■連載/阿部純子のトレンド探検隊
長時間のプレイで首や肩を酷使している学生の声に応えたゲーマーのための枕
山善が、滋慶学園 東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の学生と共同開発した「未来のeスポーツ プロゲーマーたちと共同開発した枕」を、Amazonや一部家電量販店のオンラインストアにて4 月中旬より先行販売を開始した。
同じ姿勢で長時間パソコンに向かうゲーマーは肩や背中、頸椎への負担が大きく、未来のプロゲーマーである学生たちの意見を参考に、異素材をブレンドした上部、下部の2層構造により、肩・首・頭をしっかり支えてあらゆる寝姿勢にフィットする枕を開発した。
山善では以前よりゲーミングチェアを販売しているが、今回はなぜ「ゲーマー向けの枕」になったのか。開発に携わった山善 家庭機器事業部 商品企画2部 MD2 課長 松藤竜一郎氏と、商品企画2部 リーダー 吉田敏樹氏に話を聞いた。
「5~6年以上前から弊社でもゲーミングチェアを販売していますが、主な販売先がホームセンターなど一般のご家庭向けだったこともあり、座り心地の良さから購入者は年配の方が多かったんです。しかし、元々はゲーミングチェアとして開発したものであり、ゲーミングの市場に本格参入したいと2021年12月に『ジャパンeスポーツビジネス総合 EXPO ONLINE』に出展したところ、そこに滋慶学園が来場されていました。
後日、滋慶学園から『山善さんは消費者の声に応えた商品を開発している会社なので、学生の勉強という意味も含めて、ゲームに関連するような商品を共同開発しませんか』という話をいただいたのです。
当初は電動昇降式のデスクやゲーミングチェアが候補に挙がって、枕は第3候補ぐらいでしたが、枕の新商品開発をスタートさせていたこともあり、枕も同時進行で開発していこうということになりました。
枕と共にゲーマー向けのデスク、チェアも同時進行で開発をすることになり、昨年の3月に私たちが滋慶学園に赴き、商品の開発について、例えばデスクなら市場調査、設計アイディア、素材の調達、消費者が安全に使えるための材質のチェックや検証などを、学生さんたちにレクチャーしました。同時に、実際にゲームをしている学生さんから現場の意見も取り入れたいと提案しました」(松藤氏)
e スポーツをする学生は、同じ姿勢でスマホやパソコンを使用する時間が長いため、肩や頸椎が疲れるという意見が多く聞かれたという。こうした意見も反映しながら完成した2種類のサンプルを昨年夏に学生たちに試してもらった。
「高い・低い、硬い・柔らかいと様々な意見が出ましたが、フィット感と高さがあって姿勢を保てるものが欲しいという声が特に多くありました。このような学生からの意見で現状のような上下で2層を重ねる形ができ、翌月に再び学生さんたちに来ていただき試してもらったところ好評で、それをもとに商品化に至りました」(松藤氏)
山善が学生に対して行ったアンケートやサンプルの寝心地の意見から、自身の頭にフィットする厚みのある柔らかめの枕が好まれることがわかった。さらに、横向きで寝るときの寝心地の良さや、ゲーム時にクッションとしても使用できるものなど、こだわりがあることもわかり、それらを反映させて開発した「未来のeスポーツ プロゲーマーたちと共同開発した枕」が完成した。