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広告業界で注目を集める新たなビジネスモデル「リテールメディア」

2023.05.19

物が売れない時代に小売ビジネスを再起させるための新たなビジネスモデルとして「リテールメディア」への注目度が高まっている。そこで本記事では、リテールメディアが具体的にどんなものなのか、その特徴や注目される背景、活用のメリットなどをわかりやすく解説する。

そもそもリテールメディアって何?

まずは、「リテールメディア」の意味と、近年注目を集めている背景について確認していこう。

リテールメディアとは

「リテールメディア」は、デジタルマーケティング分野において、小売事業者が自社の顧客の購買データを活用し、オンライン上に効果的な広告を配信するための仕組みおよびそのビジネスモデルを意味する。

例えば、日用品を販売する小売事業者が運営するECサイト上に、関連商品を販売するメーカーの広告を表示させることで、消費者の間での商品認知度を高めたり、販売促進に繋げたりする効果が期待できる。この場合、ECサイトが商品宣伝のためのメディアとしての役割を果たす。

リテールメディアへの期待が高まる背景

近年、リテールメディアが脚光を浴びている背景には、いくつかの要因が挙げられる。

AIIoTなどITテクノロジーの進展と普及

消費者一人ひとりの潜在的ニーズを把握して、最適なターゲティングを行うためには、顧客行動に関する多種多様なデータを多角的に分析する必要がある。膨大な統計データを高速かつ効率的に取り出せるITテクノロジーの進展と浸透により、リテールメディアを活用できる環境が整ったことで、有効なデジタルマーケティングの手法の一つとして注目を集めるようになった。

・サードパーティクッキーに対する規制の動き

サードパーティクッキーとは、ブラウザ閲覧履歴から、第三者がユーザーの行動や嗜好に関する情報を追跡できる機能のこと。近年、プライバシー保護の観点から、各ブラウザでサードパーティクッキーを規制する動きが進んでいる。一方で、リテールメディアは小売プラットフォーム上で得た顧客データを活用できるため、リテールメディアに価値を見出す企業が増加している。

・モノが売れなくなった

長期にわたる不景気により、近年は大量消費より高品質・厳選消費に切り替わり、物の売れない時代になりつつある。こうした時代の変化の中で、売り上げ規模を維持する新しい販売戦略の選択肢として、リテールメディアへの期待が高まっている。

・ネット通販の利用増

新型コロナウィルス拡大による消費者行動の変化も大きな要因の一つ。感染対策のために、実店舗ではなくオンラインで買い物をする人が増加したことに伴い、WEBビジネスへ販路を広げる小売事業者も増えた。

リテールメディアを活用するメリット

リテールメディアを活用することで、小売事業者・広告主・消費者の三者がメリットを享受できる。ここからは、それぞれのメリットについて詳しく見ていこう。

小売事業者側のメリット

小売企業にとってのメリットとしては、顧客のターゲティング精度の向上や、広告主との協働による販売促進の精度向上などが挙げられる。

広告主側のメリット

商品を売りたい広告主側は、小売企業との協賛を拡大することで売上向上が狙える。特に、自社の商品と関連性のあるメディアでの露出機会を増やせることは大きなメリットの一つだ。小売事業者のECサイトや実店舗に掲載される広告は、購入意向の強い人の目に留まりやすいことから、高い費用対効果が期待できる。

消費者側のメリット

広告を目にする消費者側へのメリットも大きい。リテールメディアは、消費者一人ひとりのニーズに合う情報を受け取りやすいため、「ほしい」と思える商品情報に触れることで購買満足度の向上も期待できる。

リテールメディアの課題

リテールメディアは、日本の小売業界にとって大きなビジネスチャンスとなり得る。しかし、現状では課題も多く存在する。例えば、顧客データを広告配信に効果的に活用するために、データの質と量の確保や専門性のある人材を集める必要があること、広告効果を最大限に高めるために媒体を育てていくことが求められることなどが課題点として挙げられる。リテールメディアの事業を成功させるためには、中長期的な取り組みを続けていくための粘り強さが求められるといえるだろう。

文/編集部

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