DIME MAGAZINE
ある国を漢字表記にした『墨西哥』は、普段あまり目にすることがなく、読みにくい表記です。正しい読み方を、国名・国旗の由来と併せて紹介します。墨西哥がどのような国か、食文化・行事・観光スポットについても見ていきましょう。
墨西哥の読み方
一般に、片仮名で表記している国名には、漢字表記が存在するものもあり、『墨西哥』はその一つです。まずは、正しい読み方を確認しましょう。
正しい読み方は「メキシコ」
墨西哥は、北アメリカ南部に位置する国の名前で『メキシコ』と読みます。『米』や『英』のように、漢字一文字で表記する略称は『墨』です。日常では、ほとんど見かけませんが、『訪墨』や『日墨』のように使われます。
『女喜志古』や『墨期矢哥』と表記されていた時期もありましたが、中国で使われていた墨西哥が伝わり、定着したといわれています。
なお、『墨』を『メ』と読むのは無理があると思う人もいるでしょう。しかし、これは外国語の固有名詞に対し、漢字の発音を当てた音訳のためで、かつてアメリカも『亜墨利加』と表記されていた時期があり、
墨西哥の国名や国旗の由来
(出典) pixta.jp
メキシコの国名には、どのような由来があるのでしょうか？また、国のシンボルである国旗の色や、中央に描かれた国章の意味も見ていきます。
国名の由来はアステカ族の守護神
メキシコの国名は、『アステカ族の守護神』と関係しています。アステカ族が信仰していた守護神『メシトリ（メヒクトリ）』にちなんだ『メヒコ』が由来です。
太陽と戦いと狩猟の神である『ウィツィロポチトリ』の別名がメシトリで、『神に選ばれし者』という意味があります。『メキシコ』という名前には、国家の独立と繁栄への願いが込められているのです。
アステカ王国は、16世紀にスペイン人のコルテスによって滅ぼされ、スペインの植民地として『ノバ・イスパニア』と呼ばれました。その後、独立戦争が起こり、1821年にメキシコという国名になったのです。
「3つの保障」を表す3色の国旗
メキシコの国旗は、左から順に緑・白・赤の縦しま模様です。それぞれ、諸州の独立・カトリックへの信仰心・民族の統一を象徴しており、スペインから独立する際に掲げた『3つの保障』を表しています。
中央の国章には、国鳥である『ワシ』が、ヘビをくわえてサボテンの上に立っている様子が描かれ、ヘビをくわえたワシが止まった場所に首都を開いたという、アステカ建国の伝説が由来です。メキシコの国旗からは、メキシコの歴史がうかがえます。
墨西哥ってどんな国？
(出典) pixta.jp
メキシコについて、あまり知らないという人に向けに、メキシコの基本情報を紹介します。食文化や行事、観光スポットについても見ていきましょう。
墨西哥の基本情報
メキシコは北アメリカ大陸の南部に位置し、アメリカやグアテマラ、ベリーズに隣接しています。正式名称は『メキシコ合衆国』で、首都は『メキシコシティ』です。
日本の約5倍の国土を有し、約1億2,600万人が暮らしています。主な言語はスペイン語ですが、地域によって、さまざまな先住民族の言語も使われています。
主な宗教はキリスト教です。スペイン人が植民地時代に持ち込んだカトリックと、アステカの土着信仰が混じり合い、独特なスタイルを生み出しました。現在でも、メキシコではカトリック教徒が国民の約7割といわれます。
墨西哥の食文化
メキシコでよく食べられている食材は、トウモロコシや豆、唐辛子などです。トウモロコシからできた粉を練り薄く伸ばした『トルティーヤ』は、メキシコでは主食です。肉や野菜をトルティーヤで包んだ『タコス』は、日本でも知られており、食べた人もいるでしょう。
『フリホーレス』は、いんげん豆を煮込んだ料理で、定番の家庭料理の一つです。唐辛子は、辛くないものから激辛なものまで100種類以上あります。
唐辛子は、有名なサルサソースに使われるだけでなく、調味料としてさまざまな料理に使われています。伝統的なメキシコ料理は、ユネスコの無形文化遺産に登録され、独自性の高い料理です。
墨西哥の有名な行事「死者の日」
メキシコの行事の中で特に有名なのが『死者の日』です。地域によって異なりますが、毎年11月の初め頃に行われており、日本のお盆のような行事です。
死者を導くとされるマリーゴールドの花で先祖の墓を飾ったり、自宅に祭壇を設け『死者のパン』と呼ばれているパンを供えたりして、先祖の霊を迎え入れる準備をします。
行事に欠かせないのは『カラベラ』と呼ばれるドクロ（ガイコツ）です。ドクロ型の人形やお面が飾られ、ドクロをかたどったお菓子や雑貨も販売されます。首都のメキシコシティでは、仮装パレードを行います。
墨西哥で人気の観光スポット
メキシコには、文化・自然の両面で多数の世界遺産があります。人気スポットの一つは、紀元前2～6世紀に栄えていたとされる『古代都市テオティワカン』で、主な見どころは『太陽のピラミッド』と『月のピラミッド』です。
マヤ文明の古代遺跡が残る『古代都市チチェン・イッツァ』も、同じく世界遺産に登録されています。マヤの世界観と暦を表した階段ピラミッド『エル・カスティーリョ』が有名です。
自然遺産の中では『シアン・カアン生物圏保護区』がおすすめです。手つかずのジャングルが残っており、シュノーケリングやカヤックを楽しめるエリアもあります。メキシコは多くの旅行者が訪れる観光大国です。
構成／編集部
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