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エアコン代に大打撃!?電力会社の電気料金の値上げ申請はいつから、どのぐらい上がる?

2023.05.20

電力会社が各社4月からの電気料金の値上げ申請している。電気料金は4月から上がるのか、どのぐらい上がるのか?

電気料金の値上げ申請の背景

電力会社の東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力は4月から、北海道電力と東京電力HDは6月からの値上げを経済産業省に申請した。

東日本大震災で福島原発での事故が起きて以降、全国のほとんどの原子力発電は長期停止され、その不足分は火力発電で補われている。

火力発電では、LNG、石炭、石油を燃焼して発電している。燃焼時にCO2の排出量が少ないLNGは環境に良いため、火力発電に最も使われているが、石油価格に伴い価格は上昇する。石炭は価格が安いものの固形であることから運搬面や熱交換率も低く、さらにCO2排出量も多いことから、やはりLNGが最も使用されている。

当然日本はLNG、石油、石炭を輸入に頼っている。指標となるWTI(原油先物価格)は新型コロナウィルスの感染拡大し始めた2020年3月には大きく下がり、一時マイナスまでになったが、その後右肩上がりに2022年半ばにかけて大きく上がり120ドルまで上がった。現在はその半値の68ドルほどになっている。さらに、拍車をかけているのが円安である。輸入の場合には円安になると輸入価格は上がってしまう。円ドルは2020年には1ドル=100円程度が2022年には一時1ドル=150円を超えるほどとなり、現在は1ドル=133円程度となっている。

東京電力の2022年第3四半期決算発表では、2021年実績で為替レート1USドル=112.4円→2022年予想1USドル=137円(+22%)、原油価格(全日本CIF)が2021年実績77.2ドル→105ドル(+36%)となっており、輸入価格が大幅に上昇した。

一方、電力会社は発電コストが上がったからといって勝手に電気料金を上げるわけにはいかない。電気料金は国民みんなが支払うもので、生活に大きな影響を与えるものであるため、電気料金引き上げに上限が設けられている(規制料金のみ自由料金は除く)。既にその上限まで上げているが、コストの上昇が追い付かず各社の2023年3月期は赤字のところがほとんどだ。

そこで、その上限を引上げる申請を各社が行うこととした。

政府の抑制策

これまで電力会社は発電コスト上昇分を定められている上限まで電気料金に反映させて値上げしていた。LNGなどの輸入コストが上がれば自動的に電気料金に反映される燃料費調整制度で値上げされている。ただ、一辺倒に値上げできるわけではなく、上限があるため、ついにその上限に達し、反映できない分を電力会社が負担し、その結果赤字決算となったわけである。

一方で、2023年1月以降政府はその値上がりした分の電気料金を電力会社に補助金を出すことで値引きしていた。特に手続きは不要である。2022年半ばまで上限まで2021年比20%は値上がりしていがた、政府の値引きで2021年並みの電気料金まで下がった。この補助金は2023年9月までとなっている。

しかしながら、上限以上まで上がったコスト上昇分を電気料金値上げで補いきれず、各社2023年3月期は赤字となることから2023年4月または6月に向けて上限を超える値上げを求めて、経産省に値上げ申請をした。

値上げ申請は4月には間に合わなくなった

2022年半ばから石油価格やLNG価格が下落、円安も150円まで一時安くなったものの現在133円程度で落ち着いている。このような状況からもう一度値上げ上限を査定し直すように監視委から伝えられた。そのため、計算しなおしから迫る4月からの値上げは見送られる模様だ。

上限が決められているのは2016年4月の電力自由化前に契約された電気料金プランをいう(「規制料金」という)。電力自由化後に契約されたものは含まず、自由化後の契約は既に上限なく値上げされている。

ただし、2023年1月から政府の電気料金負担軽減策が行われており、実質2021年と現在大きく値上がりしていない。

規制料金の中の従量電灯では値上げに上限が決められており、上限以上の値上げはできない。申請された上限は現在の30%程度値上がりする予定だったが、見直しされれば値上げ幅は縮小されるかもしれない。規制料金の方はこれまで値上がりはしていたものの上限までであったため、2023年中には電気料金が値上がりする可能性がある。また、政府の軽減策が2023年9月以降終了予定となっているため、そのときにLNG価格が値下がりしていなければさらなる値上がりも予想される。

(参考)
東京電力HD 2023年3月期決算資料第3四半期
2022年度第3四半期 決算説明資料 (tepco.co.jp)
日経新聞 2020年3月15日「電力料金値上げ、申請より圧縮 直近の燃料費反映で6社」
電気・都市ガスをご利用するみなさまへ – 電気・ガス価格激変緩和対策事業|経済産業省 資源エネルギー庁 (denkigas-gekihenkanwa.go.jp)

文/大堀貴子

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