スカイチームとは、世界のさまざまな航空会社で構成される航空アライアンスの一つです。国際競争が激化する昨今、航空会社は連合に加盟してネットワークの拡充やコスト削減に努めています。スカイチームを利用するメリットや特典、加盟航空会社を紹介します。
スカイチームとは
スカイチームとは、さまざまな航空会社が集まって運営する航空アライアンスの一つです。特徴やメンバーについて詳しく見ていきましょう。
世界の航空会社が加盟するアライアンス
スカイチームは、世界三大航空アライアンスの一つです。結成は2000年で、三大航空アライアンス中では最も新しいものの、『スターアライアンス』に次ぐ規模となっています。
スカイチームを創設したのは、『アエロメヒコ航空』『エール フランス』『デルタ航空』『大韓航空』の4社です。2023年5月時点の加盟航空会社は、以下の19社に上ります。
- アルゼンチン航空
- アエロメヒコ航空
- エアヨーロッパ
- エールフランス
- チャイナエアライン
- 中国東方航空
- チェコ航空
- デルタ航空
- ガルーダ・インドネシア航空
- ITAエアウェイズ
- ケニア航空
- KLMオランダ航空
- 大韓航空
- ミドルイースト航空
- サウディア
- タロム航空
- ベトナム航空
- ヴァージン アトランティック航空
- 厦門航空
スカイチーム全体では、184の国と地域・1,088の目的地に1万84便以上を就航しています。毎年の利用顧客は、スカイチーム全体で約3億4,210万人です。
アジアエリアに強固なネットワーク
スカイチームの特徴は、アジアエリアのネットワークが充実している点です。
スカイチームは特に中国エリアに強みを持ち、台湾のフラッグシップキャリアであるチャイナエアラインや、上海を拠点とする中国東方航空、厦門(アモイ)を拠点とする厦門航空が加盟しています。これらの航空会社だけで、中華圏41以上の空港にシームレスにアクセスすることが可能です。
このほかにインドネシア・韓国・ベトナムからも、各国のフラッグキャリアであるガルーダ・インドネシア航空・大韓航空・ベトナム航空が加盟中しています。ただし、日本とニュージーランド・オーストラリアに関しては、加盟する航空会社はありません。
スカイチームを利用するメリット
海外への渡航が多い人が航空券を購入する際は、航空会社のアライアンスを意識するのがおすすめです。スカイチームを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
加盟航空会社間でマイルを共有できる
同じスカイチームの航空会社同士なら、どこを選んでもマイルの共有が可能です。
海外に行く際に、旅程やエリアによっては愛用している航空会社を使えないケースがあります。このような場合でも、利用する航空会社がスカイチームに加盟しているのであれば、マイルがムダになる心配がありません。
また各航空会社のマイレージプログラムで上級会員になると、スカイチームでも上級会員のステータスが付与される仕組みです。スカイチームならではのさまざまな特典を利用でき、飛行機での旅がより一層快適になります。
乗り継ぎがスムーズ
スカイチームに加入している航空会社は、北米から中東・アジア・アフリカ、西欧・中欧まで多岐にわたります。オセアニアエリアにも加盟航空会社が乗り入れているため、スカイチームの加入会社のみで全世界をカバーでき、乗り継ぎもスムーズです。
またスカイチームの航空会社同士を乗り継ぐ場合は、航空券を別々に購入する必要がありません。乗り継ぎがあっても航空券は1枚でよく、チェックインや荷物の預け入れの負担も少なくなります。
さらに空港によっては、スカイチームの加盟航空会社は全て同一フロアです。例えば成田空港では、スカイチームの航空会社は第1旅客ターミナル北ウイングに集められています。乗り継ぎのための移動が少ないのも、利用者にはうれしいポイントといえるでしょう。
世界一周チケットは販売停止中
世界一周チケットとは、スカイチームの航空会社を乗り継いで世界中を回れる航空券です。料金はマイル制で、旅行中の総マイル数によって料金が変わります。
利用条件は以下の通りです。
- 大西洋と太平洋の両方を横断する
- 東回りまたは西回りの一方向のみ
- 出発都市と目的都市が同じ国
世界一周チケットの有効期限は、発券日から1年間です。ただし2023年5月時点では、世界一周チケットは販売が停止されています。再販売についてはアナウンスされておらず、今後の販売については未定です。
スカイチームのエリートになるとよりお得
スカイチームの上級会員になると、旅の快適性はさらにアップします。スカイチームの上級会員資格について見ていきましょう。
スカイチームの上級会員資格とは?
スカイチームの上級会員とは、スカイチームに加盟する航空会社を頻繁に利用する、ロイヤリティの高い顧客に付与される資格です。ランクには『エリート』『エリートプラス』の2種類があり、受けられるサービスや特典は異なります。
スカイチームでエリートの資格が付与された場合、以下の特典が与えられます。
- 予約を優先的に確保
- 座席の優先案内
- 優先チェックインカウンターの利用
- 優先搭乗または自由搭乗
- 超過手荷物許容量
スカイチームの上級会員になるためには、加盟航空会社の上級会員になることから始めましょう。まずは利用頻度の高い航空会社のマイレージプログラムに登録し、マイルを貯めます。一定以上のマイルを貯めるとまずエリート資格が付与され、さらにマイルを貯めるとエリートプラスに昇格する仕組みです。
エリートプラスには「スカイプライオリティ」が適用
『エリートプラス』の資格を得た人には、エリートよりもさらにメリットの大きい『スカイプライオリティ』が適用されます。スカイプライオリティとは、スカイチームが運航する世界970以上の空港で提供される優先サービスです。
エリートプラスのステータスを受けた人は、エリート特典に追加して以下のようなサービスを受けられます。
- スカイチームの航空会社の搭乗券を持っている人は、座席クラスにかかわらず世界中のスカイチームラウンジを利用可能(ゲスト同伴可)
- 座席クラスにかかわらず到着時の手荷物の取り扱いを優先
スカイプライオリティが適用される航空券には『SkyPriority』の文字が印字されています。このチケットを持つ人は、空港内の『SkyPriority』マークに従って、上記の優先案内を受けることが可能です。
AMEXカードでエリートプラスの資格を獲得できる
AMEXの『デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード』を所有すると、初年度には無条件でデルタ航空の上級会員資格である『ゴールドメダリオン』の獲得が可能です。
ステータスはスカイチームにも反映されるため、マイルが貯まっていなくても自動的にエリートプラスの資格が付与されます。
ゴールドカードの注意点は、資格が適用されるのは初年度のみである点です。次年度以降もゴールドメダリオンを維持したい場合は、定められたプログラム期間中にカードを150万円以上利用しなければなりません。
なお利用額が100万円以上150万円未満の場合はシルバーメダリオン、100万円以下はステータスなしです。いずれの場合も、エリートプラスの資格は失われてしまいます(2023年5月時点)。
スカイチームの加盟航空会社をチェック
スカイチームには、各地域から大手航空会社が参加しています。加盟メンバーの一部を見ていきましょう。
デルタ航空
デルタ航空は、総収益で世界トップを誇るアメリカの航空会社です。本拠地はアメリカ・アトランタにあり、パートナー航空会社を含めると60カ国以上、1,000以上の地域に就航しています。
デルタ航空は、スカイチーム創設に重要な役割を果たした最初期メンバーです。日本の航空会社との提携はありませんが、羽田空港からロサンゼルス行きの飛行機が運航しています。
近年は、アメリカ以外では初となる空港ラウンジを羽田空港にオープンさせ、大きな話題となりました。
ヴァージン アトランティック航空
ヴァージン アトランティック航空は、長距離航空会社としてはイギリス2位の地位にある航空会社です。イギリスからヨーロッパやアジア・アフリカの27の目的地に就航し、年間500万人以上の乗客を運んでいます。
ヴァージン アトランティック航空の創業は1984年ですが、スカイチームに加盟したのは2023年3月と最近です。イギリスから新たなメンバーが加わったことにより、スカイチームのヨーロッパ路線はさらに充実しました。
アライアンスは異なりますが、日本のANAとはマイレージ提携を行っています。ヴァージン アトランティック航空を利用した場合でも、ANAのマイルが貯まります。
中国東方航空
中国東方航空は、上海に拠点を置く中国の航空会社です。中国では三大航空会社の一つに数えられており、全世界に幅広いネットワークを構築しています。
中国東方航空の就航地は、世界170を超える国・地域、1,000を超える目的地です。年間の利用者数は1億2,000万人以上にも上り、世界第7位となっています。
日本では羽田と成田のほか、関空からも中国エリアへの直行便が運航されています。日本のJALとはマイレージ提携を行っており、中国東方航空で獲得したマイルをJALのマイルに加算することが可能です。
構成/編集部