SHIBUYA109 lab.が毎年15歳〜24歳のZ世代の間で流行したものを発表する、SHIBUYA109 lab.トレンド大賞。2022年のおでかけ部門にランクインしたトレンドワードの一つが「界隈消費」だ。若者の消費行動や価値観を示す言葉だが、具体的にどんな意味を持つ言葉なのか、ピンとこない方も少なくないだろう。
そこで本記事では、「界隈消費」の意味や流行の背景、事例について紹介する。界隈消費に関連するその他のトレンドワードも併せてチェックしておこう。
「界隈消費」とは?
「界隈消費」は、2022年にZ世代の間で流行したトレンドワードの一つ。若者たちが熱狂する対象の細分化や多様化が進むなか、いわゆる「万人受け」するものよりも、自らが所属する深く狭いコミュニティの間で共有できるものを大切にしたいという価値観が若者の間で主流となりつつある。この価値観のもと、画一的なトレンドを追うのではなく、「〇〇の界隈では流行っている」のような、一部の界隈で強烈に支持されるものを好み、価値を見出すような消費行動のことを「界隈消費」と呼ぶ。
このような若者の消費傾向の変化については、スマホの普及やITの進展による情報量や入手経路の多用化による影響が大きいという見方がされている。
界隈消費の具体例
界隈消費の具体的な事例としては、「住所非公開カフェ」や「会員制カフェ」が挙げられる。
例えば、東京都内には、口コミ情報を頼りにしないとたどり着けないような住所非公開のカフェが存在する。このような運営スタイルにより「自分たちだけが知っている場所」という特別感を演出することができ、若者からの支持を受けている。
これまでのように、あらかじめスマホで目的地を調べてから店に向かうのではなく、このような隠れ家的な居場所に意図せず出逢える楽しみも界隈消費の魅力の一つだ。
Z世代の消費行動に関連したトレンドワード
界隈消費と同じように、Z世代の消費行動に関するトレンドワードとしては、他にも「お出かけ消費」「自分を知る消費」がある。それぞれの意味を確認しておこう。
お出かけ消費
2022年は、外出規制がも少しずつ緩和され、外に向けた消費が戻りつつある中で、花火大会や夏祭りなど、納涼祭のイベントも再開され、今まで我慢せざるを得なかったイベントの再開がを楽しめる人が増えた年でもあった 。Z世代の間でも、旅行やお出かけへのモチベーション向上が見られた。
そんななか、おしゃれなカフェ巡りをはじめとした食べ歩きや、気軽に近場で非日常的な気分が味わえる「ホカンス」や「ステイケーション」といった新しい旅のスタイルを楽しむ人も多い。また、その様子を撮影した写真をSNSで共有するために、外出先選びの際に「映え」や「世界観」を重視する傾向も見られる。
海外渡航に関する規制が緩和されたことから、今後は近所に限定したエリア内消費だけでなく、グローバルなお出かけ消費の需要がますます高まっていくと予想される。
自分を知る消費
自分を知る消費は、「他人にどう思われるのかが気になる」「買い物に失敗したくない」というZ世代特有の心理がもたらす消費行動を表している。例えば、「自分の身体やイメージに合う洋服を選び、周囲に認められたい」というニーズを満たす骨格診断やカラー診断、自分自身を客観的に知りたいという心理から流行しているMBTIの性格診断テストなどは「自分を知る消費」に分類される。
界隈消費から見えてきた今後の消費行動のあり方と可能性
新しい時代のカルチャーを作っていく若者の消費動向への理解を深めることで、ビジネス展開をする上でのヒントが見えてくる。今回紹介した「界隈消費」は、まさにZ世代の若者の消費行動・価値観を表す象徴的なトレンドワードともいえるだろう。
マーケティング分野においては、今後より一人ひとりの生活環境や嗜好に合わせた綿密な情報収集や、特定のターゲットに絞った「狭く深いビジネス戦略」が求められていくと考えられる。
※データは2023年5月上旬時点のもの。
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文/編集部