男女限らず容姿を褒められると、悪い気はしない人は多いだろう。だが容姿について取り上げることは、性的な対象として見なしているメッセージになる場合があることを忘れてはいけない。例えば一時期「美しすぎる〇〇」といった表現が流行したが、言われる当人は容姿ばかり話題されることを歓迎しているのか? 口にする際は立ち止まって考えたい。またメディアなどでは女性が少ない趣味や職業について〝希少価値が高い〟という意味で「〇〇ガール」「〇〇女子」といった表現をする。「女子なのに珍しい、がんばっている」という発想になっていないか。さらに、「男性だと味気ない」という理由で女性をアイキャッチに使っていないか。一歩間違えば、「女性はお飾り」との固定観念を助長する。もてはやすのではなく対等に扱う。ジェンダ平等への第一歩となる。
『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』1650円(小学館)
ドイツの体操選手がアスリート画像悪用に抗議
ドイツの女性選手たちが足首までを覆うユニタードで演技。女性アスリートの性的な画像や動画を拡散される問題に抗議の意味を込めたと発表された。
三重県志摩市の公認萌えキャラ署名活動を受けて撤回
2014年、三重県志摩市では海女をモチーフとした萌えキャラクターを作成。だが「海女の誤解につながる」などと地元の女性らが志摩市の公認撤回を求める署名活動が巻き起こった。
気をつけたいジェンダー表現
美しすぎる○○ → ルッキズムに該当するので使用を控える。
イケメン○○ → 同じくルッキズムに該当。使用を控える。
○○ガール、○○女子 → 性別が価値を持つと印象づけるので使用を控える。
○○くん、○○ちゃん →「〇〇さん」(男女で統一した敬称・呼称)。
女子力 → 女性の役割への期待を増長するので使用を控える。
帰国子女 → 女性だけを印象づける表現。帰国児童、帰国学生。
看板娘、職場の花 → 女性を鑑賞の対象とした表現なので使用を控える。
取材・文/高山 惠 写真/picture alliance/アフロ