愛鳥週間とは、野鳥や自然環境保護の大切さを周知するために行われる啓蒙活動の一つです。期間中には人々の自然保護意識を高めるため、さまざまな野鳥保護・環境保護関連のイベントが実施されます。愛鳥週間の主旨や行事、期間中のイベントを紹介します。
「愛鳥週間」は5月10日から16日
愛鳥週間は5月10日から16日までです。日にちは固定されており、年による変更はありません。愛鳥週間の主旨や由来を紹介します。
主旨は野鳥や自然環境保護・保全の普及と啓発
愛鳥週間の主旨は、野鳥保護や自然環境保護・保全の重要性を周知することです。自然破壊が進む昨今では、自然界のバランスも大きく崩れています。
日本鳥類保護連盟は『Today Birds, Tomorrow Humans』すなわち『野鳥に起きていることは人間にも起こる』というスローガンを掲げ、野鳥保護・自然保護の重要性を訴え続けています。愛鳥週間は、こうした自然保護の取り組みを強くバックアップするものといえるでしょう。
愛鳥週間期間中は、国・地方自治体をはじめとするさまざまな団体が、野鳥保護・自然環境保護のための取り組みやイベントを実施します。
有名なものとしては『全国野鳥保護のつどい』がありますが、このほかにも探鳥会・自然観察会など、イベントはさまざまです。
アメリカの「バードデイ」がモデル
愛鳥週間のモデルとなったのが、アメリカの『Bird Day(バードデイ)』です。
アメリカには『植樹祭(4月10日)』があったものの、野鳥保護を啓蒙する日は存在しませんでした。1894年にペンシルバニア州オイルシティー市の教育長・バブコック氏が野鳥の保護を訴え、5月4日をバードデイとすることが決まったのです。
アメリカの野鳥保護と同様の取り組みは戦後、鳥類学者のオースチン博士によって、日本でも提唱されました。
日本での始まりは1947年
日本におけるバードデイは、1947年に始まりました。同年に『日本鳥類保護連盟』が発足し、日本でも国民の野鳥保護・愛鳥保護の意識向上が重要であると考えられたためです。
日本のバードデイは、当初アメリカの森林保護の日と同じ4月10日で設定されていました。しかし日本の4月初旬はまだ雪が残る地域もあり、夏鳥も飛来しません。日本の環境には合わなかったため、バードデイは5月10日になりました。
『愛鳥週間』という名称になったのは1950年です。バードデイの期間が5月10日から16日の1週間と定められたため、名称も変更されました。
愛鳥週間に行われる行事・イベント
愛鳥週間には、全国でさまざまな野鳥保護・自然保護の啓蒙活動が行われます。国や日本野鳥の会が実施する行事・イベントを見ていきましょう。
全国野鳥保護のつどい
全国野鳥保護のつどいは、環境省と日本鳥類保護連盟が共催する愛鳥週間の中心行事です。行事には全国各地から関係者・団体が集まるほか、日本鳥類保護連盟総裁である皇族も臨席されます。
全国野鳥保護のつどいのメインとなるのは、野生生物・自然の保護関連の表彰です。愛鳥週間の主旨に合う大きな貢献を行った個人や団体・学校などには、日本鳥類保護連盟総裁賞あるいは環境大臣賞などが授与されます。
全国野鳥保護のつどいの第1回は1947年に開催され、2023年度で77回目となりました。
愛鳥週間用ポスター原画コンクール
愛鳥週間用ポスター原画コンクールは、日本鳥類保護連盟が主催する啓蒙イベントです。全国の小・中・高校の児童・生徒から愛鳥週間にふさわしいポスターが集められ、審査・表彰が行われます。
作品の募集は前年のうちに行われ、日本理科美術協会・全国愛鳥教育研究会・環境省などによる審査・賞の決定が行われる流れです。応募総数は毎年約6万点に上り、最優秀賞である『総裁賞』を受賞した作品は、翌年の愛鳥週間のポスターとして活用されます。
応募対象を『18歳以下』とするのは、若い年代における野生動物保護・自然保護の意識を高めるためです。ポスター制作を通し、子どもたちは野生動物や自然の大切さをより身近に感じられるようになります。
日本野鳥の会のキャンペーン
日本野鳥の会は、人間と自然との共存を目指して活動する自然保護団体です。バードウォッチングや生物の多様性を維持するための活動、愛鳥週間に合わせたイベントなどを行っています。
2023年の愛鳥週間イベントは、『愛鳥週間!身近な鳥を観察してeBirdに投稿しよう』です。参加の要件は特になく、バードウォッチングで見つけた鳥をアプリに登録すれば参加できます。
バードウォッチングのテーマは『身近な鳥』で、対象となるのはスズメ・シジュウカラ・ヒヨドリ・アオサギ・カワセミの5種類です。全ての鳥を見つけた人・毎日写真を投稿した人には、抽選で『サントリー特別賞』『日本野鳥の会賞』が贈られます。
日本野鳥の会 _ キャンペーン「愛鳥週間! 身近な鳥を観察してeBirdに投稿しよう」 ~スマホで参加する、市民科学プロジェクト~
「グローバル・ビッグ・デー」も開催
5月13日には、世界中の自然愛好家・愛鳥家が参加する『グローバル・ビッグ・デー』が開催されます。どのような催しなのか、詳しく見ていきましょう。
世界規模のバードウォッチングイベント
グローバル・ビッグ・デーとは、世界最大規模の野鳥観察データベース『eBird』を利用するバードウォッチングイベントです。決められた1日に世界各地で一斉にバードウォッチングを行い、観察できた野鳥の数を国別に競います。
2022年のグローバル・ビッグ・デーには、約200の国・地域から5万人以上が参加しました。その結果、全世界で7,673種もの鳥類が登録されたそうです。これは世界の鳥類の約3/4に該当します。
なお登録総数のトップは、1,538種類を登録したコロンビアでした。日本からの参加もあり、173種類が登録されています。
5月13日(土)はグローバル・ビッグ・デー! – eBird Japan
参加方法
グローバル・ビッグ・デーに参加するためには、eBirdにアカウントを作成することが必要です。
日本の場合は日本野鳥の会が地域パートナーとなっており、日本語版の『eBird Japan』を運営しています。eBird Japanからアクセスすれば、コーネル大学鳥類学研究室のアカウントを作成することが可能です。日本語表示も選択できるため、英語が苦手な人も心配はいりません。
氏名などを入力してアカウントを作成したら、Webサイトやアプリから野鳥観察記録を投稿しましょう。ただし画像や音声・動画を投稿できるのはWebサイトのみです。
eBird Japan – バードウォッチングの世界が広がる…
構成/編集部