美と正確性の追求!光発電時計『エコ・ドライブ』開発秘話
太陽光や室内のわずかな光を電気に換えて時計を動かすシチズン独自の「エコ・ドライブ」は、昨今のサステナブルな社会の実現に大きく貢献していることは間違いない。
ただ、その開発には想像を超える困難と苦労があった。
「大変だったのは“文字板”です。多くの光発電時計は文字板の下にあるソーラーセルで発電をするため、文字板は光を透過することが求められるんです。そのため金属製の文字板だと光を通さず、ソーラーセルに光を届けることができないんです」
「極端なことを言えば、『透明の文字板』なら万事解決するのですが、見た目の美しさやデザインにも制限がでてしまいます。そこで、ソーラーセルまで光を届けられる文字板の素材やデザイン、製造技法の開発に取り組みました」
さらに文字板とともにソーラーセルも進化。スタンダードタイプに加え、リング状のソーラーセルも誕生。進化は止まらない。
こうした技術革新が、多様なデザインと時計の本質である正確なときを刻み続けるという機能を両立させた。美しさと正確性を極めた時計の秘密はここにあったのだ。
今後、光発電時計はどこまで進化するのか?こだわり続ける時計への想い、今後の展望を聞いた。
「シチズンは腕時計の部品から完成時計の組立・調整まで、自社一貫で製造できる数少ないマニュファクチュールだと自負しております。どの工程においても、携わる者が皆、真摯に時計作りに向き合っていると感じます」
「その上で、機能やデザインにおいてどこか新しかったり、より使いやすいもの、より面白いものにしてやろうというチャンレンジ精神をも感じます。時に時代を先取りしすぎたかなと思うユニークなものもあったりしますが、それも愛おしい部分かと思っています」
「市民に愛され、市民に貢献するという理念をもとに、多様化する人々の価値観やマインドにあわせて、光発電時計に限らずより広く、より多くの方々に快適な時を提供することを目指して日々開発に取り組んでまいります」
取材協力
シチズン時計株式会社
文/太田ポーシャ