100億円の実損を生んだ詐欺事件……楽天モバイルの課題は?
房野氏:いずれにしても、またコストはかかりますね。
法林氏:コストに関しては、これからは途中で100億円とか抜かれないから、大丈夫じゃない?(笑)
石川氏:例の詐欺事件ですが、300億円の発注をしたけど、実際の金額は200億円だったみたいですね。
石野氏:100億円抜かれていたのはもちろん問題なんですけど、それで下請けを潰してしまっているんですよね。そんなことをやっていると、次は請け負ってくれない工事会社が出てきてもおかしくない。信頼を失ってしまったのが問題なんじゃないかなあ。
房野氏:一応、楽天モバイルは被害者ですよね。
法林氏:もちろん被害者なんだけど、ちゃんとチェックしていなかったんじゃないかとは言われてしまいますよね。コストを抑えられる、完全仮想化だと言っておきながら、100億円も余分に取られていた。管理が甘かったのは事実でしょう。
石野氏:100億円って、楽天の決算にすら影響するレベルですからね。
石川氏:全部の設備投資が1兆円と言われているので、1%に相当しますからね。
石野氏:しかも、1兆円は数年かけての数字なので、1年で見ると割合はもっと上がります。
房野氏:1期分の赤字が少し挽回できますよね。
石野氏:そうなんですよ。ちょっと抜かれすぎです。
石川氏:この前、楽天銀行が上場して、700億円手に入ったという話ですが、その7分の1取られているじゃん……ってなりますよ。
石野氏:今回見つかったのは発注の責任者だから、気づけなかったというのもわかる。やっぱり購買担当の責任者は、定期的に変えたり、監査する必要があるなと改めて思いました。
石川氏:楽天モバイルが、短い期間で通信事業を進めているからこそ起こった問題でもある。ドコモなどでは長期にわたってやることなので、途中で担当が変わっていたり、動きがおかしいことがわかるはず。楽天モバイルは、突貫工事をやっている状態なので、結果として見抜けなかった。同情の余地はあるかなと思います。
石野氏:それにしても、よく見抜かれなかったなと思ったというレベルですけどね(笑)
房野氏:派手すぎますよね。
石野氏:せめて1億円くらいにしておけば……
法林氏:それだといろいろ足りなかったんじゃない?(笑)
……続く!
次回は、ハイエンドスマホの2023年トレンドについて会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦