スターアライアンスは、世界で初めて設立された航空アライアンスです。加盟メンバーには各国のフラッグキャリアが名を連ねており、航空アライアンスの中でも最大規模を誇ります。スターアライアンスの特徴やメリット、加盟航空会社を確認しましょう。
スターアライアンスとは
スターアライアンスは、世界中の航空会社が加盟するアライアンスの一つです。どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。なお、記載されている情報はいずれも2023年4月時点のものです。
世界最大規模の「航空アライアンス」
スターアライアンスは、1997年に設立された世界最大規模の航空アライアンス(連合)です。創設メンバーはヨーロッパやアメリカ、アジアの航空会社5社で、現在は26社の正式メンバーと2社のコネクティングパートナーから構成されています。
スターアライアンスの加盟メンバーは以下の通りです。
エリア | 加盟航空会社 |
アジア | アシアナ航空、エア・インディア、エバー航空、シンガポール航空、深圳航空、全日本空輸(ANA)、タイ国際航空、中国国際航空(エアチャイナ) |
オセアニア | ニュージーランド航空 |
ヨーロッパ | エーゲ航空、オーストリア航空、クロアチア航空、スイスインターナショナル エアラインズ、スカンジナビア航空、ターキッシュ・エアラインズ、TAP ポルトガル航空、ブリュッセル航空、LOTポーランド航空、ルフトハンザドイツ航空 |
北米 | エア・カナダ、ユナイテッド航空 |
南米 | アビアンカ航空、コパ航空 |
アフリカ | エジプト航空、エチオピア航空、南アフリカ航空 |
コネクティングパートナー | 吉祥航空、タイスマイル航空 |
オーストラリアから加盟する航空会社はないものの、スターアライアンスはアジア・ヨーロッパ方面が特に充実しています。
日本の航空会社ではANAが加入
ANAは、1952年に創業した日本を代表する航空会社です。質の高いサービスに定評があり、顧客や専門機関からは常に高い評価を得ています。
イギリスのSKYTRAX社による航空会社の格付け『ワールド・エアライン・スター・レイティング』で、最高評価の5スターを10年連続で獲得しました。
1999年のスターアライアンス加入後は、アジア有数の航空会社として、強い存在感を放っています。
路線や旅客サービスの拡充が目的
スターアライアンスが結成された主な目的は、運航路線の拡大や顧客サービスの充実です。現在スターアライアンスの加盟航空会社は、約190カ国・1,250以上の空港に1万9,000便を超えるフライトを、毎日運航しています。
空での競争が激化する中、航空会社1社で全てのエリアをカバーするのは不可能です。スターアライアンスは、加盟航空会社の航路をお互いが利用することで、より広域なネットワークの構築を目指しました。
また加盟航空会社間でサービスの共有や整備・燃料・部品面での協力が行われているのも、大きなポイントです。スターアライアンスの航空会社は、世界中のどのエリアでも、顧客に対し一定レベル以上の高品質なサービスを提供できます。
加盟航空会社を利用するメリット
スターアライアンス加盟航空会社の利用により、乗り継ぎやマイルの面でメリットを得られます。スターアライアンス加盟航空会社の利用により、顧客が享受できるメリットを見ていきましょう。
スムーズに乗り継ぎ便を利用できる
スターアライアンス加盟航空会社は、同一空港内でターミナルを共有しています。エリアをまたいで乗り継ぐ場合、加盟航空会社同士を組み合わせるとスムーズです。
例えば成田空港の場合、スターアライアンス加盟航空会社は国際線第1ターミナル南ウイングに集結しています。現地にはスターアライアンス共同のチェックイン機が設置され、加盟航空会社を利用する人は、どのチェックイン機からでも手続きが可能です。
空港ターミナルの共有・共通化は、世界各地で進められています。スターアライアンス加盟航空会社同士なら、複雑な乗り継ぎに苦労することはありません。
異なる航空会社でもマイルが貯まる
例えばANAのマイレージクラブに加入していると、スターアライアンスに加盟している他の航空会社の便に乗った場合にも、マイルが貯まります。
エリアによっては、いつも利用している航空会社が就航していないケースもあります。そんな場合には、スターアライアンスの航空会社を選べば、マイル獲得の機会損失がありません。いつもの航空会社を利用したときと同じように、マイルを獲得できます。
なお、スターアライアンス加盟航空会社の便に乗ってマイルを貯める上で、特別な手続きは不要です。いずれかの加盟航空会社のマイレージプログラムに加入しておけば、自動的にマイルが貯まります。
世界一周運賃で世界一周も可能
スターアライアンスの世界一周運賃は、マイルによって金額が変わるマイル制です。マイルは全旅程の距離を加算して計算されますが、地上の交通機関を使っての移動は含まれません。航空券の料金は、マイル数や座席クラスによって異なります。
世界一周運賃を利用する上での主なポイントは、以下の通りです。
- 出発と帰着は同一国内のみ(別空港でも可)
- 大陸間の移動は西回りまたは東回りのみ
- IATA(国際航空運送協会)が分類する地域間の横断は各1回のみ
- 太平洋横断・大西洋横断は各1回
また途中降機できる回数や最低滞在日数は、座席のクラスやチケットの種類によって異なります。旅の計画に合わせて、条件に合うチケットを選択しましょう。
スターアライアンスの加盟メンバー
スターアライアンスに加盟するためには、厳しい審査をクリアする必要があります。旅客サービスに定評のある、スターアライアンスの加盟航空会社について確認しましょう。
シンガポール航空
シンガポール航空は、シンガポール・チャンギ国際空港に拠点を置く、シンガポールのフラッグキャリアです。
機内における顧客サービスが充実しているのが特徴で、機内食や機内のエンタテインメントは特に高く評価されています。顧客サービス向上のための革新的な取り組みにより、航空関連の受賞歴も豊富です。
またシンガポール航空といえば、CAが着用するオリエンタルな衣装を思い浮かべる人も多いかもしれません。これは、フランスのデザイナーであるピエール・バルマン氏がデザインした『サロンケバヤ』という衣装です。1968年の採用から現在まで、シンガポール航空の代名詞として親しまれています。
ルフトハンザドイツ航空
ルフトハンザドイツ航空は、ドイツのミュンヘン空港・フランクフルト国際空港を拠点とする航空会社です。スターアライアンス誕生の当初より、創設メンバーとして重要な役割を果たしました。
2021年時点で、ルフトハンザの就航エリアは4大陸・71カ国に及びます。複数の航空会社を持つ『ルフトハンザグループ』の中では最大規模であると同時に、世界を見ても最大規模の航空会社として認知されています。
なお、スターアライアンスの一員であるオーストリア航空やスイスインターナショナル エアラインズも、ルフトハンザグループの一員です。
ユナイテッド航空
1926年創業という古い歴史を持つユナイテッド航空も、スターアライアンス創設メンバーの1社です。シカゴやニューヨークをはじめとするアメリカ国内7都市に拠点を置き、世界各地へのフライトを展開しています。
ユナイテッド航空はANAと特に関係が深く、ジョイントベンチャー(共同事業)を展開中です。アメリカ本土行とハワイ行路線は2社間で同じ価格に設定されており、マイレージもシームレスにつながっています。
2社の幅広いネットワークを利用することで、顧客はより自由度の高いアメリカ旅行が可能です。
ゴールドにアップグレードすればより快適に
各航空会社でマイルを貯めれば、スターアライアンスの『シルバー』『ゴールド』会員にアップグレードされます。どちらも上級会員のステータスではありますが、より多くの優遇を受けたいならゴールドを目指すのがおすすめです。スターアライアンスでゴールドを獲得するメリットを紹介します。
各航空会社のラウンジを利用できる
ゴールド会員がスターアライアンスの加盟航空会社の運航便を利用した場合、世界各地に1,000カ所以上あるスターアライアンスのラウンジや、加盟航空会社が所有するラウンジを利用できます。同じ便に搭乗する人がいる場合は、1名まで同伴が可能です。
スターアライアンスのラウンジを利用する場合は、同日または翌朝5時出発便までのスターアライアンス加盟航空会社の搭乗券を提示します。万が一搭乗券にゴールドステータスについて記載されていない場合は、ゴールドカードを提示しましょう。
空港によっては、一般会員でも有料でスターアライアンスラウンジを利用できる場合があります。例えばベストラウンジ賞受賞経験があるロサンゼルスのラウンジは、事前に予約をした上で料金を支払えば、誰でも利用可能です。
チェックインや搭乗が優先される
ゴールド会員になれば、各空港に設置されたスターアライアンスの優先チェックインカウンターを利用できます。手荷物許容量の追加や専用レーンを使ったセキュリティチェックも可能なため、搭乗までが非常にスムーズです。
また搭乗が始まった場合、ゴールド会員が優先的に案内を受けられます。到着後の手荷物優先引き取りもあり、出発から到着まで終始快適に過ごせるでしょう。
空席待ちで優先的に扱われる
ゴールド会員は、搭乗希望の便が満席だった場合、優先的に空席の案内を受けられます。また空港で搭乗便を変更したい場合も、ゴールド会員が優先です。空港待機中に空席が出た場合は、すぐに案内を受けられます。
ただし空席待ちの優先は、ゴールド会員のみの特典ではありません。シルバー会員の場合も、優遇を受けられます。
構成/編集部