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「Xperia 1 V」は「iPhone Pro」を超えた!?最新のハイエンドスマホはどこまで進化しているのか

2023.05.28

SIMフリー版も同時発表

石川氏:SIMフリー版を同時に発表、しかも価格を提示した(19万5000円前後)。結構、画期的だなと思いました。

法林氏:価格を出すのはすごい。

石川氏:今までのハイエンドスマホは、キャリア版が出て「高いよね」となって、4、5か月後にSIMフリー版が出て「この価格です」という感じだったんだけど、どうしても高額な印象が強かった。Galaxyもそうなっちゃっているんだけど、キャリア版が高いから手が出ないって話になっている。今回、Xperia 1 VのSIMフリー版は19万5000円。キャリア版は20万円を超えている。そうなってくると「じゃあSIMフリー版を買おうかな」という気にもなってくる。発表は同時だけど発売は1か月先なので、ユーザーとしては「1か月待てばSIMフリー版が19万5000円で買える」という判断もできるので、騙された感じにならない。ようやくXperiaファンにとってハッピーになる感じがする。

法林氏:Xperiaは3キャリアが取り扱うじゃないですか。SIMフリー版を買っても、今はキャリア版と同じようにアプリを全部インストールできるようになっていて、3社ともほとんど同じ環境が再現できるようになったので、キャリア版に執着する理由があまりなくなっている。あるとするなら保証だけど、メーカー独自の保証もあるし、各保険会社がやっている補償サービスもあるので、それを組み合わせればそんなに困ることはない。僕は、ソニーさんは思い切ったなと思う。

石川氏:あとはミリ波対応の有無ですね。キャリア版はミリ波に対応していて、SIMフリー版は対応していない。ミリ波なんて掴まなくても、それほど大きな問題にはならないんだけど、「なぜミリ波に対応しないんだ」という声の大きい人もいるので。

法林氏:Xperia 1みたいなフラッグシップモデルは、やっぱりミリ波対応の話は出てくるよね。

石野氏:それで価格が上がる面もある。

法林氏:でも現実的に考えて、スタジアムとか特定の場所にでも行かない限り、ミリ波を体験することはないんで、今はいらないよねって話になるんだけどね。

房野氏:「ミリ波を外したからSIMフリー版は安いんですよ」っていうエクスキューズにもなるってことですか?

石野氏:まぁ、そうですね。キャリア版の価格には「スマホおかえしプログラム」的なもののリスクヘッジ分が載っていたり、キャリアカスタムのコスト、あとはミリ波対応で高くなっていたりする。

法林氏:キャリア版は結局、キャリアが扱うことによるコストを加算せざるを得ない。iPhoneの価格を見てもわかる通り、アップルで買った方が安い。でもキャリアで買う人がいる。なぜかというと端末購入プログラムがあるからだけど、それくらいしかメリットがなくなってきている。どこのメーカーさんも似たような遠回しな言い方で、「我々は一生懸命安くキャリアに納めている」と言うんですよ。ところが、キャリア分としてコストが載っている部分が結構大きい。そして、ちょっとしか載せていないモデルもあれば、ものすごく載っているモデルもある。それはあまり良い状況ではない。そういう中で、ソニーさんが20万円を切るSIMフリー版を同時に発表した。勇気あることですね。

房野氏:キャリア版の端末購入プログラムを利用すると半額くらい保証されるじゃないですか。SIMフリー版を買って、仮に2年後に中古屋さんに売った場合、同じくらい戻ってくるでしょうか。

石川氏:いやぁ……

法林氏:ものによるし、使用状態にもよりますけど、ちょっと半額には欠けるんじゃないかなと思います。端末購入プログラムを利用して端末を買って、落として傷だらけになっちゃったら、2年後に中古ショップへ売ろうとしても買い叩かれます。これがキャリアのケータイ補償サービスに入っていると、外装交換ができるわけですよ。その費用も格安で数千円でできて、ほぼ新品の状態になる。

房野氏:『@DIME』の読者がSIMフリー版とキャリア版のどちらがお得なのかを考えた時、どちらをすすめますか?

石野氏:うーん……。僕は「Xperia 1 II」は、ソニーのSIMフリー版を使っていたんですけど、ちょっと難しいですね。確かにキャリア版に比べると安かったし、当時はデュアルSIMが使えるメリットがあったんですけど、今だとキャリア版でもデュアルSIMになってますし、eSIMも使えますし。それと、Xperiaはディスプレイにちょっとでも傷が入っちゃうと、買取価格がめっちゃ下がるんですよ。ほぼC級品レベルの扱い。

法林氏:そういえば、下取りする時に石野君、ブーブー文句を言っていたね(笑)

石野氏:で、直そうとすると数万円かかるんですよ。ソニーの「Xperia ケアプラン」にも入っていたんですけど、その保証プランはもっと壊れちゃった時にしか使えないって言われて、何のために毎月550円払っていたんだろうって感じになってしまった。これがキャリア版だったら「別にいいですよ、取り替えますよ」みたいに気軽に保証が使える。アップグレードプログラムも、多少の傷だったら何も問題なく引き取ってくれる。そう考えると、リスクはキャリアで買った方が低いというか……

法林氏:キャリアの場合、メリットはケータイ補償に入れることだよね。

石野氏:保証分の金額が端末代に載っているというか、買い換える保証のお金とか修理の保証とか、そういうものがすべて載ってる感じですね。アップグレードプログラムやいつでもおかえしプログラムとかもそうですけど、ボロボロになっていても、そんなに気にしないで返せる。万が一、壊れても数千円でプログラムを行使させてくれる。スマホはよく持ち歩いて落としたりすることを考えると、もうちょいメーカー側の保証が手厚くならないと、ちょっと怖いなっていうのは正直思いました。特にハイエンドは20万円とかになってきてるので。「Galaxy Z Fold3」も1度落として割っちゃったんですけど、あれも1万円で本当にピカピカに直してくれた。ディスプレイが割れちゃったんですけど、一体化しているのでフレームまで全部取り替え。1時間、2時間預けただけで、返ってきたのは新品みたいだった。これを提供してくれることがキャリア版の魅力かなと。メーカー版はそこまでやってくれないとなると躊躇しちゃいますよね。

法林氏:キャリア版だとケータイ補償に入っていれば、比較的安く修理できるね。

石野氏:メーカー版だと、メーカー預けになる。サムスンの場合、SIMフリーモデルの「Galaxy M23 5G」だと、Galaxy HARAJUKUで受け付けてくれる。Galaxy HARAJUKUはキャリア版も対応してくれるんですが、「Galaxyリペア」がドコモショップで対応しているじゃないですか。こういうこともありますが、メーカーは修理・サポート拠点がちょっと少ない。

法林氏:代替機がないとかね。

石野氏:アップルの場合は、それが割と至る所にあるのでSIMフリー版でも買いやすい環境が整っている気がします。ただ、メーカーのSIMフリー版が何台売れるんだって話を考えると、メーカーにそこまでの拠点を置ける余裕もないだろうし、なかなか難しいなと思います。

石川氏:メーカーがキャリア版と同時にSIMフリー版を出すことによって、キャリアに対して好き勝手な価格を付けさせてないっていう。だからソニーとしてはよくやったなと。

法林氏:やらないといけないくらい、だいぶ辛かったのかなと。近年、フラッグシップモデルが売れない状況だし。

石野氏:メーカーさんは「そんなにフラッグシップが売れないんだったら、自分たちに売らせろ」ってことだと思います。

<見出しH2>ハイエンド市場が苦境の中、安定感のあるGalaxy

房野氏:海外でハイエンドスマホは売れているんですか?

石野氏:最近は価格が上がっていることもあって、全体的にやっぱり厳しいです。

石川氏:在庫がだぶついているという話がありますね。

法林氏:2022年はグローバルでトータルの出荷台数が、確かにどの会社も過去最低か、ここ10年間で最低か、くらいだった。みんなツラいと思います。全般的に高いモデルよりミドルレンジ以下が売れているのは事実。アメリカは好景気だと言われつつも、それを上回るペースで高いものをバンバン出しているので、それは推して知るべしでしょう。海外がどうかっていう話もあるけど、特に日本はいびつな市場になっちゃっている。

石野氏:その中でGalaxyが販売台数を維持していたのはすごいと思います。

石川氏:うん、逆になぜあんなに売れているんだろうと思った。

法林氏:でも、発表会で示されたグラフ、Ultraに関してはトリックがあるよね。S22 Ultraの初月販売が前作比1.7倍となっていたけれど、S21 Ultraは1社しか取り扱っていなかった。

石野氏:そして機能的にもだいぶ違った。

法林氏:それはそうなるでしょうって話。でも、グラフが凹んでなかったのは偉いと思います。安定した人気を持ってる証かなと。

石野氏:あと、「Galaxy S23 Ultra」の512GB版は、元の数が少ないせいもあるでしょうけど、予約が想定を上回って出荷が遅れてしまったこともありました。今回のGalaxyはよく出来ていますよね。グローバル発表の時にマイナーチェンジとか言って本当にごめんなさい(笑)

サムスン「Galaxy S23 Ultra」

石川氏:アメリカの発表会をオンラインで見たのと、実際に触ったものとでだいぶ印象が変わった。

石野氏:ノーマルの「Galaxy S23」も、センサーは変わっていないそうなんですが、カメラの写りが前モデルと全然違うんですよね。

法林氏:画像処理のところがだいぶ変わった感がある。カメラはソフトウエアの力、画像処理の力が結構効いているのかなと。カメラはセンサーとレンズと画像処理だけど、画像処理はどれだけたくさん読み出して、いかに速く後ろで回して複数枚から合成するか、みたいな技になってきているので、そこはずっとやってきたサムスンに一日の長がある。

石川氏:海外ではGalaxyのカメラが実験されて、「月の画像を描き足している」みたいなことが言われていますね。要するに見えないクレーターを描いていると(笑)

石野氏:まぁ、機械学習で絵を学習させて、きれいに写るようにするのは、程度の差こそありますが、描き足してるということもできますよね。

法林氏:人の顔だって同じこと。

石野氏:学習させて補正しているってことは、過去のデータから見て足りない部分を補完してるということなので。

法林氏:あの実験でやっかいだったのは、わざとぼかした月の画像をGalaxyで撮ったら、月と認識してクリアな画像になったこと。

石野氏:それを月だと認識しちゃったら、より月らしく補正しちゃう(笑)

法林氏:話を戻すと、売れ行きに関しては、やっぱり、みんなツラい。特にハイエンドは本当に厳しい状況。5割減、6割減もある世界。気がついたら、アップルのサイトに認定整備済製品のiPhoneがたくさん売られている。これはiPhone登場以来、十数年間一度もなかった。

房野氏:現行モデルが売られているんですか?

法林氏:「13」と「12」ですね。

房野氏:リファービッシュ品、今までiPhoneはアップルのサイトでは見かけなかったですね。

法林氏:iPadやMacはたくさん出るけど、iPhoneは、メニューはあっても出てこなかった。だぶついているんだと思う。日本におけるiPhoneでその状況なので、かなりしんどい。

房野氏:ハイエンドスマホは20万円以上をやめて、12万、13万円くらいにリセットしましょう、みたいな流れはないのでしょうか。

法林氏:ないけど、価格を下げるためにどうするかっていうのは、皆さん苦労している。

房野氏:中国メーカーはハイスペックだけど価格が10万円くらいのものがありますよね。

法林氏:いかに安く作るかっていうのは、もちろん台数がないとできないんだけど、うまく安く作るための工夫をしてる会社さんと、クオリティなのか儲けなのかわからないけど、それを重視して作っている会社とは、結構差が出てきてる気はします。安く作るノウハウはこれからすごく大事。

石野氏:2022年12月に出た「Xiaomi 12T Pro」を見ると、2億画素カメラはすごいんですけど、超広角やマクロカメラはそうでもなくて、緩急を付けている。コストをかけないところは、すごく抑えていたりする。

「Xiaomi 12T Pro」

石川氏:出たばかりのハイエンドモデルは価格がなかなか下がらないので、去年出たものを安く売って行くとか、先ほどのリファービッシュ品を安く売るような方向に、おそらくなっていくのかなと。Galaxy S22も値下げされましたよね。

法林氏:標準サイズのGalaxyって、実は毎年、春頃に少し安く売ったり、キャンペーンがあったりする。

石川氏:以前クアルコムの人も言っていましたが、ハイエンドを長く売って、値下げしていくっていう方法ですね。

石野氏:そうですね。「Xperia 1 II」をahamoでもう一度出したりしていた。Galaxyにしても、Fold3が使えないかといったら全然そんなことはない。今、5万円のミドルレンジの最新モデルを買うより、はるかに良かったりする。最新モデルだからって別に良いわけでもないし、ハイエンドモデルは2、3年前のモデルでも、ほぼ遜色なく使える。ただ、そう思っていたら、Galaxy S22とS23で、カメラの質が全然違うぞと思って、結構衝撃を受けました。なかなか難しいですね。

法林氏:何で判断するか難しいですよね。僕はときどき、モデルさんにお願いして、東京駅の夜景を撮ったりするけど、今回のGalaxy S23シリーズもきれいに撮れた。他メーカーのスマートフォンでは、背景のネオン看板が白飛びするといった部分もあるけれど、ポートレートが目的だったら問題ない。

石野氏:この間、真っ暗な品川のドコモのビルをGalaxy S23で撮ったら、S22と全然違うんですよ。同等のカメラで、3倍望遠のセンサーもレンズも変わってないはずなのに、めちゃめちゃディテールが写っていた。これ、ドコモに忖度して描き足しているのかなと(笑)

法林氏:Galaxy S23シリーズの発表に関連して、今回、もっとも評価したかったのは「Try Galaxy」。iOSでGalaxyのUIを体験できるWebアプリです。「ギャラリー」で写真が見られたり、カメラを起動するとGalaxyのCMに出ている女性が出てきてカメラの機能を説明してくれたりする。

房野氏:あれは面白いですね。

法林氏:ああいう体験アプリは大事だと思う。みんな選ぶものは固着化していくので、ああいうアプローチをすることは評価したいと思います。

……続く!

次回は、Googleの最新スマホ、タブレットについて会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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