更科の瑞々しさに惚れた熊本県の〝三色そば〟
今回は2022年に開催したDEENの47都道府県ツアー中に立ち寄った、熊本県熊本市にある「手打百藝 中の森」のお蕎麦を紹介したい。
このお店を知ったきっかけは、地元のイベンターさんからの紹介だった。蕎麦の本場・長野県上田市で修業を積んだ店主が作る、そば粉十割を使った手打ちそばが評判のお蕎麦屋さんらしい。普段はネットの口コミを頼りにお蕎麦屋さんを探しているが、やはり現地の方の情報に勝るものはない。開店よりもかなり早い時間に到着したにもかかわらず、すでに長蛇の列ができていた。この日は熊本でライヴを予定していたのだが、行列の中にDEENのファンらしき人たちの姿も確認できた。鋭い蕎麦屋の選定眼、お見それしました。
さて、行列に並ぶこと小一時間。暖簾をくぐってすぐに注文をすませた。メニューは事前に決めていた。定番の『かけそば』、それから更科・挽きぐるみ(丸抜きしたそば実のお蕎麦)・田舎蕎麦の3種を味わえる『三色そば』の2品だ。
注文を終えて店内を見渡すと、お蕎麦を提供するお椀に目が吸い寄せられた。特徴的な高台に見覚えがあったからだ。発芽直前のそばの実で打った『発芽そば』で知られる名店「手打百藝 おお西」(以下、おお西)で見たお椀だ! 『発芽そば』を作る蕎麦職人は数人しかいないと、以前「おお西」の大将から伺っていた。もしやと思い話しかけると、コレがドンピシャ! やはりお弟子さんだったのだ。池森が「おお西」を懇意にしていることも知っており、まるで蕎麦友と出会った気分で話に花が咲いてしまった(笑)。
話をお蕎麦に戻そう。『三色そば』は、どのお蕎麦も個性があり、味・香り・喉越しの違いを楽しんだ。中でも更科蕎麦は絶品だった。これほど瑞々しく涼やかな見た目のお蕎麦を、僕はいまだかつて見たことがない。そう思えるくらい芸術的な透明感! これには声をあげるほど驚いた。かけそばはお汁も格別だった。このかけそばのためだけに打ったお蕎麦なのだろう。太さは絶妙でつゆ絡みもいい。食べ始めたら本当に一瞬だ。遊園地で数時間かけてジェットコースターに並ぶも乗れば一瞬。爽快感に浸りながらお店を後にした。
今回もリピート確定! 新たな名店とのすてきな出会いでした。おいしいお蕎麦、ご馳走さまでした!
『三色そば』1420円
『かけそば』950円
手打百藝 中の森
[住]熊本県熊本市中央区水前寺3-6-2 [電]096・387・6340
[休]月曜日 http://nakanomorisoba.jimdofree.com/
いけもり しゅういち
DEENのヴォーカリストであり、YouTubeチャンネル『信州戸隠池森そば 赤坂店』店主。2023年3月にDEENデビュー30周年を記念したライヴを日本武道館で開催。自身初のレシピ本『分とく山・野﨑洋光監修DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』(小学館)発売中!
※「池森秀一の蕎麦ログ」は、雑誌「DIME」で好評連載中。なお、本記事はDIME6月号に掲載されたものです。
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
DEEN池森秀一さんの乾麺蕎麦創作レシピ本、絶賛発売中!
人気バンドDEENのボーカル・池森秀一さんは15年以上、365日ほぼ毎日食べ続けるほど、こよなく蕎麦を愛するオタク。人気テレビ番組「マツコの知らない世界」(TBS)や「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)への出演で、その偏愛ぶりをご存じの方も多いのではないだろうか。
そんな池森さんと日本を代表する料理人「分とく山」の野﨑洋光さんによる、乾麺蕎麦を使った創作料理での夢の競演が実現した。それぞれが考案したオリジナルの乾麺蕎麦レシピ全50品を、蕎麦に対する熱い思いやこだわりとともに紹介するレシピ本『分とく山・野﨑洋光監修 DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』が発売された。