子どもの「良い歯ならびの土台づくり」に大切な噛む力をグミで強化
ライオンは、日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 根岸 慎一教授と共同で、「良い歯ならびの土台づくり」が重要な6~12歳の児童を対象に、一般のグミと比べて、サイズが大きく弾力と硬さを有する扁平形状グミ(以下、硬性グミ)の摂取による、口腔機能への影響を調査した。
その結果、硬性グミを1日2枚、4週間摂取することで、咀嚼力(食べ物を噛み切る・砕く・混ぜる力)、口唇閉鎖力(口を閉じる力)、咬合力(奥歯で噛みしめる力)といった口腔機能が向上する可能性を確認したので、詳細をお伝えしよう。
研究の背景
学童期は口腔機能が著しく発達する時期だ。口腔機能の適切な発達は、正常な咬合・歯列形成に非常に重要であり、特に、よく噛むことで口まわりの様々な筋肉が使われ、顎が発達し、永久歯がきれいに並ぶ土台づくりに繋がるともいわれている(※1)。
しかし、口腔機能の発達をサポートするための方法は、定期的な専門外来への通院が必要であったり、トレーニング感が強いものが多く、手軽に継続できる方法は限られていた。
そこでライオンは、子どもの嗜好性が高く、口腔機能の向上が期待できる物性のグミに着目。日本大学と共同で、学童期の児童(6~12歳)を対象とし、硬性グミ摂取による口腔機能への影響を検討した。
(※1)根岸慎一ら、「硬性ガムトレーニングが混合歯列期児童の咀嚼運動および第一大臼歯植立に与える影響」Orthodontic Waves-Japanese Edition 69 (3), 156-162, 2010
4週間の硬性グミ摂取により、口腔機能が向上、半数以上の保護者が、子どもの食べ方の変化も実感
1日1回(2枚)、4週間の硬性グミ摂取による、口腔機能の変化を解析。その結果、摂取前と比較して、摂取後には咀嚼力(食べ物を噛み切る・砕く・混ぜる力)、口唇閉鎖力(口を閉じる力)、咬合力(奥歯で噛みしめる力)、が向上する可能性を確認した(図1)。
一般的に硬く、弾力のある食品を左右の歯でバランスよく噛むことが、口腔機能の適切な発達に重要であるといわれている(※2)。
本試験では、硬性グミを4週間継続摂取したことでバランスよく噛む習慣がつき、咀嚼力、口唇閉鎖力、咬合力が、向上したと考えられる。
(※2) 根岸慎一ら、「硬性ガム咀嚼トレーニングが混合歯列期児童の咀嚼能力に及ぼす影響」Orthodontic Waves-Japanese Edition 67 (3), 132-138, 2008
4週間の硬性グミ摂取後、対象児童の保護者に対してアンケート調査を実施。その結果、半数以上の人が「左右バランスよく両側の歯で噛むようになった」、「食事中、口を閉じて食べるようになった」と食べ方の変化を実感していることがわかった。
また、「“1日1回グミを食べる”という習慣化をきっかけに、毎日何かを続けることの大切さを知る機会になった」とのコメントも得られた。
研究内容
対象者:6~12歳の健康な児童 26名 (男児10名、女児16名)
試験品:一般のグミと比較し、サイズが大きく、弾力と硬さを有する扁平形状グミ(硬性グミ)
摂取方法:椅子に座った状態で、硬性グミを左右の歯で均等によく噛む。2枚を連続して摂取する
ことを、1日1回、4週間実施
評価方法:硬性グミ摂取前後に、口腔機能測定およびアンケート調査を実施
口腔機能測定項目:咀嚼力、口唇閉鎖力、咬合力
アンケート調査:口腔機能に関する質問などを試験対象児童の保護者に実施
ライオンは、オーラルヘルス領域の基本的考え方に基づく全ての企業活動を「LIONオーラルヘルスイニシアチブ」(※3)として順次展開している。
本取り組みも、この一環として実施し、今後もお口を起点とした人々の健康増進への貢献を目指していくとのこと。
(※3)ライオンの中長期経営戦略フレーム「Vision2030」実現に向けたオーラルヘルス領域活動の総称
構成/Ara