4月から解禁となった給与デジタル払い制度。これにより、企業が従来の銀行口座だけでなく、スマホの決済アプリなどにも従業員の給与を振り込めるようになったわけだが、実際のところ、中小企業/零細企業の経営者・従業員のうちどれくらいの人がこの制度を前向きにとらえているのだろうか?
フリーウェイジャパンはこのほど、中小企業/零細企業の経営者・従業員576人を対象とした「給与デジタル払い」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
2023年4月から解禁となった「給与デジタル払い」制度の認知度は75.9%
Q1.2023年4月から解禁となった「給与デジタル払い」制度の内容を知ってますか? (SA)(n=576)
4月から解禁された給与デジタル払いの認知度ついて聞いたところ、「詳細まで認知している」は5.4%、「詳細は知らないが制度自体は認知している」が70.5%と、全体の75.9%が制度を認知していることがわかった。また、「認知していない」は24.1%という結果になった。
制度の目的であるキャッシュレス決済の推進、40.3%は影響しないと回答
Q2.制度解禁はキャッシュレス決済比率の向上にどのくらい影響があると思いますか? (SA)
対象:Q1で「詳細まで認知している」「詳細は知らないが制度自体は認知している」と回答した方(n=437)
制度解禁によるキャッシュレス決済比率向上への影響について聞いたところ、「かなり影響があると思う」は9.6%、「ある程度影響があると思う」が45.8%と、全体の55.4%はキャッシュレス推進への影響があると考えていることがわかった。一方で、「あまり影響はないと思う」31.1%、「ほとんど、もしくはまったく影響がないと思う」9.2%と、40.3%は影響が無いと回答し、「わからない」が4.3%であった。
制度を導入または導入予定の企業は僅か2.5%、81.3%が「導入しない」「未定」と回答
Q3.給与デジタル払い制度を導入しますか? (SA)
対象:Q1で「詳細まで認知している」「詳細は知らないが制度自体は認知している」と回答した経営者(n=160)
経営者に対して、制度の導入意向について聞いたところ、「導入している」が0.6%、「導入予定」が1.9%と、導入済または導入予定の企業は全体の僅か2.5%に留まった。その他の回答としては、「検討しているが導入は未定」が7.5%、「これから導入検討予定」が8.8%、「未定・わからない」が21.3%と続いた。また、「導入しない」は全体の60.0%を占めた。
導入しない理由として「デジタル払いと賃金払いの二重運用」が最多の41.7%
Q4.給与デジタル払い制度を導入しない理由を教えてください。 (MA)
対象:Q3で「導入しない」と回答した方(n=96)
制度を導入しないと回答した経営者に理由を聞いたところ、「デジタル払いと賃金払いの二重運用が発生してしまうから」が最多の41.7%、「事故の補償やセキュリティ面のリスクがあるから」が39.6%、「給与支払いに係る運用フローを再構築する必要があるから」が35.4%、「システム連携費用や運用工数の増大が懸念されるから」が27.1%と続いた。制度導入にあたって運用コストやセキュリティリスクが課題になっていることがわかった。
従業員の69.3%が制度を「利用したくない」と回答、場合によっては21.6%が利用したい意向
Q5.制度が導入された場合、利用したいですか? (SA)
対象:Q1で「詳細まで認知している」「詳細は知らないが制度自体は認知している」と回答した従業員(n=277)
給与デジタル払い制度を認知している従業員を対象に、同制度の利用意向について聞いたところ、「利用したくない」が41.5%、「あまり利用したくない」が27.8%となり、従業員の69.3%が制度を「利用したくない」と考えていることがわかった。
利用したくない理由として「デジタル化のメリットを感じないから」が最多の78.1%
Q6.制度を利用したくないと考える理由を教えてください。 (MA)
対象:Q5で「あまり利用したくない」「利用したくない」と回答した方(n=192)
制度を利用したくないと回答した従業員に理由を聞いたところ、最多は「デジタル化のメリットを感じないから」で78.1%という結果になった。以下、「セキュリティ不備による不正引き出しなどに不安があるから」が42.2%、「デジタル払いの現金化に手間がかかりそうだから」が41.1%と続いた。
場合によって利用したい理由、「金融機関やATMの手数料を軽減できるから」が最多の71.7%
Q7.制度を利用したいと考える理由を教えてください。 (MA)
対象:Q5で「利用したい(利用している)」「場合によっては利用したい」と回答した方(n=60)
制度を利用したいと回答した従業員に対して、その理由について聞いたところ、「銀行などの金融機関やATMの手数料を軽減できるから」が最多の71.7%であった。その他の回答として、「現金を持ち歩く機会を減らせるから」が51.7%、「公共料金の支払い、送金などがスマートフォンで管理できるから」が18.3%と続いた。
利用する場合に希望する決済サービスは「PayPay」が最多の63.3%
Q8.希望するまたは利用している決済サービスを教えてください。 (MA)
対象:Q5で「利用したい(利用している)」「場合によっては利用したい」と回答した方(n=60)
制度を利用する場合に希望する決済サービスについて聞いたところ、「PayPay」が最多の63.3%、以下、「d払い」が23.3%、「楽天ペイ」が21.7%、「LINE Pay」が13.3%と続いた。
※フリーウェイジャパン調べ
<調査概要>
調査タイトル:給与デジタル払いに関する実態調査
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2023年3月31日~4月8日
調査対象 :中小企業/零細企業の経営者・従業員576人
出典元:株式会社フリーウェイジャパン
構成/こじへい