高のパフォーマンスを発揮できることに繋がる。その足がかりとして、NTT e-Sportsが渋谷からリモートで秋葉原のPCを動かす公開実演を実施したので、IOWNの”ヤバさ”を実際に体験してきた。

光がもたらす、別次元のインターネット

NTTグループが2023年3月から提供を開始した「APN(All-Photonics Network) IOWN1.0」は、同グループが提唱するIOWN構想の実現に向けた、初めての商用サービスだ。IOWNとは「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、ネットワークから端末まで全てに光通信技術を導入し、超高速大容量かつ低遅延の通信を実現する技術を指す。APNはその中核を担う、新しい通信ネットワークだ。

従来のインターネット回線では、PCとルーターや端末装置をつなぐケーブルにLANケーブルを使用するなど、一部区間で光ではなく電気信号が使われている。しかし、光に比べて電気は速度が遅い上、品質のばらつきも生じてしまう、いわばボトルネックになっている部分。APNは、端末を含めて全ての経路を光通信で繋ぎ、その障壁を取り払おうという技術になる。今回提供されるAPN IOWN1.0では、100Gbpsの大容量通信や従来の1/200の遅延を実現している他、専用端末「OTN Anywhere」による遅延の可視化・調整も可能だ。

この技術は様々な分野で活用可能だが、その一つがeスポーツだ。わずかな遅延が勝負に大きく影響するeスポーツでは、APN IOWNによる超低遅延の恩恵を受けやすい。今回、NTT e-SportsがAPN IOWN1.0を使った実演を行ったので、その実力を実際に垣間見てきた。

7.7キロメートル先のPCをほぼ無遅延で操作

実演イベントの会場は渋谷と秋葉原で、直線距離だとおよそ7.7キロ離れている。今回の実演はプロゲーマーによるFPSゲーム『Apex Legends』のプレイ。渋谷のメイン会場にあるのは、モニターとマウス、キーボードとヘッドセットのみ。秋葉原の別会場にあるPC本体とこれらのデバイスをAPN接続してプレイする、というものだった。

©2023 Electronic Arts Inc.
渋谷会場からZETA DIVISION所属プロゲーマーのすでたきさん、秋葉原からはFENNEL所属プロゲーマーのAleluさん、eスポーツキャスターの大和周平が参加。3人一組のチーム戦で戦った。

15分ほどプレイしたが、すでたきさんは全く遅延を感じておらず、「家でプレイしているのと全く変わらない」と驚きを隠せない様子だった。秋葉原でプレイするAleluさんと大和さんも操作に支障はなく、3人とも快適にプレイしていた。

筆者の体感では、2〜3F(約33.2〜49.8ms、60fpsの場合)から明確に遅延を感じるようになる。NTT e-Sports担当者の話によると、今回の会場となった渋谷〜秋葉原間の通信遅延はそれをはるかに下回る200μsだという。一方で、秋葉原の会場内でも30μsの遅延が発生しているのだが、差分の170μsをOTN Anywhereが秋葉原側にあえて追加することで、双方の遅延をコントロールしているのだ。これらの遅延は人間には認識できないため、見かけ上の遅延は限りなくゼロに近くなる。

©2023 Electronic Arts Inc.
試合中の様子を後ろから拝見したが、マウスを動かした瞬間に視点も移動し、クリックと同時に弾を発射していた。傍目から見ても遅延があるようには見えなかった。

恩恵を得られるのはプレイヤーだけではない。100Gbpsの大容量通信により、最大でフルHD、240fpsの超高画質映像を約3msという超低遅延で配信することができる。また、今回の実演で表示されていた映像では、大容量のデータを送受信しているのにもかかわらずフレーム飛びによるカクつきが全くなかった。非常に高い安定性でデータ通信がなされていることが伺える。

従来のオンライン観戦ではある程度画質が落ちる上、数秒〜数十秒の遅延がどうしても発生してしまっていた。しかしAPNであれば、離れた場所でもよりリアルに会場の様子を体感できるのだ。

©2023 Electronic Arts Inc.
写真ではわかりにくいが、APN IOWN(写真左)のモニターは既に次のシーンに移っているが、従来回線(写真右)ではまだ前のシーンのままだ。また画質も圧倒的にAPN IOWNのほうが綺麗、かつ滑らかだった。

IOWNはゲーム体験を変えるかもしれない夢の技術

対戦ゲームで競技者として活動している筆者自身にとっても、オンラインの遅延やラグは悩みのタネだ。しかし、APN IOWNが一般化したらこの悩みは無くなるだろう。特に驚いたのが遅延調整技術だ。従来の対戦ゲームでは、回線環境の偏りを無くすためあえて遅延を追加したり、ゲーム側で先読みして内部処理することで遅延を低減したりしていたが、いずれも回線環境が悪くなると影響が大きくなってしまう。しかし「OTN Anywhere」が目に見えないレベルで肩代わりをすることで、そうした仕様は不要となり、プレイヤーはオンラインでも最大限のパフォーマンスを発揮できるのだ。

大会会場にいない人も、高品質の映像をリアルタイムで観戦できるようになることで、まるで会場にいるような臨場感を味わえる。まさにゲーマーにとって革命ともいえるIOWN技術であるが、2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして現在研究開発が進められている。eスポーツはもちろん、医療や金融、交通、エネルギーにいたるまで様々な分野での活用が期待されている。IOWNは日本発の世界を変える技術になる可能性を秘めた、まさに夢の技術なのだ。

取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務などを経て、2019年5月から2022年8月まで、eスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド・ライゼストに所属。現在はフリーエージェントの「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動中。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。


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