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ロマンチックな出会いを届ける!〝本で出会う〟マッチングサービス「Chapters」開発秘話

2023.05.19

「本棚で手と手が重なるような出会いを。」をコンセプトに、本を通じた人との出会いを提供するマッチングサービス「Chapters(チャプターズ)」。2021年6月のサービス開始以来、延べ4,500人以上が利用し、毎月のように交際報告も届いているという。

今回は、Chapters book storeを運営する株式会社MISSION ROMANTIC 代表取締役 Founder 森本萌乃さんに開発に至った経緯や、そこにあった試行錯誤についてお話を伺った。

*本稿はインタビューから一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

既存のマッチングサービスにはない、新しい出会いを

Chaptersは、厳選した4冊の本の中から、ユーザーがセレクトした1冊を届けてくれる月額制のオンライン書店だ。その後、手元に届いた本と同じ本を読んだ人とビデオチャットができるマッチング機能もあるのがポイント。開発に至った経緯には、森本さん自身の強い思いと、既存のマッチングサービスに対する違和感があったという。

「Chaptersは『本棚で手と手が重なるような出会い』を求めて生み出したサービスです。そんなのって、ラブコメ映画くらいでしか見ないじゃないですか。でも、どうしてもそういう出会いが欲しいなと思ったんです。27〜28歳くらいの時に、たまらなく恋人が欲しくてマッチングアプリをやっていました。マッチングアプリって、ちょっと自分をマーケティングしなきゃいけないんですよね。バキバキじゃなくてちょっと抜けた写真で、『マーケティングやってます❤』『趣味はお散歩♪』みたいな。『なんだこれ』ってなったんだったんですよ(笑)。私、強いし仕事大好きだし、そんなかわいい感じでもないので、この中で勝ち残っていくのって無理だなって思いました」(森本さん)。

そこから、自身が今まで恋に落ちた感覚的な部分に注目。それが既存マッチングアプリでは実現できないことに気付き、自らサービス開発をすることを決意したという。

「恋に落ちる時って、お相手に身長や年収とかのスペックではなくて、『なんか居心地がいいな』『声がいいな』『一緒にいて安心するな』とか、ふとした瞬間 だったりするじゃないですか、結局 。これって、マッチングアプリの検索じゃ絶対に引っかからないんですよね。そこから、『出会い方』に特化したサービスってないなと思ったのが開発のきっかけでした。本当に妄想だけで始めちゃったんですけど 、リソース的にもお金的にも、なんとかまだサービスが存続できていることに 毎日びっくりしながらやっています(笑)」(森本さん)。

さまざまなロマンチックな出会い方を考えた結果、森本さん自身が好きな読書を掛け合わせた現在のサービスに着想したという。

「最初は食パンくわえた女の子が走ってくるパン屋とか、『あちらのお客様からです』とマティーニが出てくるバーとかいろいろと考えたんです。でも、個人的に読書が趣味だったので、好きを掛け合わせると強くなるというか、何かやるなら本屋さんやりたいなと思って。そのロマンチックなシチュエーションを、本棚で人たちの手と手が重なる瞬間と定義付けたんです。『本ならいける!』とか、今の既存のマッチングサービスがこうだからとか、ビジネスマインドから入ったというよりも『ないから作ってみよう』『失敗するなら早い方がいい』という気持ちで始めました」(森本さん)。

100万人には刺さらなくても「1人に強烈に刺さる」サービス

実現したいサービスは決まったものの、資金調達の面で苦労があったと森本さんは次のように振り返る。

「本はやはり斜陽産業なんですよね。『なんか何で本なの』『今ちょっと本じゃね』と言われて、結局VCからは資金調達できなかったんです。『やばい、本じゃ無理かも』と思ったこともありました。でも、良い本って世の中にたくさんあるんですよ。ただ、今まで『本の売り方』を考える人があまりいなかったんです。私はそれまでの10年のキャリアで、ブランディング、マーケティング、PRをやってきたので、それがハマりやすかったんだと思います」(森本さん)。

そんな中、エンジェル投資家との出会いによって森本さんはChaptersのサービスを少しずつかたちになっていく。

「最初のエンジェル投資家の方が『このサービスに誰もお金を入れなくても僕は入れたい』と言ってくれて、創業期や資金調達が辛い時はその言葉に本当に 救われましたね、言葉通り私のエンジェルです。『これは誰が使うか が明確だ』『あった方がいいサービスだから作った方がいいし、やってみてほしい』と応援してくれたのが大きかったです」(森本さん)。

届くまで本のタイトルはわからないワクワク感

Chaptersのサービスは、月額2310円(税込)で 1冊の本と1回の出会い(オンライン)が含まれている。本のタイトルは届くまでわからない点にも特徴があると森本さんは話す。

「お客様には4冊の選書がいつも提示されます。私たちが毎月その本に合わせたクリエイティブを書影の代わりに出していて、本のタイトルは届くまでわからないんです。推薦文が4パターンあるので、皆さんはそれ読んで『今月はちょっと忙しいから短編集にしよう』『面白そうなミステリーだからこれにしよう』『心が疲れているから恋愛小説にしよう』と選びます。その後、本を読了したら、同じ時期に同じ本を読んだ日本全国の誰かとビデオチャットで繋がる仕組みです。20分話してみて、新しい人間関係を始めたいと思ったら連絡先の交換もできます」(森本さん)。

「本×出会い」のサービスならではの特徴として、「加点」で評価をしてもらえる点があると、森本さんは続ける。

「マッチングサービスって、出会えなかったら0点なんですよね。だから出会えないとどんどん疲弊するんですけど、Chaptersは面白い本に出会えたらもう50点、人に出会えたら60点、その人と気が合ったら70点のように、加点でいけるんです。プロフィールは年代、居住地、好きな本3冊と、趣味しか書けなくしています。それ以外は皆さん情報がないので、ビデオチャット始まったら、顔がタイプすぎて喋れなかったといったことが時々あるらしいです。こんな余白の多いサービスですが、月に3件ぐらい交際報告もあります 。『えい』と偶然に身を任せていただけたら、思いもよらない素敵な出会いが待っているかもしれません」(森本さん)。

マッチングサービスなのに「選書の良さ」で利用しているユーザーも

さまざまな試行錯誤を経て誕生したChaptersは、利用者から嬉しい声が続出するサービスに成長。森本さんは、ユーザーからの声を聞いて感涙したという。

「『Chaptersを通して本がまた好きになりました』『もう2年使っています』と言われて、すごく嬉しかったですね。『Chaptersは、自己肯定感も減らさないままで使える唯一のマッチングサービス』と言ってくださった時に、ちゃんと届いているなとすごく泣けてきちゃって。夢が叶った瞬間というか、すごく感動しましたね。ちゃんと交際報告をしてくれるのも嬉しいです。マッチングサービスって男性は課金、女性は無料というのが基本。でも、Chaptersは全員同じ金額いただいています。それでも女性がユーザー数6割なんです。忙しい女の子たちに、自己肯定感を守りながら、恋愛の期待をちょっとずつ人生のエッセンスで入れてもらいたいと日々思っています」(森本さん)。

マッチングサービスではあるものの「選書の良さ」が評価され、中には選書サービスとしてだけ利用するユーザーも多いそうだ。

「私がめちゃくちゃ恋愛したくて作ったので、恋愛してほしいんですけど(笑)、お客様の中にはビデオチャットもせず『選書サービスとして最高です』と言って使っている方が半分 ほどいます。あと、本好きであるってことで、恋愛だけじゃなくて素晴らしいお友達ができるようで、 一緒に美術館行きましたとか、恋には繋がらなかったけど異性の友達ができて、本の話で時々やり取りしていますといった声もあります。なんか嬉しいですよね、出会いのゴールは恋愛だけじゃないっていうか」(森本さん)。

Chaptersで提案される本は、森本さん自身が読んだ本の中から選ばれる。本選びのポイントについて、森本さんは次のように語る。

「冒頭100ページは絶対に読むようにしています。味見ですよね。忙しい方たちの時間をいただくので、後悔をさせたくないんです。だから、登場人物を把握するのが難しい本や、難解な凪の状態が続いていきなり爆発するみたいな本は選ばないようにしています。芥川賞や直木賞というよりは、本屋大賞系の皆さんが読みやすいエンタメ小説を選ぶようにしていますね。100ページ読んで面白かったら進んでいって、読了するのはだいたい30冊のうち 10冊くらいです。その中から提案する本とテーマを決めていきます。お客様に販売する時、読んだことない本が並んでいることほど不安なことないと思うんです。4冊しか並ばないからこそ、毎晩一生懸命読んでいます」(森本さん)。

5月は小学館文庫とのコラボ!テーマは「ダウト-あなたは見破れる?-」

そんなChaptersは、2023年5月に小学館文庫とコラボを実施中。テーマ設定について、森本さんは次のように話す。

「5月は、小学館文庫さんを選書のパートナーにお迎えして、最後まで読みたくなるようなミステリー系を揃えました。4か月ほどかけて、『これなら自信を持って届けられる』という4冊を選び、“ダウト”というテーマに決めました。忙しい方向けに短編も入っているので、自分の今の生活スタイルと、読みたい作風とで選んでもらえたらいいなと思います。本で出会った2人がどんな出会い、会話をしていくのか楽しみです。ミステリー小説って『犯人わかりました?』みたいな会話ができるので、そういう議論もしてほしいなと思いますね」(森本さん)。

最後に、森本さんは今後の意気込みについて次のように語った。

「Netflix、Hulu、Disney+、Chaptersみたいに使ってほしいなと思っています。私は、本は生活を豊かにするとか賢くなる教養になるとかまったく思っていなくて、楽しいから読む方がいいと思っているんです。その楽しいをちゃんと保証していきたいという思いで、毎回Chaptersのブックカバー を付けてお届けしています」(森本さん)。

森本萌乃さん
株式会社MISSION ROMANTIC代表取締役。1990年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒業、うち1年間ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに留学。 2013年に株式会社電通に入社し、プランナーとして4年間従事した後、My Little Box、FABRIC TOKYOに携わりながらパラレルキャリアで2019年2月株式会社MISSION ROMANTICを創業。2021年6月、「Chapters bookstore」グランドオープン。

Chapters book store公式サイト

取材・文/久我裕紀

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