ビジネス用語の中でも特に会計回りの言葉は、独特の意味や読み方があるケースが多い。会計用語の一つである「粗利益」も読み方に迷いがちな言葉だ。しかし、お金に関わる言葉だけに「意味を知らない」「誤った読み方をしている」といった些細なことが信用に響く場合もあるだろう。
そこで本記事では「粗利益」の正しい読み方と意味について解説する。会計処理で使われる他の利益の種類や、利益に関する英語表現もこの機会にチェックしておこう。
「粗利益」は何と読む?言葉の意味は?
「粗利益」の正しい読み方は「あらりえき」。「粗」の字を音読みするか訓読みするかで迷いがちだが、「そりえき」は誤っているだけでなく、会計の正しい知識がないと見なされてしまうケースもあるため、くれぐれも間違えないようにしたい。
「粗利益」とは何を指す?
「粗利益」とは、売上高から売上原価を差し引いた金額を意味する言葉。例えば、小売店であれば、品物が売れて入ってきた金額から仕入れにかかった費用を引いた利益を指す。会計上の正確な用語は「売上総利益」というが、ビジネスシーンで「粗利益」もよく使われる。「粗利(あらり)」ともいうため、併せて覚えておこう。
ちなみに、粗利益は売上から原価のみを引くので、設備費(店舗の家賃)や人件費(従業員の給料)などは粗利益に含まれる。
商売の基礎となる「粗利益率」とは
粗利益に関連して知っておきたい用語に「粗利益率」がある。粗利益率とは、売上高に対する粗利益の割合のこと。ビジネスの収益性を分析する指標の一つで、粗利益率が高いほど原価(商品などの物そのもの)ではなく、そこに加わる付加価値(希少性や新規性など)が高いことを意味する。
粗利と利益の違いは?会計には5種類の「利益」がある
粗利益(粗利)は利益とどう違うのか疑問に思う人もいるだろう。会社の利益は、会計処理の段階によって全部で5種類ある。粗利益=売上総利益は、会計処理の一段階の呼び方なので、広い意味では利益の一種と言える。粗利益を理解する際は、他の4種類の利益についてもざっくりと知っておくと良いだろう。
1.売上総利益:売上高から売上原価を差し引いたもの。粗利益。粗利。会社の商品やサービスの付加価値を測る指標であると共に、原価の妥当性(売上に対する割合が大きすぎる、あるいは少なすぎる)を測る指標にもなる。
2.営業利益:売上総利益から売上原価以外の費用(広告費や人件費、通信費、交通費など)差し引いたもの。その会社の営業活動が順調かを知る指標となる。過去の営業利益と比較することで会社の営業成績がわかる。
3.経常利益:営業利益から「営業外費用」「営業外収益」を差し引いたもの。有価証券の売却損益や受取配当金など営業活動に含まれない収支を引くことで、会社の通常通りの営業活動で得た利益を表す指標となる。
4.税引前当期純利益:経常利益から「特別損失」「特別利益」を差し引いたもの。会社の営業活動には含まれるもののあくまで臨時扱いとなる損益を差し引くことで、通常営業時の利益を表している。
5.当期純利益:税引前当期純利益から「法人事業税」「法人住民税」などの税金を差し引いたもの。会社の最終的な利益となり、当期純利益がプラスの場合を黒字、マイナスの場合を赤字という。
「粗利益」の英語表現
海外の同僚や取引先と会計分野でやりとりする機会が多い場合、「粗利益」の英語表現を知らないとなにかと不便だ。正確な売上データをもらう(提出する)ためにも、売上回りの英語をチェックしておこう。
「粗利益」は英語でなんという?
「粗利益」を表す英語は“gross margin”。会計上のその他の利益を表す表現は以下の通りだ。
・売上総利益(粗利益):gross margin, gross profit
・営業利益:business profit, operating margin(略語:OPM)
・経常利益:current earnings, current profit
・税引前当期純利益:税引前当期純利益(略語:EBIT)
・当期純利益:current net profit, current net income(略語:CNI)
文/編集部