住民が暮らしている街に抱く「住み心地」の良し悪しは、土地の公的価格「公示地価」とどのように関係しているのだろうか?
大東建託はこのほど、過去最大級の居住満足度調査「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2022」を総括する「総評レポート」を公開した。
本調査は、全国1,888市区町村に居住する20歳以上の男女646,245名を対象に居住満足度を調査し、2022年5月発表の「首都圏版」を皮切りに、約1年にわたって全国各地のランキングを発表したもの。
今回のレポートは、市区町村の重要な財源である固定資産税とも関係の深い公示地価と住みここち評価との関係について分析している。
公示地価と居住満足度の相関係数は0.708とかなり強い相関関係がある
居住者満足度調査「街の住みここちランキング」で、住んでいる街に関する居住満足度(住みここち)とそれに関連する59の設問の回答を因子分析にかけた。その結果、居住満足度には、生活利便性、交通利便性、親しみやすさ、静かさ治安、物価家賃、行政サービス、防災、観光自然という8つの因子があることがわかった。
これにより市区町村の因子別の特徴を把握して、居住地の総合評価である居住満足度(住みここち)を向上させるための施策のヒントになる可能性がある。
また、公示地価は数千円の場所から数百万円の場所もあるため、全用途地域の市区町村別公示地価を自然対数に変換して、対象となった1,295市区町村の居住満足度の偏差値との相関係数を計算すると、0.708とかなり強い正の相関関係があることがわかった。
地価とは、生活利便性、交通利便性、親しみやすさは正の、行政サービスは負の関係
居住満足度を構成する主な8つの因子のうち、生活利便性因子、交通利便性因子を向上させることで地価が高くなり、一方、行政サービス因子を向上させると地価が下がる関係性がわかった。
因子間の関係を考察すると、生活利便性因子、交通利便性因子を向上させると住宅供給が促進され人口が増える。人口が増えると適度な人間関係が構築されることで親しみやすさ因子を押し上げ、それらの結果が地価を押し上げるという関係にあることが示唆されている。
出典元:大東建託
構成/こじへい