ジェンダーフリーやノンバイナリーを表現する言葉が世界中で注目を集めている。すべての人がHe/Sheに当てはまるわけではない。勝手な推測でジェンダーを固定してしわまないよう、He/She 以外の代名詞が世界には数多く存在するのだ。
そこで今回は、多様化した社会に適応すべく生まれた世界各国で使用されているジェンダーフリーを表現する言葉を紹介しよう。
“They”
英語では一般的に三人称複数として使われる場合が多い言葉だが、ジェンダーが分からない時には単数形としても使われている。
例えば…
「They went shopping」=「彼ら/彼女らは買い物に行った」
一般的にはこう訳されるがジェンダーが不確かな場合は、=「“その人“は買い物に行った」となる。
ちなみに「They」は2019年にアメリカの今年の言葉にも選出されるなど広く浸透している。
“Ze”
こちらも英語でのジェンダーフリー表現。性別関係なく第三者を表す人称代名詞だ。前述の「They」同様、単数形として使われる。ちなみに “zee”のように発音するとのこと。
“Les”
スペイン語で男性を指す「Él」と女性を指す「Ella」の代わりに「Les」という言葉が使われている。さらに「Elle」という代名詞も存在。
“Iel”
フランス語では、He(彼)にあたる「il」とShe(彼女)にあたる「elle」を合体させた「Iel(イエル)」が辞書に掲載されているという。
ただ、この言葉については批判の声もあり、現状、ノンバイナリーな人々のコミュニティで多く聞かれる言葉だ。
“Hen”
スウェーデンで誕生した代名詞。従来からあるスウェーデン語の「han(彼)」「hon(彼女)」)の代わりに使用される。
この言葉は2000年代ごろから新聞記事や公的文書の中でも利用され、2015年にはスウェーデンの王立学士院が編さんする辞書にも掲載された。
“Hän”
フィンランド語の代名詞。2019年には、性別に関係なく平等な社会を目指して尽力する人をたたえるキャンペーン「Hän Campaign」の名称に用いられたことも。
“Mx”
イギリスの公文書でも使われるMx(ムクス)は、“Mr.”または”Ms.”の代わりに使用されている。オーストラリアではパスポートの性別欄でも選択可能になっているという。
“o”
トルコ語では彼(He)彼女(She)を指す代名詞が”o”。しかも、人だけでなく「それ」「あれ」など、物を指す場合もこの言葉が使われるという。言語自体がジェンダーニュートラルなのかもしれない。
いかがだっただろうか?今回さまざまな代名詞を紹介したが、「They」についてはこんな逸話もある。かつては、「They」を一人称に使うことがスタンダードな時代もあり、有名なイギリスの劇作家・詩人のシェイクスピアも、文章の中で一人称にTheyを使っていたようだ。
そして現代、SNSのプロフィールでジェンダー代名詞を表示するユーザーが増加。アメリカのハリス副大統領のインスタグラムにはプロフィール欄に「She/her」と記載されている。
ジェンダーニュートラルな代名詞は少しずつだが世界で確実に広がりを見せている。多様性に順応し、あらゆる個性を受け入れる表現を身につけたいものだ。
文/太田ポーシャ