インドからの新星も登場の「衛星測位システム」で見るスマホとスマートウォッチ
ライターというのは因果な商売で、時々ライター故の「普通の人との意識の差」を思い知らされてしまう。
たとえば、「GPS」は衛星測位システムを指す普通名詞だと思っている人が意外と多いことを最近知ってしまった。
GPSは数ある衛星測位システムのひとつであり、他にもロシアのGLONASSやEUのガリレオ、中国の北斗、そして日本のみちびきも存在する。
これらの衛星測位システムに対応した製品は当然存在するが、中には主要測位システムを全て網羅したもの、新興国の測位システムを採用したものもある。
その状況は、例によって熾烈な競争を生み出しているようだ。
今や「5衛星測位システム対応」は珍しくない!
筆者が所有しているスマートウォッチを漁ってみよう。
まず初めに出してみたのはMobvoi『TicWatch Pro 3 Ultra GPS』。Wear OS搭載機で、NFC決済もできる製品だ。そして製品名に『GPS』とあるが、実際はそれ以外にもGLONASS、ガリレオ、北斗、みちびきにも対応する。
もうひとつ、Amazfit『GTR Mini』という製品も出してみる。これは先行して発売された『GTR 4』の軽量縮小版ということらしいが、それでも5衛星測位システム対応。だからといって高級帯の製品ではなく、Amazonでは2万円を切っている。
今やスマートウォッチも、iPhoneやAndroidのハイエンド機種と同じく5衛星測位システム対応が珍しくなくなっている。
が、それは言い換えれば「5人のプレイヤーでひとつの市場を分け合っている」ということだ。もしもそこに6人目のプレイヤーが声をかけてきたら、5人はどのように対応するのだろうか?
インドの「NavIC」の利用拡大
6人目のプレイヤー、それはインドのNavICである。
この衛星測位システムは商用と軍事用での活用が見込まれているが、商用の「最終目標」をここで挙げれば「脱GPS」である。近年はスマートフォンやスマートウォッチにインド政府がNavIC対応をメーカーに要請するほどだ。
これは一悶着あった。当初は2023年1月以降にインド国内で発売されるスマートフォンにNavIC対応を求めていた。が、それは複数の大手メーカーの反発を買い、やむを得ずインド政府は計画を2年延長した。
いずれにせよ、NavIC対応製品は今後広がっていくだろう。上述したAmazfit『GTR 4』も、実はNavIC対応製品である。