日常生活であまり目にする機会はありませんが、外国の名前には漢字表記があり、『委内瑞拉』もその一つです。南アメリカにある国を指しますが、何と読むのでしょうか?正しい読み方や国名・国旗の由来、産業などの基本情報を紹介します。
委内瑞拉の読み方は?
国名の漢字表記だとは分かっても、『委内瑞拉』を正しく読める人は少ないかもしれません。何と読むのかを知り、国名の漢字表記に関する知識を増やしましょう。
正解は「ベネズエラ」
委内瑞拉の正しい読み方は、『ベネズエラ』です。『米(アメリカ)』や『英(イギリス)』のように漢字一文字の略称は、『委』です。
読み方が分かっても、ベネズエラと読むのは無理があると思う人もいるでしょう。多くの国名の漢字表記は音の響きに漢字を当てはめた当て字であるため、しっくりこないものも少なくありません。
委内瑞拉の場合は中国語でも同じ表記が使われているため、中国語由来の可能性もあるでしょう。
委内瑞拉の国名や国旗の由来
国名の由来は、ヨーロッパのある国と関係しています。どのような由来があるのか紹介します。国旗の由来についても確認しましょう。
国名の由来はイタリアのベネチア
ベネズエラは、イタリアの水の都として知られる『ベネチア』が由来で、『小ベネチア』という意味です。先住民の水上生活の様子がベネチアの風景と似ていたため、スペインの探検家がベネズエラと呼んだことが始まりとされています。
なお、正式な国名は『ベネズエラ・ボリバル共和国』です。1999年に新憲法が発効し、ベネズエラ共和国から変更されました。ボリバルは、ベネズエラをスペインからの独立に導いた英雄とされる人物です。
黄、青、赤の3色の国旗
ベネズエラの国旗は、南アメリカ大陸北部に建国された『大コロンビア共和国』時代に使われていた3色の旗がベースになっています。上から黄・青・赤のしま模様になっており、黄は鉱物資源、青はカリブ海、赤は革命兵士の血と犠牲という意味です。
国旗のデザインは、2006年に一部が変更になりました。左上の国章に描かれている、独立と自由の象徴である白馬が、右向きから左向きに走っていく姿になりました。また、中央に描かれている独立時の州の数を示す星が、一つ増えて八つになっています。
委内瑞拉について知ろう
ベネズエラと聞いても、どのような国なのか思い浮かばないという人もいるのではないでしょうか?面積や人口などの基本情報とともに、文化や産業、遺構などについて紹介します。
委内瑞拉の基本データ
ベネズエラは南アメリカ大陸の北部に位置し、コロンビアやブラジルと隣接しています。首都は『カラカス』です。
日本の約2.4倍の国土を有し、約2,795万人が暮らしており、国民の多くがカトリック教徒です。スペイン統治時代の影響で、主な言語はスペイン語ですが、先住民族の言語を話す人もいます。
ベネズエラには、ワユー族やペモン族など50以上の異なる先住民族が暮らしているとされています。先住民族の権利や言語は尊重されなければならないと、憲法で決められています。
委内瑞拉は音楽であふれた国
ベネズエラでは、音楽が社会や人々の暮らしに浸透しており、身近な存在です。典型的な音楽は先住民族やヨーロッパ民族、アフリカ民族の文化が混ざり合ってできており、固有のメロディーやリズムがあるのが特徴といえます。
代表的な伝統音楽として、もともとは西北部の民謡だった『ガイタ』や、3拍子と2拍子のユニークなリズムが特徴の『ホローポ』などが挙げられます。
また、日本で知られているベネズエラの音楽もあります。1961年にカバーされた『コーヒールンバ』は大ブームとなり、その後も多数のアーティストにカバーされている人気曲なので、耳にしたことがある人も多いでしょう。
世界有数の石油産出国
ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を持つとされる有数の産出国で、輸出のほとんどが原油と石油派生製品です。鉄やアルミニウム、鋼鉄なども輸出していますが、原油が経済の基礎になっています。主な輸出相手国は、アメリカやインド、中国です。
1976年には石油産業が国有化され、石油輸出国の利益を守ることを目的とした『石油輸出国機構(OPEC)』にも加盟しています。
委内瑞拉で訪れたいスポット
ベネズエラには複数の世界遺産があり、観光スポットとして人気です。中でも代表的なのが、未開拓の地が多く秘境ともいわれている『カナイマ国立公園』です。落差が979mもある『エンジェルフォール』は圧巻で、多くの人を魅了してきました。
『コロ市』と『ラ・ベラ港』も世界遺産に登録されています。スペインとオランダの建築様式が混ざり合った、16世紀の街並みが残る美しい港町です。
首都のカラカスには、近代的な建築物が建ち並んでいます。ベネズエラ中央大学のメインキャンパスがある『カラカス大学都市』の建築群は、文化遺産にも登録されています。
構成/編集部