バブル景気以来現在の株式市場は高値圏を推移し、5月17日には1年8か月ぶりに日経平均株価が3万円を突破した。
そこで、これから株式投資を始めてみようかなと思っている人向けに、株式の買い方を解説する。
株式で運用するメリット
株式は、証券会社のみで購入できる金融商品だ。会社が発行する株式を購入し、会社利益を享受することができるが、以下のようなメリットがある。
・会社の利益は株価や配当で享受できる
株式を保有しているとその会社の業績により株価が上がり、購入時より高く売却すれば利益となる。また、保有期間中も会社から利益の還元として株主に配当が受け取れる。還元の形として会社の商品などが受け取れる株主優待もある。
・1株からでも配当を受け取れる
株式売買は基本は100株単位だが、スマホで1株から購入できる証券会社もある。1株なら100~1万円で購入することができ、1株からでも配当を受け取れる。ただし、株主優待や議決権は100株からとなることがほとんどだ。
一方で、配当を受取って定期的に利益を得ることができていても、株価が下がってしまうとその購入した元本が大きく減ってしまう。
例えば、100万円で購入した株式で毎年配当金を3万円受取っていたとする。ある日株価が大きく下がり50万円になってしまったとすると▲50万円の損失となってしまう。1/2になるなんて大げさな例かと思うかもしれないが、株式には当然あり得るリスクである。
初心者の株式投資はタイミング
株式は購入して保有期間中売らなければ損は確定しない。株価が下がって、評価が下がってしまっていてもその後上がってから売却すれば逆に利益となることもある。だから、初心者の方は基本上がったら売るというのが向いている。ただ、景気後退時にはどうしても全体の株価が下がり、株価が下がり続けたり、停滞してしまったりすることがある。株式市場の大きな流れは5~7年のサイクルで動いているから、景気が悪いときに買い、景気が良いときに売るのがおすすめだ。どんなにすごい株式投資家でも株式市場が高値圏のときにどんなに良い銘柄を買ったとしても、その後株式市場が悪くなれば利益を得るのは難しいだろう。だから、株式が高値圏のときはできるだけお金を貯めておき、株式をだれも買わない景気の悪いときに買うのが良い。また、そうはいっても株式は損をする可能性のあるものだから、その資金がなくても生活できる範囲の金額にとどめ、損をすれば生活に支障を来す資金は手を出さないことが賢明だ。
2020~2022年の円安株高の流れ
世界では2020年新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受け、各国はロックダウンなど感染防止のために人の流れを止める政策を行うとともに、経済支援も同時に行った。そのなかでも、以下のように中央銀行では金利を大幅に下げてお金を借りやすくし、また国債を市場から中央銀行が買うことでお金を市場に流す金融緩和が行われた。
■日本(日本銀行)
・民間銀行が日本銀行に預ける短期金利を-0.1%にするマイナス金利政策
・長期金利を0%程度になるよう長期国債を買入れ
・ETF(上場投資信託)を市場から買入れ
■米国(FRB)
・FF金利をゼロ金利に
・国債買入
新型コロナ感染症拡大当初は、日本も米国も細かな部分は異なるものの同じような金融緩和策をとり、金利が低下し、お金が市場に流れ込んだ。さらに、そのお金は株式市場やその他の金や仮想通貨などに流れ込み、株高、さらに物価高を生んだ。
米国の物価高は深刻で、米国のFRBは金融緩和から引締め策へと舵を切り、大幅な利上げ、さらに国債購入をやめ、これまで買入れしてきた国債の償還を迎えても新たに買入れないことで、資産を圧縮していくQTを行っている。一方、日本では金融緩和はそのまま継続し、米国金利3.25%と日本の金利-0.1%で大きな金利差が生まれた。このような金利差が生まれると、金利の低い円を借りて金利の高いドルに替えるキャリートレードが増加し、円が売られドルが買われるため、円安になる。このままFRBの利上げの流れが変わらなければ円安はさらにすすむ。米国景気が利上げで冷え込み、これまで金利が低く余ったお金が米国株式市場に流れていたところから米国の株価は下がる可能性が高い。円安は輸出企業が多い日本にとってはプラスだが、米国株式市場が下がれば当然日本にも影響が出る。
今はお金を貯めておく時期?
日経平均株価【998407.O】:チャート – Yahoo!ファイナンス
株式は売らなければ損はしないが、銘柄選びも重要だが、一番大事になのは買うタイミングだ。配当がどんなに高い株でも株価が下がり元本が減ればその配当分は簡単に吹き飛ぶ。日経平均は3万円を超え、ここが天井かどうかは分からないが天井に近いことは確かだろう。投資を始めるのは早いに越したことはないが、今のタイミングで初心者の方が株式投資を始めるのは慎重に検討した方がいいだろう。
文/大堀貴子