睡眠環境が悪化する夏の睡眠への対策法
睡眠環境が悪化する夏の睡眠にはどう対応したらよいのか、Dクリニック東京 ウェルネス 睡眠外来 睡眠センター長、睡眠専門医の井坂奈央氏から、夏の睡眠の傾向や対策を解説してもらった。
〇日の出が早いことで目覚めも早くなる
日光は睡眠ホルモンともよばれるメラトニンの分泌を抑えることで、睡眠欲求が抑えられるが、夏は日の出も早くメラトニンが抑制されず脳が覚醒することにより、早く目覚めてしまう。その分、夜のメラトニンの分泌も早くなり眠気が早くなるが、普段の生活リズムではないためスムーズに入眠できないというループが起こり、睡眠時間が短縮してしまう。
早く目覚めてしまう人には、夏は日の出の早さに合わせ1時間程度早く起き、その分早く就寝することで生活リズムを全体的に前倒しすることがおすすめ。国や地域全体で変えるサマータイム制度もあるが、健康障害の問題もあり睡眠の観点では推奨できないとされており、自身のペースに合わせ少しずつ生活リズムを早めていく「自分的サマータイム」を取り入れれば、夏を乗り切るポイントになる。
〇暑さによる睡眠の質の低下
睡眠は深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠を繰り返しているが、就寝時間に関わらず、寝始めの第一周期である90~120分のノンレム睡眠「黄金の90分」をいかに深くしっかりと眠ることが質の良い睡眠を得るポイントになる。
人の体温は、表面の皮膚体温と、内臓などの深部体温があり、両者はそれぞれ違った変化の仕方をする。夜になると深部体温は下がり、皮膚体温は上昇するが、深部体温と皮膚体温の差を縮めることが「黄金の90分」を手に入れるスイッチとなり質の良い睡眠につながる。いかに深部体温を下げるかが、質の良い睡眠を得るためのポイントといえる。
深部温度を下げるためには、皮膚の表面温度を上げて熱を放出しなくてはいけないが、夏は環境や活動により深部体温が下がりにくく、その差が縮まらず睡眠の質の低下につながっている。
室温が29度では深部体温が約1度低下しているが、室温35度、湿度75%の高温多湿の環境下では深部体温が下がりづらく、睡眠の質にかなり影響していると思われる。
〇夏の睡眠にはこんな対策を
エアコンなどを活用し室温を25~28度、湿度は50~60%程度に保つ。朝日の明るさは遮光カーテンで調整するようにする。
布団の中の温度「寝床内温度」も意識するとよい。何も掛けずに寝てしまうと朝方に冷えすぎたり、汗が気化熱で放熱されることで体を冷やしてしまうため、夏でも掛け布団を使用し、パジャマなど衣類を身に着けるようにする。
さらに効率的な寝具も活用したいポイント。睡眠環境もパーソナライズが重要で、二人で同じベッドを使っている場合、振動が伝わったり、寝具のへこみ具合も異なるため、シングルサイズのマットレスをつけて使用するのがベスト。人によって温度や重さの感じ方が異なるので、掛け布団も一人一枚使用することで、適切な寝床内温度を保つことができる。
冷感が持続できる快適な寝具もおすすめ。寝床内温度を保つためには透湿性と呼ばれるムレにくさも大切。夏の高温多湿の環境では多く発汗するので、ムレた空気を外に排出できる寝具が良い。
【AJの読み】暑がりでも布団をはぐことなく眠れそう!?
筆者は超が付くほどの暑がりで、真夏は一晩中エアコンが必須、上掛けもタオルケット1枚だが、それでも暑いためか朝方には何も掛けない状態になっていることが多い。暑がりには掛け布団なんて絶対に無理だと思っていたが、実際に「COMFORTER PERFECT COOL」を使用してみると、ひんやり感が抜群で、蒸れないためか朝までしっかりと掛けて眠っていた。
さらに暑い時期に活用できる裏技を教えてもらった。寝る前にエアコンを効かせて室温を下げている間に「COMFORTER PERFECT COOL」の接触冷感面を上にして掛け布団も一緒に冷やしておくと、さらにひんやり感が増して気持ちよく眠ることができるとのこと。
汗をかく夏場の寝具なので洗濯機で洗えて、何度洗っても機能が低下しないということも大きなポイント。今年の夏は「COMFORTER PERFECT COOL」で快適な睡眠時間を確保できそうだ。
文/阿部純子