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10年間で販売量が約30倍!日本でも人気が高まりつつあるアーモンドミルクの健康価値

2023.05.30

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

2013年8月に地域限定販売された江崎グリコ「アーモンド効果」を皮切りに、アーモンドミルクが日本市場に登場してから今年で10年を迎える。

小売市場では2014年から200ml サイズが登場、2015年には「第3のミルク」として紹介されると市場が拡大し、1Lサイズが発売された。2017年からスターバックスなど大手コーヒーチェーンで導入され始めたことから認知が広がり、2020年には大豆肉など植物性食品市場が注目を集めて急拡大。2022年の販売金額は155億円、販売量3万2900KLと、10年で販売金額約22倍、販売量約30倍に成長した。

江崎グリコとアーモンドミルク研究会による、アーモンドミルクに関する日米の実態調査では、アーモンドミルクの飲用経験がアメリカでは85.5%に対し、日本は49.2%。週に1回以上飲む割合がアメリカは合計75.1%だったが、日本では19.5%と飲用頻度でも差が顕著となった。

しかし、アーモンドミルク研究会が昨年首都圏在住の女性600人を対象に行った実態調査によると、女性の2人に1人がアーモンドミルクを飲んだことがあると回答。アーモンドミルクの健康や美容への効果を期待している女性の認知度は高く、10年間で徐々に日本市場に浸透してきている様子がうかがえる。

抗酸化+抗糖化のWアンチエイジング効果

5月30日の「アーモンドの日」にちなんだアーモンドミルク市場の発表会が開催され、アーモンドミルク研究会メンバーで慶應義塾大学 医学部教授の井上浩義氏が、アーモンドミルクの健康価値や最新情報について解説を行った。

「ミルク」の名がついているが、アーモンドミルクはアーモンドと水でできた植物性のミルクで乳製品とは異なる。必要栄養素がしっかりと摂取できながら、牛乳と比較して低カロリー、低糖質で、コレステロールはゼロということから、先の調査でもあるようにアメリカをはじめ海外は飲用頻度が高い。

アーモンドにはビタミンE、ポリフェノール、オレイン酸、食物繊維、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれるが、大豆に匹敵するほどたんぱく質も多いのが特徴で、非常に栄養バランスの取れた食品といえる。

サーチュイン遺伝子は活性化されることでアンチエイジング効果を持つことから長寿遺伝子とも呼ばれている。サーチュイン遺伝子は活性酸素によって損傷したDNAを修復してくれるサーチュイン酵素を生み出すとともに、最新の研究ではサーチュイン遺伝子を刺激するものを食べると体の炎症を抑えることがわかった。

アーモンドに含まれるエラグ酸が腸内細菌によってサーチュイン遺伝子のひとつである SIRT1を活性化させるウロリチンという物質に変換することで、抗炎症効果も期待されている。

炎症を抑えることができると、老化を進行させる二大原因の「酸化」「糖化」を抑制することにもつながる。酸化とは活性酸素やフリーラジカルにより体の細胞が「サビる」ということ。その前段階である炎症を抑えることで酸化を抑制する。

アーモンドに含まれるビタミンEや、アーモンドの薄皮にあるポリフェノールで酸化を抑制、酸化の次の状態である糖化の抑制にも寄与する。

1日25g、6か月間アーモンドを食べた場合、糖化した物質を20%も減らすことができるとわかった。他の食材でここまで減少することができるものはなく、アーモンドは抗酸化+抗糖化でダブルのアンチエイジング効果を期待できる食材といえる。

アーモンドにはゴマの約300倍のビタミンEが含まれ、ビタミンEは抗酸化作用として、紫外線による活性酸素を抑える働きもある。紫外線が強くなるこれからの季節にはビタミンEを積極的に摂取して、皮膚の細胞を防御することを心掛ける。

アーモンドの食物繊維はレタスの約9.2倍ある。世界では食物繊維は1日20~80g摂取されているが、日本人は1日16g。中でも10代の女性は12gと非常に足りない状態だという。食物繊維の摂取量と大腸がんの発生率は相関していて、食物繊維が足りない状態だと十分摂っている人と比べて、2.3倍大腸がんになるリスクが高まるとされている。

【AJの読み】アーモンドミルクはアーモンドを効率的に摂取できる

牛乳、豆乳に続き、第3のミルクと呼ばれるプラントベースのミルクはライスミルク、オーツミルクなど様々な種類があるが、中でもアーモンドミルクが一番選ばれている。

牛乳や豆乳はアレルギーが出やすい食材だが、アーモンドミルクは比較的アレルギーが少ない(日本人の場合は約0.5%)こともあり、世界的にもアーモンミルクが好まれている。

アーモンドは硬い細胞壁で守られているため、ナッツとして食べるには噛む力も必要になり、ピーナッツなどに比べて硬くて食べにくいと感じている人もいるだろう。

アーモンドは摂取方法によって、消化・吸収が異なってくるが、硬い細胞壁を粉砕して液体にすることで栄養成分の吸収率は高くなるため、栄養豊富なアーモンドは「アーモンドミルク」として摂るのが効率的と言える。

アーモンドミルクを摂るタイミングは朝がベスト。就寝中と比べて起きている時は2~3倍の呼吸数で酸素を取り入れやすくなっている、朝になると紫外線を浴びることなどから、体は午前中が一番酸化されやすい。抗酸化成分は朝に摂ると効果的なので、アーモンドやアーモンドミルクを効率的に摂るには朝が望ましい。

筆者もこの原稿を書きながらアーモンドミルクを飲んでいる。1日に5杯ほど飲むラテにたっぷりとアーモンドミルクを入れているので1日当たり1L サイズ1本を消費しており、毎週定期便で箱買いしている。

豆乳に比べカロリーが低い、クセがなく飲みやすい、アーモンドの風味が好きというのが理由。料理にもアレンジしやすく、アーモンドミルク研究会のサイトではレシピも紹介している。

文/阿部純子

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