人や物が移動する経路を表す「どうせん」という言葉。「動線」と「導線」の2通りの表記が存在し、それぞれ違ったニュアンスで使用されることがある。
そこで本記事では、「動線」と「導線」の違いや使い方について解説する。業界ごとの「動線」と「導線」の使い分けについても理解を深め、正しく使い分けられるようにしておこう。
「動線」と「導線」の違い
まずは、動線と導線の意味の違いについて確認していこう。
動線の意味
「動線」とは、人や物の移動経路のこと。建物の内外や街中で、その場所の居住性や機能性を判定するための指標となり、建築業界では家事効率の高い間取りや家具の配置を検討する際、動線のシミュレーションが役立てられる。
また、物流業界では混雑しやすい道を見つけて効率的な配送ルートを策定する場合に動線の把握が重視される。一般的に、人や物の移動経路が短い(動線が短い)ほど、作業効率や安全性は高まると言われている。
この「動線」は「生活動線を考えて家具を配置する」「動線が伸びている」「洗濯をしやすい動線を確保する」のような形で使われる。
導線の意味
一方、「導線」は元々、電流用の金属線、つまり電化製品を使う時に電流を通すための電線・針金を意味する言葉だった。転じて、現在はWEB業界において「サイトを訪問するユーザーが目的のゴールに辿り着くまでの道筋(誘導ルート)」を意味する言葉として使われることもある。
ただし、「導線」は「動線」と同様、単に移動経路を表すために使われるケースも増えている。両者の違いは、対象を客に限定されているかどうか。主に百貨店などの小売業界やIT業界では「顧客を誘導する」目的で「導線」が用いられる。
業界・業種別の「動線」と「導線」
「動線」と「導線」のどちらが主に使われるかは業界ごとに異なる。ここからは、各業界それぞれの言葉の使い分けについて見ていこう。
建築・インテリア業界
建築業界やインテリア業界では、主に「動線」が使われる。ここでの「動線」は、建築物・都市空間における人や物の動きの量や経路、繋がりを示す線を意味する。家事動線や生活動線に考慮した設計やインテリアの配置は、家や街の暮らしやすさ、家事の効率化に繋がるため、居住者の動線に配慮した家づくりは重要とされている。
【例文】
「効率の良い家事動線を意識したキッチンの設計を考える」
「コンサートを時間通りに進行できるように、観客の動線をスタッフ間で共有する」
物流業界
物流業界では、一般的に「動線」が使われることが多い。ただし、以下の例文2文目のように「導線」を「動線」と同義で使用することがある。
【例文】
「運搬物を定刻で届けられるように、配送の動線を確認しておいてください」
「配達物を保管する倉庫では、入荷から出荷までの作業導線が短いほど効率の良い運搬ができる」
観光業界
ホテルなどでは主に「動線」が用いられるが、先述の通り、顧客を誘導するという意味で「導線」が使われることもある。
【例文】
「ホテルでは、質の高い接客のために従業員の動線を考慮する必要がある」
「観光客の心を導く導線をまちづくりに取り入れる」
小売業界
百貨店では、主に「導線」を使うのが共通認識とされる。その理由は、百貨店が、顧客を目的の商品やサービスに向かって導くことに重点を置いているからだ。
【例文】
「顧客の導線に考慮した商品の陳列、店舗のレイアウトを設計する」
「顧客が求めている商品を見つけやすくするために、導線を意識する」
WEB業界
WEB業界では、WEBサイトを訪問したユーザーの移動経路を表す「動線」と、目的のサービスに訪問者を誘導することを表す「導線」の両方が使われることがある。
【例文】
「Webサイトの制作では、常にユーザーが閲覧した動線を分析して、目的のコンテンツのリピート率を高められるような導線の設計に役立てる必要がある」
「魅力的なWEBサイトの導線設計には、ユーザーの動線分析からの改善が欠かせない」
文/編集部