インフレ期待
インフレ率と物価上昇が同じように長く続いていくと、インフレが今後も続くと予測する割合が高くなります。この予測がインフレ期待です。
たとえば労働環境と労働市場が全く同じ条件であった場合、インフレ期待の大きさによって賃金率の動向が変化していきます、
インフレ期待がある場合、労働者はインフレ上昇に見合った賃金の上昇を求め、企業も賃上げを認めやすくなります。
反対にインフレ期待がないデフレの場合、労働者は賃金が下がらなければ実質賃金率は上昇していると考えるようになるでしょう。
このような貨幣錯覚の効果が必ず生まれるため、期待インフレ率の上昇は現実のインフレ率を上昇させる圧力を生み出しているともいえるのです。
悪いインフレを定義する
次に悪いインフレが何かを定義してみましょう。
悪いインフレの代表例が不況中に発生してしまったインフレです。
この悪いインフレは「コスト・プッシュ・インフレ」と呼ばれ、賃金や原材料などのコスト上昇率が労働生産性の増加率を上回る場合のことを指しています。
その他にも「ハイパーインフレ」が発生すると、インフレ率が急速に上昇してしまい、経済活動を混乱させる悪いインフレの典型例もあります。
つまり急速なインフレが進むと社会が不安定になり、経済の混乱をまねく確率が高くなるのです。
いずれにせよ円滑な経済活動にとって望ましいことではなく、反対に良いインフレは景気が良いサイクルのなかで生まれる緩やかなインフレと定義することができるでしょう。