世界の金持ちは株式だけでなく、金や銀などの貴金属、場合によってはビットコインなどに分散投資をしています。その理由は、資産をいかに安全に保有しながら増やしていけるのか、常にリスクヘッジを優先しているからです。
そこで今回はポートフォリオの運用の選択肢として、コモディティ投資の考え方と注意点に注目しつつ、コモディティの代表的な投資先として金と銀の特徴について解説していきます。
コモディティ投資① 金(ゴールド)
貴金属のなかで最も人気があるのが金(ゴールド)です。実は金は今後30年間で最も有望な資産とも呼ばれており、資産として保有することを検討したい有望な投資先のひとつです。
そもそも金は古くから世界中で扱われており、その歴史は約5000年ともいわれ、古代エジプトでも金は使われており、例外なくお金としての役割を担ってきました。
その大きな理由は金は人工的に作ることができないことにあります。偽造できないという安全性に加えて、金は供給量が限られているため希少価値が担保されているのです。
また興味深いことに、金は国や文化の違いも関係がありません。
実際、古代エジプトとローマ帝国に交流がない時代から、それぞれの国で金が使われてきました。つまり金には直感的に価値があるものだと認識されてきた歴史があるのです。
たとえば世界の基軸通貨は米ドルですが、国際標準化機構(ISO)では金や銀、プラチナも世界中で通用する通貨として認められています。また世界各国の中央銀行の多くも金を保有しています。
なぜ金を保有するのか?
金を保有する最大の理由は、インフレになったときに金が保険になるからです。
たとえば金融危機が起きた場合、株式や債券、不動産など全ての価格が下がることがあります。こうした状況下で現物資産である金はリスクヘッジ先として注目されるため、値下がりしにくい特徴があります。これこそ金が最高の保険と呼ばれる理由です。
日銀は大丈夫なのか?
たとえば日本銀行は国が抱える累計債務の50%以上を持っています。日本がすぐにデフォルトを起こすことは考えにくいですが、仮に日本国債を買いたい人がいなくなった場合、価格が暴落するリスクはゼロではありません。
まさか、という事態に備えておくために金を保有する資産家がいるのは、こうした最悪のシナリオで慌てないようにするためなのです。
金はどのように動くのか?
実際に金がどのように変動するのか、その予測をするために大切なことは「米ドル」と「金価格」を比較することが必要です。なぜ米ドルなのかというと、世界で最も大きな基軸通貨であるからです。また米ドルの供給と金価格は長期的に見れば連動する傾向にあります。
いいかえれば金価格の大きな決定権はFRBによる「米ドル紙幣の印刷量」が握っていることになります。つまりFRBによるマネーサプライ(通貨供給量)の結果が、金価格に反映されやすくなるのです。
金の投資先とは?
実際に金に投資をする場合、まとまった資金があれば金コインやバーを購入して金庫などに保管する方法あります。
その他にも金融商品を通じて金投資する方法があります。
はじめやすいのは出来高と純資産総額の大きいETFを購入する方法です。
具体的には下記のETFが最も出来高が大きく、ニューヨーク証券取引所に上場しています。
・IAU(iシェアーズゴールド・トラスト)
・GLD(SPDRゴールド・シェア)
また金を採掘する鉱山会社にまとめて投資する下記のようなETFもオススメです。
・GDX(ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF)
・GDXJ(ヴァンエック・ベクトル・中小型金鉱株ETF)